【映画】君たちはどう生きるか
【あらすじ】
戦時中、空襲により母親を亡くした主人公・牧眞人は東京を離れ父と共に郷里へと帰る。
父は、母の妹である夏子と再婚予定であり、そのお腹の中には新たな命が宿っている。
眞人は複雑な思いを胸中に抱きつつ、日々生きていく。
そんな時、一羽のアオサギと邂逅し、導かれるように古びた塔へと誘われる。
かつて、眞人の先祖が建てたと言われる塔には、昔から不思議なことが起こるようでーーー。
【感想】
告知を一切しないという戦略の為か、公式っぽいあらすじはどこにも公開されていなかったから、自分で書くしかなかったよ、、、
この広告を打たないという戦略がハマったのかどうかは分からないけど、滑り出しは上々らしい。
本当は公開日に観に行きたかったのだけれど、仕事の折り合いがつかず、公開5日目での視聴となってしまった。
僕と同じ、平成初期生まれの多くの日本人がそうであったように、小さい頃からジブリ作品は身近にあった。
初めて観たジブリがなにであったかは忘れてしまったけど、子供ながらに独特なファンタジーの世界に魅せられて、レンタルビデオショップでジブリのVHSを片っ端から借りていったのを覚えている。
そして直ぐに全部観てしまい、母親に「同じ人が作ってるアニメだよ」と渡されたのが『未来少年コナン』だった。
これに僕は激ハマりし、今でも好きなアニメの上位にいる。
僕は普通の人より、ちょっとだけジブリに対する愛が強いので、ジブリサイドの思惑通りに、観に行くまでの間、なるべく前情報を入れないようにしていたのだけれど、SNSなどを開いていると不意にこの映画に言及した声が目に入ってしまうもの。
ネット絶ちをすればいいだけの話だが、悲しいかな僕はこの文明の利器に依存してしまっているので、それも土台無理な話。
そんな漏れ聞こえてきた、この映画の評判は「理解できない」「難解だ」というものが多かったように思う。
観終わった僕の感想としては《割と王道なファンタジー》だというもの。
確かに、意味深な演出やセリフは随所にあったし、終盤の展開も抽象的な映像表現が多かった。
けど、この映画で描きたいことは終始一貫してると思う。
それは、心に傷を負った少年が、空想(≒理想)の世界の中で、自意識を育み、他者理解を深め、自らの生きる道を選択していく物語であるということ。
ここで説教くさい『君たちはどう生きるか』というタイトルが響いてくるわけ。
終盤、空想の世界の中で、やっとの思いで母の妹である夏子に会えた刹那、夏子に「嫌いだ。あっちいけ」と言われてしまう。
一瞬、主人公は臆したが、直ぐに真意を読み取り「お母さん、夏子お母さん」と歩み寄る。
この瞬間に、主人公は現実に生きる決意をしたのだろう。
あまり難しく考えすぎず、眞人少年の成長譚として楽しむのが一番いいと思う。
そもそも、この映画はどっからどうみてもファンタジー作品なのだから、すべての演出に意味を求め、合理的な解釈をつけようとするのはお門違いと言えよう。
面倒臭い考察なんてする必要ない。
もう観られないと思っていた宮崎駿監督の長編映画がまた観られたんだ。
それだけでいいじゃないか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?