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日本人の渡航先の傾向について

少し古いのですが、留学・語学教育事業を展開するイー・エフ・エデュケーション・ファースト(EF)の日本法人EFジャパンは、2015年の1年間に海外留学した大学生の渡航先をまとめた「EF留学都市(渡航先)ランキング」を発表しました。

こちらが日本の大学生に人気の渡航先です。

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英語圏のアメリカ、カナダ、オーストラリアにイギリスの4各国で人気トップ10を独占してますね。2014年にランクインした学校のうち9割は、2015年でもランクインしています。

2020年現在どれだけ変わっているのかわかりませんが、多少の流行り廃りはあるものの、半分以上は変わらないのではないかと思います。

それでは、先日アップロードした、オーストラリアとカナダで人気の高い州のデータと組み合わせて、日本人人気の高い場所に関する私なりの発見を3つ書いてきます。

*この先、地名および略称が複数でてきます。日本で生活している人にとっては馴染みのない地名もあるでしょう。でてくる地名一つ一つ確認しながらご理解よろしくお願い致します。州の話なのか都市の話なのかご注意ください。

例えば、オーストラリアにはビクトリアという州がありますが、カナダにはビクトリアという街があります。どちらも日本人人気の高い場所です。

1.人口の一番多い大都市はやっぱり人気

これは言うまでもないかもしれませんね。日本に来る留学生や外国人が、日本と言えば、やっぱり東京!というのと似ているかもしれません。

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人気の高い順に、ニューヨーク(USA)、ロンドン(UK)、シドニー(AUS)、トロント(CA)がランキングしています。英語圏で人口が1000万人を超える4つの国で、その国の一番の人口が多い大都市がEFのランキングトップ10にあることは見逃せません。

*細かい話をすると、オーストラリアのシドニーとメルボルンの人口はかなり近く、必ずしもシドニーではないかもしれません。今後、数年においてはメルボルンがシドニーの人口を上回るとも言われています。ちなみにEFはメルボルンに校舎がありません。

オーストラリアのブリスベンは人気なのに、メルボルンは人気がないのか?と思う人もいるでしょう。その点少し注意してみるべき部分はあります。

2.暖かい気候の土地が人気

留学先を決めるときに、かなり多くの人がまずどの国に行こうか?という問題にぶつかるかと推測します。どの国がおすすめですか?というものですね。

どのように国を決めるかは人それぞれあるかと思いますが、国を決めた後に、その国内の場所を決める必要があります。

3か月以上の中期になるとその国の中でより暖かい気候の土地を選ぶ割合が高いという予測を私は立てています。人口の多さという都会度よりも、気候の暖かさを優先する人も一定数いるということです。

それでは暖かい土地が人気の例を上げましょう。

2-1. カナダ (トロントVSバンクーバー)

以前もお話しましたが、カナダの語学学校に通う日本人の半分はBritish Colombia(BC州を選んでいます。)BC州というのはバンクーバーがあり、近くにビクトリアという街があります。

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Vancouverおよびその都市圏の人口は250万人。BC州全体だと500万人。

Torontoおよびその都市圏の人口は600万人。ON州全体だと1450万人。

人口を比べるとトロント(Ontario=ON州)>バンクーバー(British Colombia=BC州)という図式が成り立ちます。トロントとバンクーバーだけを比べても、トロントは2倍の人口を抱えているのです。

しかし、Language Canadaのデータだと日本人人気は、人口の多さなどどこ吹く風のごとく、バンクーバーのあるBC州がトロントのあるON州を圧倒しています。

EFのランキングをみても、バンクーバーは4位→3位、トロントは9位→7位、2年連続してトロントよりも上位に来ています。なぜ都市の大きさが人気度に比例していないのでしょうか?

私はこの理由に気候という予測を立てています。同じような緯度でも、トロントよりバンクーバーのほうが気候の面で温暖だからなのです。それ故、日本人人気が高いのかと思います。

カナダだけに限ったことではないのですが、留学経験者の話で、寒さを避けて暖かい場所を渡航先として選んだという話はしばしばみられることです。

2-2. 合衆国(LAおよびCA州 VS NY)

EFのデータをみると、LA(4位→3位)よりNY(2位→1位)のほうが人気ということでした。街の人口規模をみれば、これは順当な結果です。

ただ気候の面で言えば、NYよりLAのほうが圧倒的に温暖です。NYの冬はトロントほどではないものの、札幌くらいの寒さといってもいいでしょう。

しかしです、LAを含むカリフォルニア州(CA州)には、EFの校舎が他に2つあることご存知でしょうか?そう、サンディエゴ(圏外→5位)とサンタバーバラ(9位→10位)。

40近くあるEFの校舎のうち、CA州の3つが人気トップ10に入っているのです。

CA州の3つの合計とNYの1つを比べるのはフェアではないかもしれませんが、ここでも温暖なCA州が日本人の人気渡航先というのは間違いな表現ではないでしょう。

カナダ、合衆国は北米大陸に位置し、西側と東側を比べると、冬の寒さという点においては、西側のほうが同じ緯度でも気候は暖かと言われています。

合衆国の語学学校に関する統計データはないのですが、合衆国の西海岸で人口が多い都市は、日本人人気が高い場所であることが想像できます。

例えば、CA州でいうとロサンゼルスですし、サンフランシスコあるいはシアトルなどがそれにあたるでしょう。今後はポートランドなんかも…と思ってしまいます。

2-3 オーストラリア(QLD VS NSW or VIC)


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人口や大都市という意味においては、シドニーのあるNSW州、そしてメルボルンのあるVIC州がブリスベンのあるQLD州よりも大きいと言えます。しかしながら人気ではQLD州が一番人気のようです。

南半球に位置するオーストラリアでは、赤道に近い北部のQLD州が、暖かということになります。オーストラリアを訪れる日本人にQLD州が人気というのは、そのような側面があるのでしょう。

EFのランキングをみてもQLD州のブリスベンは10位→2位ですし、シドニーや6位→7位です。都市の人口だけをみればシドニーの半分であるブリスベンがランキングしている理由の一つは、やはり気候なんだと思います。

*人口が多いわけではないのに暖かい土地

数を実際に把握することはとても難しく、統計的な根拠はないのですが、語学学校の数というのは一般的に都市の大きさ、人口に比例するといっても過言ではないでしょう。(多少の例外はあれど…。)

つまり人口が多いわけでもない街には多くの語学学校が存在しません。故に、暖かい気候だし、ビーチもあるという理由で日本人が訪れれば、おのずと語学学校での日本人率は高くなるかと思います。

暖かい気候でビーチが近くにあるハワイや、オーストラリアのQLD州にあるケアンズ・ゴールドコーストが日本人の間で人気が高い留学先と言えるでしょう。(オーストラリアのNoosaやByron Bayといったエリアも小さい街ですね。)

ちなみに、最近留学先として人気になっているマルタもイギリスやアイルランドに比べれば南にあり、地中海に浮かぶ温暖な気候です。この国の人口が40万人とあれば、語学学校の数も限られてくるでしょうし、必然的に日本人比率は高くなるかと推測します。

*誤解なきよう、日本人だけが暖かい気候を好むというわけではないですよね。寒さ、暖かさの二択であれば、おそらく後者を選ぶ人のほうが若干多いのは、世界的に見ても珍しいことではないかと思います。




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