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どうして生じた?領解文問題

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改めて領解文問題を考えます。 宗門に長年携わっている松月博宣さんの連載です。
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#総長

石上総長の申し入れに対する浅田寮頭の回答書

「宗報」10月号に 「新しい領解文」にかかる対応について(お願い)への回答について との表題で「宗報」6月号において、5月10日付で当時の石上総長が浅田勧学寮頭に対して行った「有志の会への指導」をするようにとの申し入れに対する浅田寮頭からの回答書を全文掲載しています。 回答書の日付を見ますと6月21日となっており、何故今なのか?と総局の対応に疑問を持つものですが、浅田寮頭回答書を読んで驚いた事が2つ。 ひとつ目は、「その1」の中で 図らずも「勧学寮頭として有志の会の声明

どうして生じた?領解文問題 vol.15

松月博宣ノート 例証編⑰悲痛な声 今回の領解文問題は、その制定の経緯に疑義があるという点と、その内容に多くの真宗門徒の理解が得られないという点があります。ご門徒に読んでもらうことで理解してもらおうと「解説文」を、消息同意の条件として勧学寮が出されたものを読んでも、ますます分からなくなるという奇妙なループに陥ります。 制定の経緯については、「手続きに瑕疵はない」という木で鼻を括ったような説明で終始しています。「こうこう、このように制定したのだから瑕疵はない。これについては

どうして生じた?領解文問題 vol.14

松月博宣ノート 【例証編】⑫「こうあるべき」の呪縛 これは2021年11月22日の宗門総合振興計画事業の進捗状況点検のおり、 見込まれる成果として書き込まれている文章です。ここで「ご親教三部作」を「ご文章」と表現している事に驚きます。おそらく『ご親教3部作』を「現代版ご文章」と位置付け、『新しい領解文』を「現代版領解文」とした上で、これからの浄土真宗本願寺派の教化の柱とする目論見がはっきりと見て取れます。 ご親教3部作の《「念仏者の生き方」「私たちのちかい」「浄土真宗の

どうして生じた?領解文問題 vol.13

松月博宣ノート 【例証編】⑥総長の役割とは? 池田新総長が就任後の記者会見で と決意を述べたと各紙が伝えています。 ご門主から指名を受けた側の理屈から言えば池田氏の語ったようになるのでしょう、池田氏も新しい「領解文」を石上氏とともに推進してきたことが今回の指名に繋がっているとは思いますから、新しい「領解文」の唱和推進をすることが門主の心に沿うものであるとするのは理路としては通っています。 しかし総長は門主のためだけに存在する役職なのだろうか?という疑問が湧き起こるのは

どうして生じた?領解文問題 vol.11

松月博宣ノート 門主制についての一考察⑥ 今回の混乱はご門主と石上さんの歪な関係性が災いしていると私は考えています。法灯継承式は2014年6月、園城前総長の時でした。その2ヶ月後の7月末に病気で倒れられ、9月初頭に療養に専念する為に辞意を表明され、9月10日に臨時宗会の招集を自らされ評決の結果、総長辞任が認められました。 その臨時宗会で総長候補として本多氏と石上氏の2名が門主より示され(いわゆる「玉手箱」)、次の日の選挙で石上さんが総長に就任することになったのです。 こ

どうして生じた?領解文問題 vol.10

松月博宣ノート 門主制についての一考察① 新しい「領解文」についての消息が発布され、その内容とともに発布の経緯に疑義があると宗門内は混乱の極みにあります。また一般メディアもこの問題を宗門を分断するほどの内紛であると報道する向きもあります。同時にご消息を発布した門主にその責任があり「門主制」そのものの在り方を問うという意見も散見されます。筆者はこの度の混乱の主因を単に門主制に求めるならば問題の所在が明らかになる事はないと考えます。 この度の混乱は「門主制」を巧みに総長が利

どうして生じた?領解文問題 vol.9

松月博宣ノート 検証⓲最高議決機関「常務委員会」 宗報4月号に「常務委員会の主な審議要旨」が掲載されてますが、石上氏の著書で「やはり」と危惧した箇所が総長答弁に使われていました。それは あの石上智康氏の著書(生きて死ぬ力)を読んで、当該文章の所で「きっとこの文章はアリバイ作り(私は関与していませんよ)のために「増補版」にわざわざ書き込んでいるな」との印象を持ちましたが予想は当たっていました。実に用心深く用意周到に計画されていることに舌を巻きます。 「宗報2023年4月

どうして生じた?領解文問題 vol.8

松月博宣ノート 検証⓫大きな錯誤 「唱和」と「出言」、言葉の違いだけだろうという意見もあるかもしれません。ここは宗教的行為で言っているのです。「唱和」は他者からの強制を伴うもの。「出言」は自発的表出。この違いは大きいと考えています。 「ご消息」にも「宗務の基本方針」にも唱和することの意味が検討がなされている形跡は見当たりません。実に安易に用いておられるように感じられるのです。それは「領解文」の重みを検討しなかったことに原因があるように思われます。ご消息に ここに領解文

どうして生じた?領解文問題 vol.5

松月博宣ノート 補遺(11)「権威」にたよる宗務運営 先に記した「顧問弁護士」も世俗の権威、「出身大学」も権威、それどころか現代版領解文制定に関しても権威。何かに付けて「権威あるもの」を求められる宗務姿勢には目を背けたくなります。「権威」は強者の論理だと思うのです。そこに弱き者、声を上げられない者、弱者への視点は欠けています。浄土真宗・親鸞聖人の教えに一番そぐわないのが「権威」でありましょう。実は先の「制定方法検討委員会」でも委員の勧学さまは設置規程の変更まで意見として述

どうして生じた?領解文問題 vol.2

松月博宣ノート ⑥現代版「領解文」制定方法検討委員会 さて勧学寮がご消息に同意した経緯に話を戻しましょう。 ここで少し、その前段階をお話しした方がわかりやすくなると思います。現代版「領解文」制定方法検討委員会なる訳のわからない委員会(注/寮頭発言)が設置されたのは2022年4月1日付け宗則によってです。これは2022年3月25日、宗派の議決機関である常務委員会で法規事案「現代版『領解文』制定方法検討委員会設置規程宗則案」として提案され、その提案理由として「第1期計画当初か