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高校の時の部活動。再開して思うこと。

私は中学の時は美術部、高校では弓道部だった。
今回は高校で始めた弓道について。

子供が小学生になり少し自分の時間が取れるようになったころ、高校でやっていた弓道をまたやりたいな、と思うようになっていた。電話で問い合わせたり近くの弓道場に行って話を聞いたりしてみたものの、やっぱり踏ん切りがつかず数年が経った。


そもそも、なぜ弓道部だったのか。私はあまりスポーツが得意ではなかった。子供の頃、喘息気味だった私は、体の動かし方をしかるべき時に身に付ける機会を完全に逃していた。走ること以外、機械運動やボール運動はまったくの不得手だった。走ることと言っても運動会のリレーで選手かな?補欠かな?程度だ。

そんな感じだったから、中学は文化部で迷いがなかった。
その頃少女漫画で流行っていた一つに、りぼんで連載されていた「星の瞳のシルエット」が大好きだった。その中に出てくる久住くんというキャラが弓道部で、久住くんかっこいいなぁ、私も弓道やってみたいなぁ。とざっくり思っていた。
弓道部のある学校はそう多くはない。本当にやるかどうかわからないけど、高校選びはできれば弓道部がある高校、というのも選択肢のひとつだった。
晴れて弓道部のある高校に受かった私は、最初に仲良くなった前の席に座るかわいい女の子と部活どうする?という話になった。なんと彼女は弓道部が気になるという。さっそく彼女と弓道部に見学に行き、本入部となった。

入部から引退まで約2年半。その間私は生徒会活動も始めていて、後半はほとんど部活動に参加できなくなっていた。そんな感じだったから大会の団体レギュラーとは無縁だったけど、高校生は頑張れば弐段まで取得できるという。引退前の審査は4月。部活の時間には練習できない。朝早く出て一人、練習することにした。毎回30分から1時間ほどだっただろうか。弓道場のシャッターを開ける。的を一つだけ立てる。ただひたすら射る。本当は射形を見てもらわなくては色々不具合がわからないし、悪いところは直らないけど、私は一人早朝に黙々と的に向かう雰囲気というか空気が好きだった。部活動をやっていた間に弦で頬を打ったり、腕を打ったり、左親指の付け根にテーピングを張ったり、一通り不調は経験したと思うが、その時はそのような不調はなかった。一人黙々と朝練をしていたあの頃、漫画の中の久住くんが一人で色々な雑念を抱えながら的に向かい、最後の一本は無になって的中するシーンがいつも浮かんだ。(今その漫画がないので実際のシーンがわからないのだが、多分そんな感じだったと記憶している。)
朝練のおかげか、めでたく弐段を取得することができた。

その後時は流れ、地元の武道館に勤めることになった。1年限りの非常勤職員である。
高校生の時に大会などで何度もお世話になった武道館だ。またここに足を踏み入れることになるとは思ってもいなかった。仕事をしている間に当時の部活の顧問兼3年時の担任にも何度か会って近況を話す機会があった。
弓道、またやってみたら?と職員の方にお誘いを受けたけれど、止めて数年、学校の弓道場とはまた違って武道館の弓道場はとても敷居が高いものと思っていたし、段位を取得していたとはいえ復帰が容易でないことはうすうす感じていたのでその1年間で的前に立つことは一度もなかった。


高校を卒業後はたまに弓道部メンバーと連絡を取り、食事に行ったり飲みに行ったり、時には旅行に出かけたり。そのうちに結婚式に呼ばれたり、出産を祝ったり。今はお互い子育て等が忙しく、また私は地元を離れてしまったため会うことは難しいが、また落ち着いたら会える友人たちだと思っている。

弓道、またやりたいなと思ってから数年、京都アニメーション制作の「ツルネー風舞高校弓道部ー」というアニメが放送され、偶然にも見る機会があった。弓道やりたい欲がまたムクムクと沸き上がり、その年の弓道講習会に勢いで参加することにした。
体配、要は射形以外の動作をまったく覚えていなかったので初心者同然である。しかも高校生の時はとにかく見て覚え、指摘されたところを直すという感じだったので、丁寧に教えていただいた講習会はとても新鮮だった。
久しぶりに的前に立ったあの感覚、私は一人黙々と的前に立っていたあの朝練の時を思い出していた。


それから正式に連盟に加入となったが、仕事だったり、子供のことだったりそうしているうちになんだか弓を引くことが怖くなり。道場にまともに通わなくなってしまった。やっぱり通おう!と思えた時にはコロナで休館。その後、感染対策をしながらの開館となったので、先日思い切ってなんと半年ぶりに弓を引いてきた。
正直、一日目は巻藁練習だけ・・・としたいところだったが巻藁もコロナ対策で譲り合って使わなくてはならないのでそういうわけにもいかず。
結局、心臓をバクバクいわせて緊張しながらの二時間。結構な回数で的前に立ち、その日のうちから筋肉痛が発症。夜にはあまりに緊張したせいか胃まで痛くなった。今でも筋肉痛で階段の上り下りがカクカクだ。
そのくらい弓道場はわたしにとって格式の高い場所であり、敷居の高いところだ。筋肉痛はただの運動不足だけれども。


弓道を始める少し前から今まで、思えば何度か「引き寄せ」があった。
今はまだ、弓道楽しい!という域には達していないけど、あの一人黙々と無になって弓を引いていた感覚をまた味わいたく、細く長く弓道を続けていけたらいいなと思っている。
ちなみに。今年高校生になった長男は弓道部に入部した。なんともたのもしい限りである。

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