見出し画像

「劇場」又吉直樹 読了

読もうと思ったきっかけはなんてことはない。映画化される役者名に山﨑賢人の名があったからだ。
簡単に言えばヒモ男とそれを支える女の不器用な純愛、といったところか。映画化されることが分かってから読んだので、もちろん読みながらその役者さんたちを脳内に浮かべながら読んでいく。
しかし、どうしても山﨑賢人と永田が結びつかない。しばらくの間、読み進めるのに苦労した。でもやはり引き込まれる文章なのか、そのうち山﨑賢人を忘れてあっという間に読了した。

映像から原作、原作から映像というのは読んだり観たりするのが嫌だという方も多いだろう。原作から映像に行くとイメージが違ったなどは多々ある。でも私はその差を楽しむタイプだ。映像から原作なんかだとあの場面ってそういうことだったのか!と理解を深めることもありそれはそれでうれしい。(洞察力が足りないとも言う。)その逆なら、あのシーンはこういう風にやっちゃうんだと納得したり感心したり。もちろんちょっと違ったなと思うことも。

それで今回は「劇場」の原作が先なのだが、永田と沙希の関係や、やり取りについては多々考えさせられるところがあった。私にはできないな、と。加えて永田と元劇団員の青山の感情をさらけ出したメールのやり取りの勢いがすごい。思わず読み飛ばそうかと思ったくらいのまくし立てる感じと長さ。メールなのに。
登場人物たちのいろんな感情が行動とともに深く表現されていて、悲しくなった。要はこの「劇場」の作品の中にまんまと取り込まれてしまったのだと思う。又吉直樹の「火花」は未読だが読んでみたいとも思った。私は気に入った本からその作者の他の本へだったり、俳優さんから他の出演されている作品へだったりと派生することが多い。「原作」、「映画化」、そして「実話モノ」は大好物かもしれない。

その映画もやっと公開日が決まったらしい。全国のミニシアターを中心とした劇場公開と合わせて同日にAmazon prime videoにて全世界独占配信とのこと。
どんな風に仕上がっているのかぜひ見てみたい。山﨑賢人をイメージしながら原作を読んでいたのに、途中から私の中で消え去った山﨑賢人がリアル永田としてどのように仕上がっているかが気になる。だけどミニシアターか。リストを見ると残念ながら近くにはなかった。Amazon prime videoに加入するしかないか。今後このような公開スタイルが増えてくるのかもしれないし。

ちなみに私が購入した「劇場」は映画の永田と沙希のカバーだった。映画ポスタービジュアルだと思う。その表紙を眺めていてふとサイズが小さいことに気付く。二重カバーだった。本の装丁って大事だ。ちょっと得した気分になった。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?