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チームの不安のためにデザイナーができること

みなさんお久しぶりです、rootの古里です。僕はrootのプロダクトデザイナーとして、またデザインプログラムマネージャーとしてクライアント企業の成長に伴走しながらさまざまな支援をしています。この記事はrootの2023アドベントカレンダーの2日目記事です。テーマが「変化成長」なので、今年最も強く必要性を感じたデザイナーの生存戦略について語ろうと思います。

ただし少しニッチなお話になります、以下の状況に当てはまる人にはあまり響かないかもしれません

  • ビジョンに向かってチーム一丸になってやっていき! の空気感がある。

  • スクラム開発を取り入れ、バックログの優先順位とチームのベロシティの折り合いをつけながら開発を進められている。

  • 辛いこと・不安なことがあってもチームに向けて共有できている。

逆にこんなことを感じる方にはぜひ読んでもらいたいなと思っています。

  • プロダクト開発の不確実さがマネジメントされない。

  • 先が読めない中で成果を出すことが求められている。

  • その状況に対して不安だと言い出せないような雰囲気がチームを支配している。

この記事が苦しい状況に置かれているプロダクトデザイナーに向けた、ソリューションでありエールになればと願っています。

rootってどんな会社?何してるの?

まず本題に入る前に軽くrootの説明させてください。rootは事業と組織の成長を共に実現するデザインパートナーとして、クライアント企業のあらゆるデザインの運用を支援しています。デザイナーを開発チームに埋め込み支援もしますし、複数のプロダクト・マーケに関わるデザイナーやデザイン資産を統合し組織的に運用する体制づくりなども支援します。

平たくいうとクライアントワークですが、以下の2点において特殊な位置付けにあります。

  1. 事業に必要なリソースの提供からデザイン経営に必要な組織体やデザインシステムのような資産をクライアント組織内に作ることまで、支援メニューに幅がある

  2. しかもインキュベーションからグロース・エンハンスまでクライアントの事業フェーズが広い

事業と経営の両面から成長を支援するため、このような幅広い支援ができる人材と体制を持っています。

不確実さのマネジメントがなされていない現場

ここ数年でスクラム開発は急速に広がり、事業成長の一般的なメソッドになりつつあります。スクラム開発は主にプロダクト開発における不確実さをマネジメントする目的で導入されます。今日のスタートアップにとって、不確実さをどう乗り越えるかは事業の大前提です。

ですがそれもあくまで市場の中で立場の弱い小さなスタートアップのための前提です。rootの支援する幅広い対象の中には市場の不確実さを脅威と思わない、強くて大きな会社もあります。

しかし実際のところ強くて大きい会社の中の新規事業プロジェクトという単位だと、小さなスタートアップとほぼ同じ規模で始まります。つまり強くて大きい企業には、トップと新規事業開発の現場との間に不確実さに対する認識のギャップが生まれやすいのです。この認識のギャップは事業責任者とPMの間やPMとデザイナー・エンジニアの間などあらゆるコミュニケーションのずれに波及します。現場に必要なリソースの決定権を握るのはトップです。このすれ違いがどういう具体的な影響を及ぼすかはみなさんの想像にお任せします。

もちろんrootの僕らは、可能性があればあらゆる事業フェーズ・組織フェーズで伴走し成長に貢献できるデザインパートナーであることを目指しています。時にはそういったトップと現場との認識が乖離しているような状況であっても、事業を成長させるチャンスを育て芽吹かせることが求められます。置かれた場所でどう価値発揮するか、つまり生存戦略を取る必要があります。

ここで一つデザイナーの生存戦略についてですが、この記事において「生存戦略」の意味は「環境に適応するために自身の価値基準や優先順位を変化させることを表してます。僕らは誰でも苦しい状況にある時、環境のせいにしてしまいがちです。もちろん環境を変えることも一つの戦略ですが、一旦それを封じてみて自力でどこまでできるかを試してみたいと思っているポジティブなマインドの持ち主にメッセージを届けたいです。

独り占めするのではなく分かち合う

まず最初にデザイナーの皆さん、期待に応えようとしてなんでも一人で解決し続けるのをやめましょう!デザイナーは稀有な存在です。BizとDevの境界に立ち・抽象と具体を往復しながらアイデアを出せて・それを表現したり形にする能力も持っています。BizからしてもDevからしてもチームの誰にとっても都合がいい存在です。だからこそ、チームのために一人で解決し続けるのをやめましょう。

僕も経験ありますが、デザイナーは人気者です。構想を具体にしてくれ、具体をモデルに抽象化してくれ…。そうして属人化に至る道は、他者からの期待と承認が満たされることによる自己効力感で彩られています。が、それらはすべて自分一人にしか見ることのできない虚飾に過ぎません。

PJの立ち上がりや初めてのチームで超速で期待に応える動きは、チームメンバーの信頼獲得できる正しい判断です。とりわけ不確実さがマネジメントされていないチームでは、口に出さないだけで全員が不安を感じていて・自信を持てていない状況です。そんな中でなんでもできます・知ってます・やりますという振る舞いをすると大いに頼られるでしょう。ですが、今の自分ができる範囲のことを打ち返し続けても彼らの要求にはキリがありません。個人に頼る・依存する・属人化する構造になり、チームにとっての資産が増えていないのです。

自分がやっていること・視点・考え方をチームメンバーもできるようにするにはどうすればいいかを考えてみましょう。他人を巻き込むためには無知で無力な人間になったほうが都合がいいです。この仕様どうなってるんですか?これについて教えてもらえませんか?と頼られると人は喜んで情報を提供してくれますし、僕だけじゃ力不足なのであなたの力を貸してください!技術知識・ドメイン知識不足をあなたに補ってもらいたいです!とお願いすることで誰でも協力してくれます。自己効力感を互いに与え合うことが、チームメンバー全員が自信を身につけ不安に打ち勝つ近道です。

利害関係ではなく運命共同体になる

あらゆることを属人化させて解決していくデザイナーが孤高の存在になっていくように、PdMやPMもまた同じです。不確実さがマネジメントされていない現場の心理的安全性は低く、誰しもが不安を吐露するハードルが高まります。そんな時、チームの中で誰よりも共感能力があるデザイナーが積極的に理解者となるべきです。

属人化によって役割と役割の間に壁を作ってしまうと、その壁は時に敵味方の境界になってしまいます。しばしばデザイナー同士でも「Bizをどう倒す?Devをどう説得する?」みたいな論調で語られることもありますが、本来は敵も味方も存在しないのです。

利害関係の先には本音を打ち明けあえる関係があります。例えば僕は今年の約3ヶ月をかけてクライアントのPMと本音で話せる関係を作れました。その時は、ユーザー視点という曖昧なものを捉えるための活動に終わりはあるのか不安だということを打ち明けられました。これがあったからこそ、別な議論が空中戦なってしまった時には、僕の方からPMの不安を検出して先回りする動きが取れました。不安という症状を自覚し何が原因なのかに向き合うことと、PMがいかに貢献しているかを伝えて自信を持ってもらうことで乗り越えられました。

こうして彼我の境界をどんどん曖昧にし、利害関係ではなく運命共同体になることで、チームメンバーがより主体的に貢献したいと思える動機を増やせます。敵と仕事するより味方と仕事するほうが絶対楽しいはずです。

学びや経験を分け与えあう組織に

こうして逆境の中に起きた僕自身の考え方の変化も、クライアントのチームにいながら同時にrootというデザイン組織で多角的な視点から内省できたことが大きく影響しています。デザイナーは事業会社の中でマイノリティになりやすいです。時には一人でチームメンバーの不安に寄り添うことが求められます。そんな時状況の持つ困難さに共感し協力してくれる仲間は、客観的な観点から助言をくれる貴重な存在です。

僕自身も今年は苦しい状況だったため、こうした環境に適応するため生存戦略として現れた変化成長は、いわば余計なプライドが剥がれたものだと捉えています。得たものを分け与え・誰にとっても味方であり続けることはいいチームワークに必要な当たり前のことです。どんな現場であってもこうして学びんだことや経験を自分一人のものにせず分け与えることで仲間を増やし、デザイン組織の組成・拡大に貢献すると信じています。

もし、似たような状況で悩んでいる方がいましたら、ぜひrootの発信するコンテンツやイベント覗いてみてください。rootはデザイン組織の構築・運用のための知見をどんどんシェアしていこうと思っています。直近だと『root Design Meetup Vol.8 事業と共に成長するデザイン実践のかたち〜DPMモデルとケーススタディ〜』というイベントをやりましたのでこちらも併せてぜひどうぞ!

また、近いうちデザイナー忘年会でLT登壇します🍻
イベントでは、僕を含む3人のデザインリーダーが事業成長のために日々取り組んでいることを共有します。ぜひご参加ください!

直接お話しできる機会もこちらで受け付けております。ぜひどうぞ!


rootでは共にビジョン実現できる仲間を探しています!

私たちは、「Design Doing for More〜デザインの実践を個から組織・事業へ〜」をVisionに、事業の成長によりそい、デザインを実践しようとする人々を支え、世界をより良く前進させていくことを目指しています。
共に、クライアントと事業の本質(芯)を見いだしながら、事業本来の価値をユーザーに届け、デザインの根源的な力を個から組織・事業へと広げることで、世界をより良く前進させていきたいという方!
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