デートがしたい

デートがしたいなと思った。飲みに行くとかご飯に行くとかじゃなく(それでも充分いいのだが)、2人でどこかにお出かけするデートがしたいなとふと思った。

動物園に行くとか水族館に行くとか遊園地に行くとか、そういうベタなデート。どこに行こうか何時に待ち合わせようかと計画を擦り合わせる時間もまた楽しいものだ。観たい映画があるんだけど一緒に行かないとか言われて、普段自分ではあまり観ないジャンルだし大丈夫かなと思って観てみたら思いのほか面白くて、その後の居酒屋で話が弾むのもまた良い。何かを見るとかじゃなく、あてもなく公園や山や海に出かけるのもいい。山はもうじき紅葉の時期になるだろうか。色づいた山々を見て綺麗だねと安直な感想を言い合う。何年か経って、あの時一緒に見た紅葉が綺麗だったよねと、そんな思い出話が出来たら最高だ。

普通に恋人同士でデートをするのもいいものだが、ここから関係性がひとつ進むのかい？進まないのかい？どっちなんだい！？くらいの間柄で出掛けるデートもまた良い。どこかに出掛けて楽しい時間を過ごした帰り際、お互いもう少し一緒にいたいなと思いながら、この後どうしよっか？だなんて探りを入れ合うあの時間。もう一軒飲みに行くのか、それとも思い切って、「……うち来る？」とか「ホテル行く？」とかを切り出すのか。手を繋ぎそうで繋げないくらいの距離感で歩きながら葛藤する時間の高揚感。ええいままよと出した「うち来る？」に対して、嬉しく思いながらもちょっと素っ気ない振りをして、「……別にいいよ」なんて言う姿もいいものだ。そうやってうちに来て、『友達同士の楽しい宅飲み』の空気が何かの拍子に色を変える瞬間が好きだ。もしかしたら明日のデートはそんなことになるかもしれないと、前の晩にそそくさと部屋を片付けたり、コンドームはあったかなと確認したりする時間も、とても滑稽だなとは思いつつ楽しいものだ。

デートがしたい。あなたに一日を使いたいと思えるくらいの相手に、一日を使って一緒に過ごしたいと思ってもらいたい。2人の間に好きだなとか楽しいなとかが流れる時間を過ごしたい。忙しくてまる一日時間を作るのは難しくても、少しの時間でもいいから会って一緒に過ごしたいと思ってもらいたい。と、ここまで書いて、これは具体的な誰かに宛てたただの私信なのかもしれないなと思ったりする。

デートがしたいですね。