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純粋と狂気は、表裏一体。 – 僕のクリエイター判断基準要素

「新人をどうやって判断するんですか?」と聞かれることがよくある。
僕自身がミーハーなこともあり、わかりやすいものが好きという大前提の傾向はありつつ、究極は自分が好きか、嫌いか。それだけしかない。

勿論いろいろな才能に触れていると良いなと思う個性がそれぞれ違うし、仮に自分が関わった時に見出せるポイントも別だ。

シンプルに言えば「好きか、嫌いか」なのだが、音楽系のクリエイターを感じる時、自分の中の基準として大切にしている要素が4つだけある。

それは、

声。
メロディー。
歌詞(言葉)。
そして、狂気。

だ。

一つ目の「声」。

言うまでもなく、ボーカルの声。
どんな楽器より、どんなサウンドより、唯一無二の音が声である。
声は天性のもので、どんなに優秀なスタッフ、エンジニアでも作ることは出来ない。
※良い声を活かすための環境を整えることは出来るけれど、生み出すことは出来ない。

素晴らしい声は楽曲の魅力を何百倍にも引き出し、そのクリエイターの強い個性として存在感を持って輝く。
元来、自分が声フェチな所もあるが、声は自分の中でとても大切な要素だ。


次に、二つ目の「メロディー」。

ニッチだったり、難解なものより、わかりやすく、キャッチーな音楽。
マジョリティの人に届く、子供から大人まで伝わる歌。
親しみやすく、人懐っこく、人の心に深く届くメロディーセンスを持っているか、否か。
僕はポップスが好きなので、自分が関わるとしたら、このポップセンスの有無は非常に重要視している。


三つ目は「歌詞(言葉)」。

言葉を持っている子は、その感性で自身の世界を繊細に表現出来たり、感じる世界を圧倒的な密度で描写する。自分の哲学を自分の言葉で表明出来る。

そして、言葉は思考する時にも、自ずと必要とされる。
また、ハッとする言葉を選び出すセンス、それはキャッチーさにも繋がってくるもので、この言語感覚や反射神経を持っていることは、僕にとって大切な基準だ。


そして、最後の一つは、「狂気」。

これを感じられるか否かが、僕の中では一番重要だ。

「狂気」、それは単純に狂ってるという意味では全くない。
狂気の対義語は「純粋」。
僕はそう思っている。

普通の人間とは違う、感性のアンテナが鋭いクリエイター。
常人には見えない世界、感じられない世の中を、彼らクリエイターは生きている。

純粋な感度を持つ彼らが、今の世界や時代を感じ、彼らのフィルターを通して作品を生み出す。
時に子供以上の純度で世界を感じて、それを表現し、提示する。
純粋で存在出来ること、それはクリエイターの特権であり、宿命でもある。
しかしながら、そこは常人には想像もつかないような葛藤や衝動、苦しみが存在している。
でも、だからこそ、そこに普通の人には生み出せない作品やクリエイティブが誕生する。

生まれ持っての純粋さで世の中を感じられる才能。
しかしながら、普通に生きるには危うい繊細さが同時に存在する彼らの感性。
常人にはわからない世界、それは時に一般的には異常とも判断されてしまうこともある。
ただ単純に純粋なだけなのに、そのピュアさを突き詰め、掘り下げていくと、いつかどこかで狂気とぶつかる。

純粋と狂気は表裏一体。

お会いしたことはないけれど、作品やインタビューを見る限り、きっとジブリの宮崎駿さんはその究極の極みだと、僕は思っている。


と、いろいろ書いたが、あくまで僕が判断の基準として大切にしているのは、上記の4つのポイントだ。
全部が満点である必要はなく、才能によって、それぞれの濃度が違い、それが自然と個性に繋がってくる。

これらを感じられて、自分が好きだなと思えた才能に、可能な限りどんどん出会っていきたいと心から願っている。

https://twitter.com/Ryota_Shishido ラストラム→TOKYO FANTASY→RED 主に音楽関係のマネージャー 新しい才能との出会いを求めています。 音源やプロフィールはツイッターのDMかinfo@red.jp.netまでお気軽にお送りください!