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この仕事をするようになったのは

  目安:約2000文字

実は正規職員になったことはない

自分のやりたいことを仕事にしたいと思っていた時期があって
けど、やれることの中から興味があるものを選んでいるだけで
結局「やりたいこと」なんてよくわからなかったからだ

最初は大学時代の個別塾講師アルバイト
中学受験の経験が効いて、受験算数を主に教えていた

卒業したら「やりたいこと」と錯覚して舞台の仕事についた
株式会社になっている劇団で
一応給料制なのでバイトと掛け持ちとかはせず集中して仕事ができた
演者側だったけど、地方公演を伴うため
設営シコミ解体バラシなど、そんな場面では裏方の作業もある

楽しかったけど、詰めると結局やりたいことではなかった
考えなくとか、あっさりとか、そういうわけではなく
それなりに真剣にじっくり考えた結果
次回作のオーディションに落ちたのをきっかけにスパっと辞めた

「役者をやるなら一生何があっても続けろ、辞めるなら早い方がいい」
と先輩にアドバイスされた、というのも実はある
何を詰めたのかは端折るけど
当時、第六感的に感じてたそれは
結構今でも考えるテーマだったりする

実家を離れてある程度安定した収入が必要で
最初は土地勘もないし
確実に駅から送迎バスで連れて行ってくれる
大きな工場で働いたけど
やがて派遣会社に登録した

派遣されるには能力と経験が必要で
たまたま最初に未経験でも採用された営業事務をきっかけに
いろいろな事務を経験することになった
営業事務、一般事務、銀行事務……
ひとつの仕事が次の仕事を決定づける大きな経歴になる

そう、今人事部で事務をしているのは
最初の派遣先が「つなぎ」の事務員を探していたからだ
そしてさまざまな派遣先で経験を積んだからだ
たぶんだけど、自分の能力的に無理なくできるものでもあって
身も蓋もない言い方をすれば
こどもを養いながらそこそこ生活してこれたからだ

でもふと仕事ってなんだろうと思うことはある
生きるため?生活のため?そのためのお金のため?
それをライスワークなんて呼ぶのを知った頃
同時にライフワークやライクワークという言葉も知った

ライスワーク
生活のために働くこと
ライフワーク
自分の使命と思える仕事、またはそれを一生続けていく活動
ライクワーク
その仕事が好きで働くこと

……簡単に言うとそういうものらしい

思い起こせば、昔から趣味はいろいろあった
いわゆる手仕事的なやつで、何かをひたすら作るもの
ジャンルは特になく、ひとりでコツコツ作ることが好きだった

小さい時は、手っ取り早いところで絵を描くことが好きだった
大学が美術系で教員免許までとったのはそれが由来してると思う
だからいろんな面白い造形に手を出して
作っていくうちに完成品ばかり増えて
ハンドメイドイベントに出店してみたら買ってくれる人がたくさんいた
それはそれでとてもありがたくて嬉しかった

でも残念なことに素晴らしい想像力とかはなくて
次から次へと新しいデザインアイデアが浮かぶとかもなくて
そうするうちに、ただただ物を作ることから
自分の想いを形にする創造へと、次第に変わっていった

自分の想いを具現化させた上で合理的に完成させた
数少ない正解の品を基準として
半ばマニュアル化されたみたいに生産するという
本当に「作る作業」がしたいだけなのだ
自分にとっての正解は少数でよくて、それをただ作りたい

2年前からそれらを販売できる場所を確保したけど
人気ショップを目指しているわけではなくて

だからビジネスとして成立させるという気持ちがわかない
ビジネスとして届けたかったらたぶん起業とかしてるし
もっと万人に受け入れられる商品を開発する気持ちもあるはず。

自分にとっての「手仕事」とは、「想い」も含めて
自分のペースで長く活動したいことなんだなと自覚した

つまり、そんな感じで
自分の想いを具現化させた上で合理的に完成された物が
それを欲しいという人に届けられたら嬉しくて
自分の想いが届く人は限られた人数かもしれないけど
その人の「必要」に寄り添えるのが嬉しい

ビジネス展開の視点がない時点でその活動では生活ができなくて
だから、非正規職員で事務をしているのがライスワークだ

そして非正規職員という立場を上手く利用して
手仕事を続けているし
レパートリーは少ないけど、完成品は販売している
結局家の中でひとりでコツコツするのが好きなのだ
noteでの投稿もその中の一つ
これらの根底となる「想いを表現する活動」これがライフワーク
で、表現方法としての「手仕事」はライクワーク

ライスワークとライフワーク(兼ライクワーク)と生活
まぁ、上手くバランスがとれた日常かなと思う
欲を言えばもっと想いを表現する活動を増やしたいとは思う

とはいえ、この仕事(働き方)をできている今は結構幸せだな
なんてプチ満足している

プライベートか仕事かと言われたら
自分は仕事人間なんだろうな
キャリアを積み上げたりビジネスを大きくさせたかったり
そういうものではないけど
これはこれでひとつの形としてアリなのだ

#この仕事を選んだわけ

最後まで読んでいただきありがとうございます!