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画面の向こう側

このご時世、SNSで繋がるというのも当たり前になってきた。しかし改めて考えると不思議な関係だなと思う。会ったこともない、顔も知らない、本名も知らない。そんな人と画面を通して繋がって、その人の書く文章や、写真や動画に心を動かされたり、やりとりを重ねるうちに仲良くなったり、好意を持ったりする。

そういえば日本人は、顔も見えない相手と和歌のやりとりを重ねて愛情を深め合っていた民族だったなと思う。御簾の向こうのまだ見ぬ君に向かって愛の歌を送る。送られてきた和歌を読み、返し、遠くから聴こえる琴の音色に想いを寄せたりする。それは顔の見えない歌い手さんを好きになってしまう現代人と何も変わらないことなのかもしれない。

僕はインターネットの虚空に言葉たちを投じている。ここにいるのはある意味一番むき出しの僕だ。画面の向こう側、顔も知らない誰かが僕の文章を読んで、ありのままの僕を愛してくれたらいいのになと、御簾の奥で静かに文をしたためながらそんなことを思う。

電網の向こうまだ見ぬ我が君に
届けと書きし恋文の山

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