奇詩想集 "触れるべきではない思想" 目次〜羊飼いの宴

ー 目次 ー


・まえがき

・刻印 ~死人間人智終焉~

・愛と孤独と憂鬱と

・羊飼いの宴

・独房の眺め

・拘束の悲鳴

・生と死の狭間で

・壮大なる愚問、後退する思想、そして夥しい数の膨張と全知全能

・善悪と許し

・抑圧の覚醒

・表裏一体 ~光、そして施しと正義の闇~

・慈愛 ~優しさの中で芽生える愛情~

・平和 ~人類滅亡への蜂起と思想~

・異端的希望謌

・霧掛かる悪意

・霧深き森の中

・毒牙の蜜

・憂い浴び慕情

・不確かで繊細な明かり

・優しき普遍

・分岐点 ~底に立たされた時、人は何を想う?~

・虚ろ鳥の詩境

・What's Done Is Done

・歪み切った末路

・劣悪なるホログラフィー

・イカレタ有限世界

・Peaceful Letters

・弱虫ノ言葉

・去り行く寂像

・未完の死生観

・終わりなき贖罪

・有り余る反骨歩けば暴徒と化す

・深層心理 ~心の奥底ダレカの言葉~

・凌霄花 ~苦悩苦悩希望解放~

・愚かなる呟き

・雑詩想の雨

・素晴らしきかな無駄な世界

・都会の花

・狂った青春

・疲弊から成る繊細な力強さ

・慟哭のエロス

・アクト平和のMelody

・曖昧な情熱、無欲の葛藤

・無知な絡まり

・昇華大輪

・掃き溜めの声

・目覚めの鼓動

・LIFE, LIFE, LIFE

・自殺志願者の灯

・痕書


ー まえがき ー


この詩想世界、始まるや否やトキは驚くホド戻りまして九年前の世界趣味嗜好思想思考に立ち返ります

そうしてそれから順序良く順序良く”時”という概念をそのまま”時”という一般的概念のままに撫でるようにメクルという行為で表現致しましたら


“キットアナタニモナニカガミエテクルデショウ”


さぁさぁはじまりはじまりはじまりオワリのはじまりはじまりはじまり


“カクゴハイイカニンゲン”


きっともう、人間じゃ、いられない……


だけどそう、それこそが、人間

それでいて、尚、人間

崇高なる、人間

人間、人間、人間、人間


~さぁさぁ楽しいパーティータイムだ~


人間

人間

人間

人間

人間

人間

人間

人間


刻印
~死人間人智終焉~


【Ruin】


受け入れることで見えてきた絶望と
揶揄することで知り得た希望が
相反する欲求の中でリンクする


この世のモノとは思えない色相に
孤独に苛まれた激情


この切り刻まれた心では
貴方を愛すことなんてできない


【狭間】


苦しみを全て背負ったような顔をして
枯れ果てた花を摘んでいる

憎しみに全てを奪われたような掌で
花弁の数を数えている


まるでそれは人間
寧(ムシ)ろそれは必然


覆い被さるように連なった影に身を任せ
吐き散らかした血に塗れた君の笑顔

それはとてつもなく純朴で
とてつもなく純真

まるで恐怖という感情を忘れてしまったかのような
満ち足りた幸福で形成されていた


【Rhythm】


悲観することはない
どうせすぐに終わるんだ
今いる世界
自分のことを知る人たち
長い目で見れば僕なんて
ミジンコよりも小さくて惨めさ

鏡を見ることはない
どうせ客観視なんてできないんだ
見れば見る程に
憎しみと自責の念に
押し潰されるだけ

即ちそれは幻想であり迷走

或はそれを紐解こうとする
アルゴリズム


【明白】


もうこの世界に残された楽しいことなど
死という絶対的行為以外考えられない

笑えない
泣けない
喰えない
知れない

もう希望なんて見えない

"生"という反快楽的行為が生み出した
"死"という絶対的オルガスムス現象


【VENOM】


人生とは矛盾である
人生とは不純である
人生とは希望である
人生とは無類である

今この瞬間この一瞬に
存在するは己の心

信じるモノは何にせよ
存ずる我に希を託し

最果ての地へと行ったなら
血潮の流れに身を任せ

歩いた先の雛罌粟(ヒナゲシ)に
微笑み洩らし言えばいい


ー私は私であり、私以外の何者でもないー
ー私はとても人間らしく、人間らしい道を歩いているー


下らない格言や
薄っぺらい理想論の御託


これもまた、その一つで


【眼】


宗教の違いは何?

歴史ある宗教と近代宗教の違いは何?

規模や名前の大きさ?
ブランド的差別?
昔から在るからいいの?
最近できたばかりだからダメなの?

そもそも比べるモノなの?
現実との違いは何なの?

語り継がれる神話と伝言ゲームの違いは何?

始まりを知らないのに悠然と語る減らず口は誰?

神にでもなったかのように偉そうに立ち振る舞う貴様は何故?


“全ては人間という虚言癖の塊が捏(デッ)ち上げたサスペンス的シナリオ”


即ち歴史とは、集団詐欺や鼠講、その他数多多く存在する様々な詐欺罪をあくまで正当化しようとして首が回らなくなったモノ達が送る痛快コメディー的全世界No.1スペクタクル大巨編


【Shit-Pee】


差別とは何だ?
見下したり貶(ケナ)したり
蔑んだり侮辱したり
“それらを避ける為の特別扱い”
これは差別ではないのか?
どこが違うんだ?
平等平等と謳いながら
完璧に矛盾してはいないか?
本当に平等を目指すならば迷わず見捨てろ突き放せ
可哀想?
その可哀想という感情こそ
最大級の差別ではないのか?
分からない
ワカラナイ
所詮金儲けの道具?
身内となれば話が別?
自分に関係ない時は知らんぷりで
親しい人の場合は哀願?
本心と世間体のぶつかり合い?
いつでもその人のこと考えてる?
自分の身を犠牲にしてまでその人を助けられる?
見捨てるか
手を貸すか
殺すか
生かすか
どちらが本当の優しさかなんて解らない
永久に答えなんて出やしない
だから僕はその人との関係性やその時の状況
その時の気分や周りの目などの偏った感情や環境による
たちの悪い差別によってそれよりももっともっとひん曲がって歪んだ
たちの悪い差別を制したふりをすることにする
即ちそう
僕はとんだクズ野郎
中指を立てられて当然のブタやろう
もういっそのこと凌辱の渦の中で死なせてくれ
お前達が吐きかける汚らしい言葉の中で死なせてくれ


さぁ、君に僕が裁けるか?


さぁ、君の偽善心の見せ所だ


【狂気】


カオティックな空気感の中で
嘱望する蟠(ワダカマ)りの集団

欲情によく似た慕情は
時として人を狂わせた

舞い上がった花弁を皮切りに
救いようの無い海へとダイブ

狂った先に広がった空は
何よりも鮮明で鮮やかだった


【CLEVER】


プラスチック爆弾
子供
システマチック言語
被爆
積み重なる罪の意識
咀嚼
踏みにじった命
欺瞞
歩み寄り鎮座した
刺客
ほくそ笑み吟味した
菩薩
跪(ヒザマズ)きミュートした

知らぬ間に淘汰された


意味のアルモノとナイモノ
意味をシルモノとシラヌモノ


沈み行く人生と人徳
掴み取る運命と結末


流しきった涙とは裏腹に
君はまた、この世界を愛すだろう


【セピア】


生きるのが怖い
触れ合うのが怖い
忘れ去りたい
消し去りたい
生まれ変わりたい
羽ばたきたい
殺してしまいたい
叶えたい

遺伝子を射殺し
背きたい
血液を逆流させ
反したい
分別を消し去り
狂いたい
識別を反転させ
変わりたい

今、今、今
今しかないこの葛藤に
逡巡(シュンジュン)の篝火(カガリビ)を持って相対す

迷宮の歯車を紡ぎ
報復の旗を振り翳す

さぁ、サスペンションは外された
今こそ盲目へとラッシュ

憎しみと埋葬のクラッシュ

始まりの合図は何の変哲も無いサンライズ
色彩の皆無は恥じらいが作り出したバイブス

ただでさえ狭いこの部屋に
ぎゅうぎゅうに押し込められたマゴッツ

不意に鳴り響いた金属音に興奮し
一斉に自分自身を喰らい始めた


【Repeat】


素晴らしき日々の片隅で
惑い苦しむ僕がいる

堪え難い日々の真ん中で
希望を探す僕がいる

光が差し込む曇天に
闇が蔓延る晴天に

繰り返す度に思うんだ

どうして僕は、此処にいる?


【Escape】


基本的人権の尊重
皆無

盗聴=義務

逃げ出したい衝動に駆られた僕は
今日もまた自傷行為にひた走る

痛みだけが僕を僕として
この世に存在させてくれる唯一の事実だ


【Prey】


今日だけでも神に祈ろう
今日だけでも神に縋(スガ)ろう

みんなで一緒に伝えよう
手を取り合って伝えよう

「もうたくさんだ、終わりにしてくれ。七日間、いや七分、いや、もういっそのこと七秒でこの世界を終わりにしてくれ……」


“神よ”


【霧】


降りしきる雨の中で
僕は死んだ
弱すぎる僕の中で
君は死んだ

光さえ失った僕の両目は
もう的確に君の姿を捉えられない

自ら潰したその両目には
もう最後の君の瞳しか映らない


【輪廻論】


長い長い旅の途中
そう、それは今

そしてその終着点は今ではない

そう、それは死後の世界
今はただの足休め

他愛もない箸休め

死後の世界にこそ夢はある
死後の世界にこそ途はある
死後の世界にこそ快楽はある
死後の世界にこそ由緒はある

さぁ、怖くはない
さぁ、手を取り合って

そしてまた、この世界に戻ってくる、その時まで……


【DICK】


狂っている
狂っている
叫んでいる
叫んでいる

此処での正義とは
即ち悪だ

力と傲慢さと狡猾さ

獣(ケダモノ)以下の獰猛さ

飛び交う咆哮さえ
喘ぎ声と捉える非道さ

ピエロと化した子供達が
母親の耳をぶら下げて
奔走する

訳も解らずに同人種を喰(ショク)し犯す

そしてその同人種により命を終わらせる


嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼


アナタが最後に見た景色は
何色でしたか?


【Pieces】


ある日世界が小さく見えた
広大な大地が酷く平坦に思えた

断片的な感情や営み
創造的な排泄と育み

この地球上で起こりうる全ての出来事は
実はとても単純明快で

答えなんてモノは
端っから解りきっているのかもしれない


【無秩序】


「今日も何もありませんでした」

無表情のニュースキャスターが
無感情にそんな言葉を口にする

平和
情報操作
慣れ
諦め

今や人の死は何よりも軽く
殺人は極当たり前の行為で
戦争はただのゲームで
レイプは一種の愛情表現だ

動物の死
洗脳じみた流行発信
人間社会の愚かさを
露呈したような馴れ合い

それらの非素晴らしき情報たちの方が優先順位が上だ

言葉が出ません
飽き飽きしませんか?

僕たちにはついに
腹を括る時が来たのかもしれない


【種】


人と獣を区別するモノ
獰猛性
人と獣に共通するモノ
獰猛性

繰り返される進化の過程で
僕たちは尚、その残虐性を捨て切れずにいる

それはそう、何万年も前から変わってはいない

いわばその非道さを究極まで高めたような
独裁者がこの世界を支配し育んできた

そして今も尚、その悪循環は続いている

決してこのローテーションは終わらないだろう

未来永劫

今のままでは

平和を謳うのは簡単さ
誰にだって口にできる
裕福で恵まれていれば尚更
無知であればあるほど尚更


“疎ましい”


知らないんだ
現状を
考えたこともないんだ
自分以外を
目にしたことがないんだ
殺戮を
実感したことがないんだ
死を

喜んでいる人もいれば悲しんでいる人もいる
幸福な人もいれば不幸な人もいる
独裁者がいれば奴隷もいる
殺される者もいれば殺す者もいる

しょうがないこと?
しょうがなくはないさ

国家というくだらない
欺瞞
領土というくだらない
見解
人種というくだらない
目論み
差別というとてつもない
企み

全て人

全てこの人間という愚かなホモサピエンスがもたらした


“悲劇”


限りなく絶望に近い


“悲劇”

……滅びろ……


……そしてもう二度とこの世界に蔓延るな……


……苦しい……


嗚呼、誰か救いを
神の鉄槌を


無神論者の僕がどれだけ祈っても届きはしないだろうが
その時は必ずやって来る


確実に


隕石
太陽フレア
火山噴火
地球外生命体襲来
人類の更なる進化による
現生人類の屈服


どれでもいい


だがこれらはどこか不確かで不明瞭だ
不規則で不安定でもある


しかし


“大規模な核戦争”


これならば
今すぐに実行可能だ


容易い


“人間の手によって人間が滅びる”

とても理想的じゃないか

さぁア***様
どうぞぶっ放してください
そのご自慢の国家権力の象徴とやらを
惜しげもなく披露してください
中******のくそったれ様
あなた方もその傲慢で欲望に満ちた
眼をぎらつかせて応戦してください
北**のへんじん様
ついにやってきましたよこの日が
さぞかし楽しみにしていたでしょうね
Jの国王様
隠し持っているモノを
皆さんに御覧いただきましょう
あの時の恨みを晴らすのです

はは、楽しい世界になりそうだ

ー壊れた心は救いようも無いくらいにこの世界と人類とを拒絶するー


【Rem】


愛してくれ
愛してくれ
触れてくれ
微笑んでくれ

殺してくれとは言わないが
狂えるような愛が欲しい

毒してくれとは言わないが
痺れるような君が欲しい

赤道直下の眼差しに
清廉無欠の春模様

空前絶後の屍に
甘く糸引くマニフェスト

劣化していく人徳に
風化していく街並が
折り重なったその一瞬に
交わること無き空海が
歪む狭間で手を繋ぎ
沈む心を弔った

知らず知らずの航海で
知らず知らずに得た虚ろ


今この慕情で解き放とう


今こそ天空(ズジョウ)に手を翳そう


ーResolutionー


愛と孤独と憂鬱と


【虚空】


広がる空が、昔より色褪せて見えるのは
時代とかのせいじゃなくて

自分自身が変わってしまったから

聳える空が、昔より低い位置に感じるのは
重力とかのせいじゃなくて

下を向いた僕がいるから


決して悲しい訳じゃない


なのに涙が止まらない


【メモリーズ】


ママが泣いていた
僕は思わず布団に隠れた
パパが何かを言っていた
僕は思わず耳を塞いだ

あの日から僕は
何も信じられなくなり
人の目を見ることができなくなり
愛することが罰となり
愛されることが罪となった

そう、それは一人
すなわち、孤独

今まで培ってきた愛は崩壊し
家族という温もりがただの偽善と化した

まだ見ぬ未来に対し
とてつもない猜疑心が芽生えたあの日


そんな、心の命日ともなった、あの素敵な一日は


奇しくも、僕の誕生日だった


【MASK】


僕たちは結局
金でしか繋がっていなかった

そこには愛情なんてなかった

今までの日々は嘘ではなかったが
偽りの感情の中で暮らしていた

もう僕は疲れた
もう僕は一人でいたい

断ち切ることのできない血筋とは
信頼という名の欺瞞(ギマン)に過ぎず

夥(オビタダ)しく流れる憎悪により
構築され正当化されていた

そこにあった数え切れない程の無意味な笑顔と
無意味な愛情表現

こんな想いをするくらいなら
初めから、何も知らなければ良かった


【寂罰】


嗚呼、もう許してくれ
僕にはもう愛はないんだ
その重たすぎる優しさを
絶望に変えたくはないんだ

早く僕を嫌ってくれ
早く僕を忘れてくれ

もう昔の僕はどこにもいない
貴方の知らない僕でしかない
貴方は少しも僕のことを解ってはいない
僕にはもうあの頃の笑顔はできない


できないんだ


【We haven't changed at all】


毎晩深い眠りに就く前の
アノ空白の時間に
アイツを殺す妄想シミュレーション

それでも結局
明日には振り撒く愛想笑い

心の裏の裏にいる
乱暴で強気な《俺》が夜目覚める

毎朝不快な寝起き
頭痛目眩吐き気が一気に襲う
逃れる術を探す逃走ナビゲーション

天使と悪魔の登場
勿論悪魔の圧勝

頑張り切れない軟弱な自分

心の裏の裏にいる
醜い顔した《僕》が朝目覚める


“いつになっても立派な大人になんてなれそうにないみたいだ”


きっといつだって変わらない

きっといつの時代だって

同じ悩みを持った少年少女がいる


ただ繰り返すだけ


ただ、少しずつ形を変えて、繰り返すだけ


【辟易】


明るい所が苦手
陽の光が苦手
キラキラした人が苦手
輝いている人が苦手
自身に満ち溢れた人が苦手
若者が苦手
悪ぶってる人が苦手
二枚目が苦手
鈍感な人が苦手
アーティスト気触(カブ)れが苦手
真っ当な人が苦手
堅実が苦手
馴れ合うのが苦手
戯(ジャ)れ合うのが苦手
信じ合うのが苦手
愛や絆が苦手
優しさが苦手
情熱が苦手
気の強い人が苦手
気を遣えない人が苦手
頭の悪い人が苦手
信仰心が苦手
家族という集団が苦手
友達という輪が苦手
男という輩が苦手
女という性が苦手
人間が苦手
人生が苦手
普遍的が苦手
全てが苦手

いつまでたっても
心を開けぬ
中途半端な自分が苦手

いつまでたっても
疑い続ける
弱くて貧しい
心が苦手


【Freeze】


溢れ出んばかりの劣等感
滲み出んばかりの嫌悪感

今日もどこかの番(ツガ)い達は
歓喜に声を荒げ躍りまくる

今日もどこかの子供達は
泣く間も与えられずに捌(サバ)かれる


“それは、今日が満月の夜だからじゃない”


いつの夜も同じ
いつの日も同じ
晴れの日も雨の日も
雪の日も曇りの日も

時間は平等に与えられたはずなのに
遺伝子構造は同じはずなのに

運が悪かったという言葉だけでは
残念ながらもう片付けられそうにない


【泥】


今聞こえたのは雨音か?

喘ぎ声か?

コイツは一体誰なんだ?
男なのか?女なのか?

何故コイツはこんなにも
恐怖に怯えているんだ?

それに引き換え何故俺は
こんなにも快楽に塗れているんだ?

いつの間にか冷たくなっていたソイツの身体 

そしてそのどれよりも冷え滾(タギ)っている俺の心

そしてそれはもうこの世のどんな酒池肉林を持ってしても
到底埋めることのできない

“薄暗いまほろば”


【DOLL】


僕はカナリアの鳴き声を知らない
君はその存在さえ知らない
僕は爆弾の解除方法を知らない
君はその恐怖さえ知らない

君は歩き方を知らない
君は喋り方を知らない
君は愛し方を知らない
君は泣き方を知らない

でも、君だけが知っていることが一つだけある

それは、愛され方

僕からの愛され方

僕からだけの愛の受け取り方

君は、生きてはいないが生きている

僕は、生きていながら死んでいる

そんな二人が手を取り合えば
この世に怖いモノなど何もない


【モザイク】


雪がこの世界にモザイクをかける
全てを拒絶するかのように

夢のような白銀の世界が広がる
いっそこのまま消えてしまいたい

降り積もり濁る雪は
僕の中渦巻く淀み

あっけなく溶けて無くなる雪は
僕の純白な心

凍てつく風に意識は遠退き
色鮮やかな白に苛立ちを覚える

許しを請うても生からは逃げられず
凄まじい時の流れには逆らえず
ゆらめく現実はまるで蜃気楼で


掴み所の無い
夢、幻


気付いているかい?
僕はもう僕ではない

僕を失った僕の形をした人型

雪のように逆らえずただ堕ちて行くだけ
そんな決められた道をなぞるだけの日々

夢を見ていたあの頃の僕は全て溶けて

“何かが崩れる音がした”


【価値】


少しくらいの規制がないと人はダメになる

自由とは抑制の中に見出すからこそ

意味がある

この痛みは生きる意味さえ見失わせるが

時には生きる希望さえも見出す

時には廃人になり
時にはスターを気取る

孤独な人間ほど
優しくも無意味な夢を見る

そしてまた、

孤独な人間ほど
萎(シボ)んだ花弁(カベン)に水をやる


【同類】


五十歩百歩
異口同音

そもそも人間というモノに
歴然とした差を設けることなんてできやしない

“結局は同じ穴の狢”

日々の生活など共喰いに等しく
愚かな騙し合いにより成立しているに過ぎない


【Helpless】


“いつだって化け物扱いさ”

少し周りと違うから
少しだけ世間とズレているから

同じ血が通っているのに
同じ笑顔ができるのに

障害を持った者の命は
いつだって酷く軽視される

気味が悪いからといって
すぐに殺しにかかる

そしてその殺すという行為に対して
何の罪悪感も感じなくなってしまう


“加害者が英雄、被害者が悪人”


いつもは優しい人たちだって

いや、

いつもは優しい人たちほど……


人間なんてモノは所詮獣(ケダモノ)さ

信頼なんてもの糞くらえ

もうあの人は戻って来ないんだ


もうあの人は、戻って来ないんだ……


【君へ…】


初めて泣いた日から九年

君はもう泣くことはない
苦しむこともない

君は一生懸命人生に抗った
立派に戦い抜いた

誰も味方がいなかった日々
絶望に満ちた日々

少し外に目を向ければ
そこには自由が広がっていたのに……


“君には今いる世界が全てだったね”


それは誰にも想像できないような
屈折した日々だっただろう


“君は勇気を振り絞って死を選んだね”


僕は決して責めないよ
寧(ムシ)ろ讃えているんだ


でもね、

これだけは覚えておいて欲しい


君の死を喜んだ人はいない

世界中のどこを探したっていないんだ

君を死に追いやった奴らでさえ

みんながみんな哀しみに満ち溢れたんだ


そして、

君がこれから背負うはずだった苦しみや悲しみは
全部周りの人間が背負うことになったんだ


もう一生分苦しんだって?


それは大きな間違いさ
君が思うほど人生は甘くはないんだ
君の苦しみなんて序の口で
少しだけ太い注射を打ったようなものさ

それがほんのちょっと他の子たちよりも
早くて多かったから

君は勘違いをしたんだ


“私だけだと”


…………………………


最後にもう一度だけ言う


“君の死を喜んだ人はいない”


それはそう、君も含めて誰一人


【Lost】


流ル、一粒の鳴りが
虚しく地を這って行く

光ることなくゆっくりと
止まることなくひっそりと


“空、太陽、鳥のさえずり”


そんな必然が生んだ営みに
ただ、生かされていただけだった


“光る走馬灯”


痛みさえ忘れて想い出に浸る始末で……


景色が歪んでいる

まだこの恐怖を受け入れ切れない

一体この想いは何処へ向かう?
一体この想いを誰に向ける?


“向ければいい?”


ゆっくりと瞳を閉じて
耳を澄ませば感じられる
死んでいった者達の歌声

炎に焼かれた君を
慈悲深く想い繕う

限りなく澄み切った愛情で……
ぼろぼろに錆び切った歌声で……


“生かされた者よ”


ゆっくりと瞳を閉じて
耳を澄ませば感じられる
死んでいった者たちの歌声を聞いて

慈しみに満ちた悼みを捧げよう

共に生きた日々を抱きしめよう


【Re;】


いつからかこの日常が
当たり前のものとなっていた

生きること
育むこと
笑うこと
営むこと

そんな奇跡に対し敬意を払うことを忘れていた

運良く僕は生き残った
もう一度チャンスを与えられた

そんな僕の存在にはきっと
何らかの意味があると信じて

今日も僕は生き続ける
あの人の分まで生き続ける

今日という素敵な一日を
今日という素敵な奇跡を

生き続ける……


【Imagination】


生きていても良いことなんて無い
未来に希望なんてありはしない
生きていても苦しいだけだ
考えても虚しいだけだ


一体誰が決めた?
一体誰が言った?

お前の足りない頭だろう?
お前の狂った思想だろう?


“ちゃちな想像力で作られた未来なんて捨ててしまえ”


その許容範囲を軽く越え
目まぐるしく蠢くのが人生


とにかく生きろ


生きて、生きろ


生きて生きて


生き抜き


朽ち果てろ


【呪縛】


自分で自分を抱くことしかできない

誰も信じられない
信じたくもない

殺して欲しい
殺めて欲しい
死にたくはない
戻りたくもない


“僕に一体何をしろというんだ?”


眠るのが怖い
一人が怖い

何故こんなにも苦しいんだ?


“一体この染色体は僕に何を望んでいるんだ?”


【Real】


生き詰まり、窓の外に目をやると
この間まで丸裸だった木々たちが

美しい緑の葉を纏っていた

あまりの美しさに、人生もやるべき事も全てどうでもよくなった

まるで今までの出来事が全て嘘で
今ある景色とそれに感動する僕だけが本当のような気がして

もういっそ全てを投げ出して
そしていっそ全てを抱きしめて


“どこか遠くへ逃げ出してしまいたい”


そんなもどかしい感情に駆られ


僕は大きく淀んだ溜め息を吐き出した


【街】


アスファルトに足跡が残らないだけで
君はしっかりと歩いているはずなんだ


靴底にはその証

心の傷がその証


例えそれが実を結ばなくとも
それは充分誇ってもいい周知の事実なんだ


【遮光】


“全ては偏見に過ぎない”

僕が心を閉ざしたのも
単なる被害妄想だ

しかし、それはその分
何処までも変幻自在で
とてつもなく純粋に
歪んでいった

しかも、それはとても根深く
僕の心を忽(タチマ)ち占拠した

救えない程の闇への執着心
眼を閉じているのか
開けているのか分からない状況

膿が吹き出すような感情に
張付けられたかのような緊迫感

腕には無数の傷跡と痣
悲壮感に苛まれた肌触りの悪い質感

取り乱すことも狂うこともできずに
中途半端に生きる僕

叫ぶことすらできない僕に
愛想を尽かした自分自身

こうしている間にも
脈々と流れる血は僕を生かすのに

どうしようもなく偏屈な思想は
その、あたりまえさえも疑う


【Rainy】


愛に抱かれること
それはもう叶えることのできないこと

君に触れること
それはもう疾の昔に諦めたこと

怖がりな僕には
孤独という友達がお似合い

弱虫な自分には
憂鬱な涙がお似合い

取り留めもなく広がる世界には
未発達で未達成な夢たちが巣喰い

破り捨てられては書き換えられ

その度に雨という涙を流している

そんな君の涙を
僕は何回誘ったことだろう


ごめんね。


僕は変わってみせる

だから今までのことは許して欲しいんだ

君がもう泣かなくてもいいように
僕はこれから夢を叶える努力をするよ

愛を受け入れ
優しさを感じ
孤独に背を向け
憂鬱にさようなら

こんなちっぽけなことだって
僕にはきっと易しくはないと思うんだ……

だけど、どうか待っていて欲しい
必ず笑顔で迎えに行くから

信じていて欲しい
ちゃんと目を見て話せる時が来ることを


そして言わせて欲しい


「ありがとう」と


そして君に告げて欲しい


「さよなら」を


…………………


ぽつり佇む夢たちが
傘を片手に見守る背中

今にも闇へと逃げ出しそうな
ひどく軋んだ小さな背中

雲の切れ間に光を見出し
素敵な未来を夢見る背中

今にも闇へと逃げ出しそうだが
密かに嬉げ小さな背中


羊飼いの宴


【クロス】


救世主にはSickの名をあげ
継承者にはBitchのお土産

JesusChristをほざいた悪魔供には
絶え間ないBullshitを贈呈

絵画の中で眠る虚言癖に
BloodSuckerを見舞い

Chaserに喰われた功労者には
たっぷり太った蛆の肉を


アゲヨウ


人間様
人間様
貴方様
御前様


【555】


男は肋(アバラ)を散撒(バラマ)き
女の生成試みる

しかし、

そんな奇跡起こるはずもなく
ただただ渦巻く寂しさに嘆くだけ

世界を創ろうと思い立ち七日間足掻いてはみるが
七日目に大地を見渡し絶望の淵に立たされる


今、この現状を見て笑えるか?


Y


もしそんな奴がいるならお目にかかりたいぜ


俺たちはお前に創られた?


“いや、そうじゃない”


俺たちは創り物じゃない
これは進化の成りの果ての姿
神など恐れるに足りぬ存在

即ち科学の勝利
人間の勝利だ


【SHOW】


ノストラダムスの大予言も
2012年人類滅亡説も
全て視聴率の為の戯れ言

偉大な神も偉人も伝説上の動物たちも
現代社会では半導体組織の格好の餌食さ

殺人強姦誘拐虐待
悲惨な悲劇とされる出来事も

偽善者たちの心を揺さぶる最高の餌さ

楽しいな

楽しい楽しい楽しいな

人の不幸は最高さ
人の堕落は逸品さ
人の欠如は絶品さ
人の過ちは絶景さ

それを観て笑うお前等は誰?
それを観て楽しむ俺たちは何故?
それを観て何も感じないお前等は人間?
それを観て育った俺たちは犠牲?

冷血な子供達はこうして作られた?
現実主義な子供達はこうして作られた?
無能な子供達はこうして作られた?
夢見る子供達はこうして作られた?

ヤメられない変われない
決してこの七色の光からは
逃れられはしない

真実から目を背け続けた僕たちは
報復に泣く子供達の歌声を
正しく聞き分けることさえできない


【Fuss】


腐っている夜明けの宴
浮かれ気分の猿ばかり
狂っているオマエノ叫び
譫(ウワ)言のようにサラワレル

メインストリート駆けずり
嘗め回し這いずり削ぎ落とす

快楽主義の単細胞が意味を求めたその先に

行き着くモノは

どうせ下らない虚飾や妄想
下衆で卑劣な性

そんなもんだろう?


嗚呼……


だがしかし、

鬱な俺よりオマエノ方がまだマシで
鬱な俺よりはオマエノ方が……
立派で……マトモで……輝いていて………

笑っているオマエヲ見て
笑えずウズクマル俺がいる
泣いているキミを見て
嬉し涙のボクがいる

【阿吽】


そのうちに感じなくなっていった

ただの鳴き声だということに気が付いた

もっと色味と艶かしさがあったら良かったのに

見る見ると位を下げた悦楽の声
底辺へと成り下がった感服の声

そんな強要の共鳴は
ユニゾンさえも拒んだ


【合掌】


手を合わせるだけで熱を帯び
手を合わせるだけで安らぎを得る
手を合わせるだけで極楽になり
手を合わせるだけで無へと近づく
手を合わせるだけで何も怖くはないし
手を合わせるだけで全てが止まる
手を合わせるだけで未来が見え
手を合わせるだけで怒りも鎮まる

ずっとこのままゆっくりなまま
穏やかなこの気流のままで

柵も無く自由なままで

研ぎ澄まされていく光を掴みたい


【運命】


今日いいことがありました

占いを信じたお陰で
いい出来事が起こりました

しかし、それは初めからそうなることが
決まっていたのでした

貴方は占い師に感謝をしました

しかし、それは貴方の力であり運命

感謝のし損なのでした

貴方の人生はもう既に決まっており
感情の起伏ももう既に決まっており
もし仮に少しでも途が逸れたとしても
また必ず本道に戻ってくるわけで

しかも、その脇道のパターンも決まっており

即ち貴方は何も考えずに進めばいいのです

思ったことは何もかもが正解なのです

失敗も挫折も
喜びも悲しみも

全ては決まっているのだから

抗うのもよし
従うのもまたよし

全ては死という優秀な先導員に
導かれているだけなのですから

ただ身を委ねればいいのです

貴方は貴方のままでいいのです


【Vanity】


予定を入れる
無理にでもスケジュールを埋める
スケジュール帳の白を
無くすことに全神経を傾ける
忙しさで自分の価値を計り
少しでも世間とのズレを無くそうと精進する

何かがないと動けない
決まっていないと笑えない

だけどそれが一番利口な遣り口で

普遍的な生活への糸口で

集合的無意識の象徴であり文化

有能的美意識の偶像であり愚か


【握手】


友達100人できました
たくさんの友達と毎日楽しく過ごしています
みんなが私に優しくしてくれます
みんなが私を褒めてくれます

みんなが僕の親友です
みんなが僕の味方です
この登録数が誇りです
ここでの出来事が僕のリアルです


本当に?


友達がいなくたっていいじゃないか
5、6人だって十分じゃないか

本当に大切なモノは本当に大切な人との一瞬で

一人対一人

人間という温かさに満ちた
生身と生身とのぶつかり合い


【脳内】


今日は久しぶりにアイツとも会ったし
たくさん喋ってたくさん泣いた
よく食べてよく笑ったし
いつもよりもたくさん愛し合った

今日はとても素晴らしい一日だった
とても充実していて、満足のいく一日だった


……………………


ふと気が付くと、夕日はとっくに落ちていて
僕は朝から一歩も動いていないということに気が付いた


【A large number of unspecified people】


死にたいというワードが
最近よく頭を駆け巡る

自分にこんな思想があったなんて……

認識すればするほど悲しく

今の自分は大人とかいう
くだらないジャンルに識別され
ただただ宙を舞っているだけ

幼稚で無様な怒りが俺の頭を支配する

世間に対してなのか
仕組み(システム)に対してなのか
何に対してなのかはよくわからない

抑制しようとしても
何かが誰かが邪魔をする

腐った言葉を吐き出したまま
放置するメタボリックシンドローム

狂った思想を一方的に
押し付けるだけの凡下(ボンゲ)ティーチャー

名指しする価値もない
思い当たる奴が多すぎるだろう……


【Sinful】


“何故人を殺してはいけないのですか?”


過去に起こったとされる
様々な災い嘘偽り愛殺戮

その他諸々が折り重なって
今の歪みを形成している

大人とされる輩の過ちで
ワキイデタルハ蛆の子供

そいつらもいずれは腐り果て

ご立派な大人と化す


繰り返す


“何故人を殺してはいけないのですか?”


蟻やゴキブリは踏み潰してもいいのに……


“それは人の驕りではないのですか?”


答えてください答えてください


不安に駆られた少年少女は
身体を傷付け気を狂(フ)るわせる
真面(マトモ)に生きても報われないと悟り
偽善者ぶって罪を犯しご立派な大人と化す


繰り返し繰り返す


“少し身体が大きくて少しばかり知能が高いからって蟲や家畜を嬲(ナブ)ってもいいのですか?”

“それは人の驕りではないのですか?”


答えてください答えてください


気温水温水面上昇
人以外の生物のオゾマシイ進化
形勢逆転
人権撤廃
リアルSF映画実写板


“喰われろ”


滅びて御詫びを申し上げろ
罪を贖(アガナ)い罪を償い罪の重さに発狂しろ


次はもうない許されはしない
あの陽はもう照らしてはくれない


矛盾が巣喰った偽善の世界で
紅蓮に染まった朱鷺(トキ)が啼く


【牙】


どんなに牙を磨いて噛み付いたって

その度俺は阻害されていく

リアルを求めているだけなのに


“どうして?”


嘘で塗り固められた世界
嘘しか吐けない盆暗共
嘘の無理強いで涙する者


“それを笑う権力”


どうにもならないことは分かってる

だけど、

このどうにもならない想いが暴走する


【幻覚】


これは雨か?雨なのか?
そうだ、雨に違いない
いや、だがしかし
雨という証拠はどこにも無い

冷たいのか温かいのか
感覚に対する自信が持てない
そもそもこの水滴という
物質の存在自体疑わしい

雨という現象に至ってもそうだ
降ってきているように見えても
本当は昇っていっているのかもしれない
空と呼ばれるモノが下で
地面の方が上なのかもしれない

全てはただの一方的な決め付けや偏見で
何もかもを見誤っているのかもしれない

動物も人間の言葉を話せるし
空間は自由自在に行き来できる
人間は空を飛べるし
水中でも自由

こうしてる間にも誰かが生き返っているかもしれないし
時は流れているようで止まっているのかもしれない

全ては習慣という安定がもたらした幻覚
全ては偶然というトラウマが生み出した錯覚


【零】


完全なるゼロなど存在しない

宇宙さえも無ではないし
無からの誕生でもない

人間など最もゼロから遠い存在であり
死しても尚、その絶対領域へは近付けはしない

しかし、それは逆に言えば
とても幸せで優雅
恵まれていてドラマチック

“決して貴方は無くならない”

どんなに突き詰めて行ったとしても

決して貴方は無くならないし
しっかり貴方で在り続ける

誰もいなくならないし
寂しくもない

ただ、目に見えないだけ
ただ、触れられないだけ

それだけのこと

ただ、それだけのこと


【BLUE】


これ以上何を望む?
何を奪って欲しい?
そして、何が目的で
どこが終着点なんだ?

照らし出された瑠璃色の破滅には
黄土色の虚飾

紡ぎ出された鈍色(ニブイロ)の彼方には
緑がかった蜃気楼

どこからともなく聞こえる遠吠えは
本能を剥き出しにした
最高級のバラード

ペニシリンショックにより
生み出された絶頂は

到底垣間見ることのできない素晴らしき絶島


【歩】


もう進むしかないんだ

いつまでも昔は良かっただなんて
そんなこと言ってても仕方がないじゃないか

進むならとことん進もう

破滅が待っててもいいじゃないか

どうせ行き着くところはソコなんだ

早く着くか遅く着くかの問題

それなら是非僕にその破滅の瞬間に立ち会わせてくれ
救いようのない人間の愚かさの頂点に立たせてくれ


【MAD】


ゴミの掃き溜めを見下ろせば絶景
ゴミの焼却に絶え間ない歓声

ゴミは無くならないよ
だって人間がゴミだもん
綺麗な街作り
その街という概念がゴミだもん
文明がゴミだもん
発展がゴミだもん
貴方がゴミだもん
皆がゴミだもん
僕なんかもっともっとゴミだもん
最もゴミだもん

きっと、地球上にいる全生物に対して神様が
「この世界に要らないものは何だ」
っていう問いをしたら

確実に人間が一位だもん

勝てるはずないよ
味方なんていないもん
動物も虫も
貴方が飼ってるそのペットだって

きっとそうだよ

僕たちはゴミなんだよ
それを自覚して生きた方がいいよ
そうすればもっと幸せで豊かになるよ
そうすればもっと幸せで豊かに……

ゴミの掃き溜めを見下ろせば絶景
ゴミの焼却に絶え間ない歓声

ゴミの掃き溜めを見下ろせば絶景
ゴミの焼却に絶え間ない歓声


【DEAD】


突然死を思い浮かべ怯えてみたりする
突然襲う胸の苦しみを想像して踠(モガ)き苦しんでみたりする
激痛に襲われた気になって悶えてみたり
頭を撃ち抜かれる恐怖に戦慄を走らせてみたりみる

あぁ、生きてる

生きてるんだ

怖いと思うことができるなんて
なんて幸せなんだ

死がいてくれるから生きられる
死がいてくれるから抱(イダ)けるんだ

あぁ、早く君に身を委ねたい
早く君に連れ去って欲しい

でも僕はまだそれに値しないみたいだね

だって僕はまだ、生きることさえ儘(ママ)ならないから……

死(キミ)に抱かれたい一心で必死になって生きる僕
死(キミ)と早く手を繋ぐ為にしっかりと生き急ぐ愚かな僕


【Vision】


胴体と頭が切り離されてからの
15秒間で思い出されたこと

それはとても滑稽で無様
それでいてどことなく寂しげで抽象的

しかし、

それが真実であり絶対
人生であり失態
目を背けることはできず
やり直しもきかない

そしてそのままそのVisionは黒へと切り替わり

軽率で軽薄な無へと変わる

そしていつの間にか忘れ去られ風化していく

それはそれはあっという間で

きっとその日は近い

いつからか毎晩この夢が僕を襲い
生きる意味を問い質(タダ)すようになった

だけど、答えなんて到底分かりそうもないし
生き方も簡単には変えられそうにない

だから僕はせめて祈ることにした


“祈ることで拭おうとした”


「いつの日かこの夢に出てくるVisionたちが、愛や希望で満ち溢れますように」


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