横道を何度か潰しても。

「君はなんだか、天使の見た目と力を持った上で、本来の悪魔よりも悪魔らしいことをするような、そんな存在だよね」
 若い教授は口を揃えて言う。その手には、あの誰もが望んだ果実。
「栄光な遂行な、ってどうして君たちはいつもそうなんだ? どうして中立を拒むんだ」教授は続け、そしてその脳裏には、今ですらも道を進む専門家の面影が。
 専門家は教授にはなれなかった。それでもなお、専門家は道という茨を、苦悩を飲み続ける。
「双璧のソーセージ」
「落雷か?」
 だといいな。とは言えなかった。しかし、それらしい素振りを見せることはできたが、なおのことあの少年は、それを取り巻く肉体は、許しを許可してくれなかった。
「悲しかった」
 専門家は血まみれの足を見て、動かして言う。動くたびに血が滲む。棘が刺さると黒くなる。
「迷いはないのでしょうか」無機質なあの、声。
「みかん、みかん、みかん」その黒い母性に、専門家は本来の好機を高らかに叫ぶ。しかしその途端、道にある棘が飛んできて、喉を軽々しく貫いた。
「ああ」それでも――
「専門家は道を進む?」
 みかんを潰した教授はつぶやいた。

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