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若者のおにぎり離れ

コンビニのおにぎりの売り上げが年々減少傾向にあるらしい。円安による原料価格の高騰に伴う値上げが主な原因だとされているが、先日たまたま見た雑誌に興味深い考察が載っていた。それはあるアニメの影響なのではないかと指摘するものであった。

おにぎりの売り上げが減少しているということはおにぎりが売れなくなっているということで、それはつまり皆がおにぎりを買わなくなっているということでもある。世代別に統計を取ったところ、20代前半の若者、特に女性がおにぎりを買わなくなっているらしい。有り体な言い方をするならば、若者のおにぎり離れということだ。そしてそのおにぎり離れの原因として、今から15年ほど前の日曜の朝に放送されていた国民的魔法少女アニメの、おにぎり怪人の回が挙げられていたのだ。

それは今も続く魔法少女もののアニメシリーズの中でも特に人気の高かった作品の第4話だった。新しく出来たオシャレなおにぎり屋さんに、街の人たちが群がる。しかしそのおにぎり屋さんは悪の組織の罠だった!おにぎりを食べた街の人たちは悪の組織に操られ、おにぎり怪人とともに主人公たちの前に立ちはだかる。最終的には主人公の機転から逆転勝利を収めるわけだが、第4話にして異色とも言えるホラー色の強い回で、実際テレビ局や制作会社には怖すぎるというクレームもあったらしい。このお話を幼い頃に見た若い女の子が、おにぎりに対してよくないイメージを持ったまま大人になって、結果おにぎりを買わなくなったのではないか……という仮説だった。

ちょうど同じ年、男の子向けのアニメでもおにぎり離れに繋がる描写があったと指摘は続いている。原作は週刊少年誌で連載されていたギャグバトルアニメ、落としたおにぎりを拾って食べた主人公がお腹を壊して大ピンチになる話がある。腹を押えて苦悶しながら、おにぎりのせいだと絶叫する主人公。落ちたのを食べたせいだろと仲間からツッコミは入るものの、このシーンがおにぎり離れに繋がったのではないかという説だ。これは私も当時たまたま見てはっきりと覚えているが、人気声優さんの真に迫った演技も相まって、確かにおにぎりが嫌いになっても不思議ではないシーンだった。

誌面では女子大生の間でラクロス部員が増えていることも合わせて書かれていた。先述のおにぎり怪人と戦った魔法少女たちが、普段はラクロス部なのである。幼い頃にその活躍を見て育った女の子たちが大学生になって、ラクロス部に入部する。ラクロス部の増加している割合とおにぎりを買わなくなった割合も概ね一致しているらしい。子どもの頃に見たもの、憧れたもの、怖いと思ったもの。やっぱり影響を受けるものなのだなと感心した話だ。

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