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ウェブライターを諦めた

ウェブライターを志し、約半年。この道は諦めた。
厳密に言うと、クラウドソーシング経由での受注を諦めた、ということだ。
ウェブメディアの集金構造として、とにかく人を来させる構造にして広告を貼る、というビジネスが圧倒的多数になる。
PV至上主義になれば記事内容は、不明瞭・不適切が横行してくる。
この典型と言われるのがWERQ事件である。

WERQ事件とは(株)ディー・エヌ・エーが運営していた医療情報の提供を目的とするウェブサイトだが、掲載された記事の中に医学的根拠が不確かな情報や、著作権上の問題がある記事が多数含まれているという批判が殺到した。
なぜこうなったというと、WERQの場合、課せられた記事数、SEO(検索上位表示)、DAU(アクティブユーザー)等の目標値が重視され、特に記事数の量産が求められていたからである。

結果は想像通り、医療情報の記事は正確性を欠き、信憑性は失われ、記事を機械的に生産する「数」だけを追い求めることになった。
ここで仕事を割り振られたのがウェブライターである。
ほとんどのライターが必死に数をこなそうと、コピペを行ってから後で自分の言葉に置き換える手法を使った。
また、SEOキーワードの有無は重視されたが、読み物や情報提供しての記事の質はなおざりにされていた。
安い報酬で数をこなすよう指示され、一切のオリジナリティを排除した機械的作業に忙殺され、記事を書くことの虚しさを覚えた人もいるだろう。

ウェブライターの面白さ・やりがいとは何だろうか。
ここからは私の体験談である。
「外に出ないで、自由に楽しく仕事がしたい!」「いつかは一流のライターに!」という志で半年前にライター業を始めたが、現実は甘くなかった。
一ヶ月目の報酬はわずか600円。(文字単価0.5円)
二ヶ月目からは文字単価1~4円の案件に応募するも、採用されるのは稀である。
企業紹介文や観光系の記事、ユーチューブのシナリオや金融系のコラムなどの執筆をした。
しかし、リサーチを含めると割に合わず、報酬の低さからコピペが頭をよぎってしまう。
また、文字単価1円の案件でも優秀なライター(認定ランサー・プロクラウドワーカー)が応募しており熾烈な競争に疲弊してしまった。
結局、報酬は月/数万円が関の山で、執筆内容もクリエイティブからは一切離れたPV至上主義な内容だった。
クラウドソーシングではこういった案件が多数を占める。

ただ、ライターを諦めた訳ではない。
自分の文書を綴るのは好きなので、報酬型書評サイトなどにも寄稿しているし、noteで発信できるのも楽しみの一つだ。

さて、今回の記事で参考にした書籍が、
ネットは基本、クソメディア 著者:中川淳一郎』だ。
中川淳一郎はフリーライターであり、元ネットニュース編集長で膨大なPVを稼いできた。
ウェブを主戦場としてきた著者は「金と時間がかかった情報はネットにはほとんどない」と語る。
本書にはネットメディアの金にまみれた現状と、ウェブライターやクリエイターの苦悩が書き記されている。
ネット界隈で仕事をするなら、読んでおきたい一冊だ。



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