「楽しさ」と「遊び」と「ゲーム」の違い
ボードゲームを作っていると、よく「ゲームとは?」「楽しさって?」「遊びは何?」と考えてしまいます。
「楽しい」と「遊び」と「ゲーム」って何が違うのでしょう。
どういう関係なんでしょう?
今回のnoteでは、難しい定義は抜きにして、これらの言葉の意味と関係をわかりやすく書いていこうと思います。
1、でも一応、Wiki的定義
「難しい定義は抜きに。」と言ったものの、やっぱり気になるところではあると思うので、一応、Wikipedia先生に各言葉の定義を教えてもらいしょう。
一般的な解釈をみてみます。
【楽しさ】
さっそくWikiがなかった!
でも、楽しさって説明できなさそうですよね。楽しい感じってなんなんでしょう。
【遊び】
遊び(あそび)とは、知能を有する動物(ヒトを含む)が、生活的・生存上の実利の有無を問わず、心を満足させることを主たる目的として行うものである。
とのことです、いい感じにややこしいですねー
【ゲーム】
ゲーム(英: game)は、勝負、または勝敗を決めること。守るべきルールがあり、環境または他人との相互作用を元に行なわれる活動である。
だそうです。
あとは、目標・的・ルールがゲーム3要素であるともされています。
ふむふむ、たしかに。
2、つまり、簡単に言うと。
ここからは、ぼくなりにこれら言葉の説明をしていきます。先の章よりはわかりやすい、説明になっていると思います。
【楽しさ】
「楽しさ」とは、これ以上分解できない、”あの”感情。
「楽しさ」って、説明すること一番が難しくて、というよりもほぼ不可能だと思っています。なので、よく上のような表現をします。
もうとにかく、説明のしようもない、ワクワク・ドキドキな”あの”感情なのです。
でも実は、これはぼくだけでなく、人類で初めて「遊び」について真面目に考えた社会学者ホイジンガもそのようなことを言っています。
こんな頭のいい人でも掴みきれない、根源的な感情。それが「楽しい」なのです。
【遊び】
「遊び」とは、「楽しさ」を享受する行為。
「遊び」は、まだ説明できます。先程の「楽しさ」に取り組む行為。当たり前ですけど、その動詞系は「遊ぶ」です。
お風呂の栓を抜いて、その小さくなっていく渦巻を眺める行為。たまたまバーにあった、引けないギターをそれっぽくかき鳴らしてみる行為。「ゲーム」とは言えないけど、何か楽しい感じをすること。これが、「遊び」です。
「遊び」に関しては、カイヨワの『遊びと人間』が有名です。面白い分析をしているので、興味がればぜひ読んでみて下さい。
あと、これは「ゲーム」との違いが少しややこしいですね。レゴがちょうどその境界付近にあるわかりやすい事例かもしれません。感覚的に、レゴは「楽しい」けど「ゲーム」ではありません。レゴが「ゲーム」でない理由にについては、次項で説明します。
ちなみに、「ゲーム」でもなく「遊び」を誘発するもの(例えば、レゴやフィギュア、無限ぷちぷち。)は「玩具」と言われます。
【ゲーム】
「ゲーム」とは、ルールという手法で「楽しさ」をデザインしたもの。
前章でも取り上げたように、ゲームにはいろいろな定義が存在します。このややこしい「ゲーム」という言葉を大人たちは、過不足なく定義に閉じ込めようとしています。どれも素敵な定義で、ぼくもよく参考にしています。
しかし、ここではよりキャッチーに、ぼくなりの表現をしています。それが上の説明です。これはボードゲームクリエーターをやっていての視点が大きく影響しているかと思います。
これを一つずつ、解説していきます。
まず、「ルール」という言葉。先に紹介した、ゲーム3要素、目標・的・ルールを受けて、全て「ルール」で包括しています。ゴールや敵、行動の制限を設定したものが「ルール」です。
次に、「デザイン」という言葉。ここでは「楽しさ」を、人工的に作り出すことを「デザイン」と呼んでいます。
例えば、すごろくでいうと、
”サイコロの出目だけ、マスを進んでゴールを目指す”という「ルール」で、”誰が勝つかわからないドキドキ”という「楽しさ」を人工的に作り出すことで「デザイン」しています。
先のレゴが「玩具」なのは、それ自体に「ルール」が設定されていないため、「ゲーム」と呼べないと理解できます。
ポスターなどのグラフィックデザインは、アートの手法で「あ、気になる!」をデザインしているように(←個人的に好きな、「アートとデザインの違いの説明」 by 前田高志)、ゲームは、ルールという手法で「楽しさ」をデザインしているのです。
3、料理に例えてみる。
もっとわかりやすくするために、それぞれを”料理”というテーマで例えてみましょう。
「楽しさ」→「美味しさ」
「遊び」→「味わい」
「ゲーム」→「料理」
このように置き換えることができます。
なんとも言えない口の中にあふれる幸福感が「美味しさ」で、それを享受する行為を「味わう」といいます。さらに、その「美味しさ」を調理技法という手段を使ってデザインしたものを「料理」といいます。
同様に、なんとも言えない心踊る感覚が「楽しさ」で、それを享受する行為を「遊び」といいます。さらに、その「楽しさ」をルールという手法を使ってデザインしたものを「ゲーム」といいます。
ちなみに、さっき登場したややこしい存在の「玩具」は、料理でいうにんじんや魚など「素材そのもの」と言い換えられるでしょうか。
4、「ゲーム」ってすごくないですか!
「楽しさ」「遊び」「ゲーム」の違いや関係性をだいたい理解していただけたかと思います。
本noteで、つまりぼくが何を言いたかったかというと、「ゲーム」ってすごくないですか!ってことです。人間が根源的に浸りたいと思う感情の「楽しさ」を作り出せるのが、「ゲーム」なんです。
誰かに料理を作って、美味しいと思ってもらったり、ギターを引いて、きれいって思ってもらったりするのと同じくらい素敵なことです。
ゲーム作りは難しいところもありますが、周りの環境に少しゲーム要素をいれてあげると、より「楽しい」日々を過ごせるのではないかと思います。
それではそれでは皆さん、より良いボードゲームライフを!
大切にボードゲームに変換させていただきます。