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言葉と文化の壁を越えた先に「新しい自分」を見つける。50歳の今だから思う『旅』の醍醐味

株式会社イデアルを経営しています、和田 亮(わだ りょう)です。

前回のnoteでは、50歳を迎えた節目として、これまでの人生を振り返ってみました。

そこにも書きましたが、住む場所や仕事を変えながら歩んできた私の人生は、まさに旅みたいなもの。旅は、私の人生における大切なキーワードの一つだと思います。

旅や旅行には、若い頃からたくさん出掛けました。これまでに訪れた国は、全部で28か国。韓国やタイには20回以上、インドネシアやアメリカには10回以上行ったと思います。その時々でいろんなテーマを持ちながら、その場所でしか味わえない体験をたくさんしてきました。

今回は、そんな『旅』がテーマ。50歳を迎えた今、私が思う旅の意味や旅行との違い、印象に残っている旅の出来事について書いてみようと思います。


日常を楽しむか、非日常を楽しむか。『旅行』と『旅』の違い

私が旅をするようになったのは、10代の頃。スノーボーダーを目指して各地を巡ったことがきっかけでした。

10代の頃って自分の可能性は信じているものの、自分が何者かは分かっていない。言い換えると、「自分はこれからもっと、変化して成長できる。可能性は無限大だ」と思っていました。自分の可能性を探るために、旅やいろんな経験が必要だったのです。

自分の可能性を探すこと。自分が本当にやりたいことや居たい場所を見つけること。
仕事や住む土地を転々としてきたのは、私にとって旅の一つだったのかもしれません。

まず大前提として、『旅行』と『旅』は違うものだと思っています。

「旅行に行ったことある人!」って聞けば、きっと100人中100人が「あります!」と答えるはず。でも「旅をしたことはありますか?」と聞かれたら、どうでしょう。即答で「あります!」と答えられる人は、どのくらい居るでしょうか。

修学旅行や観光旅行でも色んなものを見られるし、リフレッシュもできます。でも、自分の住む世界を客観的に見られるようになるか?というと、簡単にイエスとは言えないのではないでしょうか。

旅行は、観光地や温泉など、観光客向けスポットを楽しむことが目的のはず。だから、移動時間などは極力、効率的に時間のかからない選択をすると思います。例えばツアーガイドに案内してもらったり、専用のバスで移動したり。
しかし、旅は移動も含めて全ての時間が目的になると思うんです。移動手段もその時の気分や状況で決める。移動中に道草をしたり、行く予定だった場所も変えてしまったり。でも、一見ムダに見えるプロセス全てが旅だと思います。

“旅行”と“旅”の違いは、非日常を楽しむか、それとも日常に溶け込むか。

おそらく、“旅行”は非日常を求めていると思います。“旅行”において、普段の日常生活を感じるような行為はあまりしたくない。豪華なホテルや美味しいお店で非日常な時間を楽しみたいはず。

でも“旅”の場合は、旅先での「日常」も楽しみたいのです。例えば、何もしないで街を散策する1日もあれば、地元の人たちが普段使っている地下鉄やローカルバスに乗ってみる。たまには迷う事もある。地元の人が普段使う食堂でご飯を食べる。外れる時だってあるかもしれない。でも、それも全て“旅”の醍醐味です。

その土地で人々の生活を垣間見ることこそ、私が大切にしている旅の要素です。

ニューヨークのセントラルパークで早朝ランニング。 旅先で日常を過ごしたかった。

私にとって、旅は自分を進化させるために必要なものと捉えています。新しいモノの見方や考え方などは、住み慣れた土地でのいつも通りの生活や、ネットや本の情報だけでは得られないと思います。

美味しいものを食べたい。知らない自分を見つけたい。異国の文化や言葉を学びたい。いろんな価値観を知りたい。

人が旅する理由は色々あると思いますが、私の旅の目的は、エスケイプ(リフレッシュ)と自分を見つめ直すことの2つ。旅行も好きですが、自分を変化させてくれるのは、いつも旅の方です。


可能性探しの旅から、人生のゴールを考える旅へ

今まで、数多くの旅を経験してきました。自分の可能性を探す旅や、本場の料理を味わう旅。その時々で色々な目的を持って旅をしてきました。

今振り返ると、年齢によって、旅の目的や意味合いが違うと思います。

20代の旅は、自分が何者になるか分からない状態での旅。旅先の町で一番危険な場所に行ってみるなど「冒険」のような旅をたくさんしました。

20代の頃に行った街で一番印象的だったのは、アメリカでしょうか。日本では感じない差別的なムードや言葉の壁が大きく刺激になりました。

24、25歳の頃、フロリダのウインターヘブンという場所に2週間ほど部屋を借りて住んでいたときのこと。

ある日、同じアパートのアメリカ人と近くのパブ(ダーツやビリヤードがあり軽食も食べられる店)に行きました。お店に入る私を見た瞬間、店内に居た人たちから軽いブーイングが起こったのです。

え、なんで日本人がここに来るんだよ」っていう雰囲気。アメリカの南の方では、アジア人は人種差別的に見られることがあります。

しかし私を誘ったアメリカ人は「気にするな」と言ってくれたので、そのまま店内へ。

アメリカのビリヤード台は横にコインを入れるところがあり、ワンゲーム終わったらまたコインを入れないと球を取り出せません。次にやりたい人はそこにコインを置き、今やってるプレイヤーで負けた人が抜けて、そこに新しい人が入る仕組みです。

そこで早く私を追い出したい現地の人々は、次々とコインを置いて私とビリヤードで対決。しかし、私はたまたま日本で昔からビリヤードをやっていたので、負けることなく連勝。

最後には「お前やるなー!」と認められて、一緒にお酒飲んだり肩組んで踊ったりして大盛り上がり。最初は差別的に見られていたのに、認められるとあっという間に仲良くなれました。

フロリダのパブ。ビリヤードのおかげで仲良くなれた

アメリカってそういう文化なんだなと、そのときに学びました。実力があればどこでも認めてもらえるし、認めるときちんと相手にしてくれる。あとはその実力を誇示せずに自然体でいれば溶け込めるんだなとも思いました。

人間関係は最初から決めつけずに、心を開いておくのが大事。その出来事をきっかけに、なるべくその人の価値を全方向から見るようになりました。

30代の旅は、独立後の会社の「代表取締役」という立場として自分をいかに向上させるかがテーマでした。私は30歳で、旬魚酒菜『五郎』のお店を引き継ぎました。『五郎』を自分の軸として、その上でどのように自分を向上させていくのか。旅を通してそんなことを考えていた時期でもありました。

40代の旅は、ある程度のお金も立場もあるので、若い頃のような危険な旅はできなくなりました。一方で、旅を通して人生のゴールについて考えるようになりました

たとえば一人旅に行くと、帰り際って徐々に頭の中を整理していきますよね。今回の旅で何を得たかなとか、帰ったらどうしようとか。これを人生に当てはめると、40代・50代は「これから残りの人生をどう過ごしていくか?」と整理し始める頃なのだと思います。

自分が何者かというのはすでに分かっていて、何をすべきかも分かってきている。あとはそれを再確認しながら、さらにブラッシュアップしていくためにどうするかを考える。

先月50代を迎えたばかりですが、これからの旅も非常に楽しみです。

スペインのバスク地方で美食倶楽部に参加した写真


世界標準の自分でありたい。旅における3つのマイルール

旅をするときは「世界標準でいたい」と常に思ってます。新潟の標準でも日本人の標準でもなく、世界標準の自分でいたい。どこの国に行ってもカッコイイ、そういう自分でいたいのです。

旅をするときに私が大切にしていることや必ずやることを3つ紹介します。

まず1つ目は、旅先の地域で使う言葉やマナーは必ず覚えていくこと。これは1番大切にしています。

必ず現地の人とコミュニケーションを取りたいので、日常会話や挨拶などの最低限の言葉は覚えていきます。翻訳機などを使うこともありますが、現地の言葉を使うと相手も心を開いてくれます。

20代の頃に行ったニューヨークで、露店のハンバーガー屋さんに並んだときの出来事。スタッフはすごく早口のメキシカン。案の定、言葉が聞き取れず聞き返したら「列から外れろ」と言われてしまい、買えずにお店を後にしました。

悔しかったですが、英語をもっと勉強しようという動機になりました。そういうもどかしさや足りない自分に気付くことも、旅の醍醐味だと思います。

2つ目は、旅先の移動は市民が普段使う交通手段を使うこと。旅行の場合は団体の観光バスやタクシーを使うと思いますが、旅のときは現地の電車やバスを利用します。

その国の生活に溶け込んで、街の空気感を存分に味わう。迷子になることもありますが、自力で調べながら行くようにしています。

3つ目は、現地の市場や食堂に行ってみること。これも交通手段と同じで、現地の日常に溶け込んで食文化の違いを体験してみたいから

現地の日常に溶け込むと、意外なヒントが見つかることもあります。実はまだ出会ったことのない美味しいものに出会うのは、旅行よりは旅の方かもしれません。

もちろん、事前にお店をリサーチして予約していくこともあります。そこでシェフに「次に美味しいお店はどこですか?」とか「ローカルフードのオススメはありますか?」と聞いてみるのも、楽しみの一つです。


新しい自分に出会う旅

数多くの国で様々な体験をしてきましたが、不思議と海外に住んでみたいと思ったことはほとんどありません。住まなくてもいつでも行けるという感覚があったし、いつでもどこにでも行けるような自分でいたいという想いもありました。本拠地を海外に置きたい!という強いこだわりはなかったんです。

とくに今は、全てを捨てて海外に行くよりも「会社を新しい形にする」という大きなミッションがある。だから、それを捨ててまで他の国に住むことはできないかなと思っています。

私にとって旅とは、「自分を見つめ直すこと」だと思います。

よくインドに行ったら価値観が変わるとか、海外に行ったら新しい自分になれる、って言う人もいます。でも、ただ旅行しただけでは本質的に何かが変わることはないと思います。

新しい価値観や世界観を体験して、過去の自分を見直すこと。そして新しい自分になって帰ることが、私にとっての『旅』の目的です。

だからこそ、私の人生には『旅』が必要なのかもしれません。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

引き続きお店や会社のことをnoteに記していきたいと思っています。ぜひチェックしていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

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