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ショバ代

渋谷の道玄坂を登り、丁度登りきる手前に大きなアーチがある。

「渋谷百軒店商店街」

昔は100軒のお店が軒を連ねていたであろう商店街。
今では入り口こそ華やかなお店が多いが突き当たりの路地を曲がると
すぐにホテル街。
ラブホテルが所狭しと乱立される路地。行き交うお姉様。
街灯も先ほどまでより一段暗くなってしまう通りの風俗嬢待機所前に
亮太が働いていたお店はありました。

立地としては渋谷、道玄坂、一等地。
しかし内情は、風俗、怖いおじさん、酔っ払い。

歩いて1分のとこにはライブハウスやクラブが沢山あり、
若者が道路を席巻しています。
しかし、こちらにはきません。
こちらの通りにはなぜか若者は来ません

見えているのに、明らかに飲み屋があるのに、
危険察知能力が働くのでしょう、手前の串カツ田中には来ますが、
数軒隣にある亮太のお店には来ません。通りが暗いし人通りがないから。

そんな場所なのでもちろんありました。

ショバ代。

オープン初日にありがたいことに沢山のお客様が来店してくれて
女子率は98%の店内でしたが、そこに怖いおじさんは来ました。

入り口が開いた瞬間店内が凍りつきます。
見た目で明らかに空気が違う方が店内には入らずに、入り口から
カウンター奥の亮太を見つけ手招きをしています。
後々知ったのですが店内には入れない決まりがあるみたいでした

外に呼び出された亮太は足も手も震えてしまい会話をするのがやっとです。
内容は、
ここで商売するのならショバ代。
つまり場所代を払えと。月一回取りに来るからと。

とりあえず頷きながら、話を聞きました。
金額はこれな。
そう言って手のひらをパーにして見せてきます。

五千円?

そんなボケは通じないです町内会費ではないです。
5万円を要求されます。

しかし、その時の亮太はなぜかすぐに受け答えができました。
お店を守らないといけない使命感があったのかもしれません。

すいません、
そんなに払ったらやっていけないんで3でどうですか?

まさかの、怖いおじさん相手に、値引き交渉をしました。
今までそんなことをされた事が無かったであろうおじさんは、

お、おう。そうか、じゃあ、3だな。

なんと成功。
商人魂ここにあり。
いや、ほんとならすぐに110番がおすすめです。

そんな恐怖の値引き交渉の後、
そのおじさんは来ませんでした。
待てども暮らせど扉を開けてくれませんでした。
毎日扉が開くたびにドキドキしていましたが現れず、
風の噂では持病の痛風が悪化して風になったと、、、

これが初めてのショバ代の経験です。
その後も他の怖いお兄さんやおじさんが訪れてなんやかんやありました。
正月だから餅と日本酒買え、おしぼりこの業者にしろ、酒屋はここだ、
沢山の経験をしましたが皆様お店で飲んでくれて話も面白く意外と助かっていた部分も沢山ありました。
ただ、金銭の要求はのんではダメです。
すぐに110番。それか値切る。こちらをオススメします。


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