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それぞれのタフ論

昨夜、『たくましさのルーツ』というオンラインイベントに参加した。

仰ぎかおるさん、illyさん、ナースあさみさんが「たくましさ」について語る。何を隠そう、このイベントの発端は僕である。先日のイベント内で、この三名の名前を挙げて(参加してくれていたので)、「こういったたくましい人もいるけど、みんながみんなそうじゃない」と言った。すると翌日には、この三人が主催する『たくましさのルーツ』というイベント告知が回ってきた。この速さこそ、たくましさである。

「たくましさ」の定義からはじまって、三人でディスカッションする。実はこの定義付けがおもしろくて、それぞれが自分のことを自信たっぷりに「たくましい」と断言していなかった。「いや、別段たくましいとは思わないけれど、弱くはない……ということは、言われてみればたくましいのかな」という感じで。そこから、「傷ついた過去」とどう向き合ってきたかという話に展開していく。

傷の克服がたくましさへとつながる

たくましい人は「傷つかない」というわけではない。「ダメージ」とうまく付き合う技術を知っているということなのかもしれない。現にディスカッションの中で、三人の口からは「経験を重ねること」という言葉が共通して出てきた。たくましさは技術なのだ。

話を聴きながら、三人と僕の違いを考えた。例えば、人に「今、つらいです」と言えるかどうかみたいなところ。「つらかった」という過去のことは言えても、たくましい人は現状の「つらい」を口にしない。ほとぼりが冷め、自分の中でうまく消化排泄ができるようになってから「あの時はつらかった」と言う(それを言わない人もいる)。僕の場合は、わりとすんなり「つらい」と言えてしまう。僕は特別メンタルが強いわけでも弱いわけでもない。三人との大きな違いはそこじゃないだろうか。質問したわけでもないので本当のところどうなのかはわからないけれど。

ただ、そこにも何か大きなヒントが隠されているような気がする。

本当の意味での強者は、「つらい、死んじゃう」と言いながら翌日にはパンケーキを食べて「幸せ、死んでもいい」なんて言っているような人なのだけど。それは「たくましい」のではなく神経が太いだけ。僕がこの三人を「たくましい」と言ったのは、繊細さと力強さ(やさしく包む力と相手の心に希望を描く力)の両方を持っているから。旗を振る人間のテーマだとも言える。

最後に「希望の提示の仕方について教えてください」という質問をさせてもらった。あつかましくも、僕が三人から受け取った印象を伝えさせていただいて、それについての回答をお話してもらった。実に興味深い。最後の数分間が僕の中では一番の収穫だった。何を言ったのかはあえて書かない。

一つ言えることは、良質のやさしさは、依存させずに自立を促す。三人の話を聴いていてそう思った。「たくましさ」について考えさせてもらえた90分はとても有意義な時間だった。

三人の印象

illyさんは取材をさせてもらったこともあり、最も親しくさせていただいている書き手の一人。ファシリテーターとしてこのようなイベントをもっと開いてほしい。いい話を引き出してくれるし、オーディエンスを安心させてくれる。このイベントに関わらず、定期的にやってほしい。

仰かおるさんの行動力と熱量は人をハッピーにさせる。今回のイベントも一早く形にしたのはかおるさん。実はあの後、少しだけお話を聴かせてだいた。公式noteピッカーの経験がもたらした責任と読む力というのは、あれをそのまま配信してもいいんじゃないかと思うくらいおもしろかった。「たくましさ」というのは具体性のある話に顕著に現れる。

ナースあさみさんがチャーミングだった。ナース服を着て、生ハムを食べながらシードルを飲んでいた。実においしそうに口をもぐもぐさせながら。うま味調味料のような過剰なリアクションは無い。それそのままの姿だというのに、とてもおいしそうで。あれがよかった。

「話す」に集中するわけでもなく、「聴く」に集中するわけでもなく、「食べる」に集中するわけでもない。あれが安心するし、あのもぐもぐ食べていた生ハムを僕も食べたい。

はじめてオンライン会議で食べ物がおいしそうに見えた。それは料理を見せるのではなく、食べている人の表情なのだな。「ながら食べ」の日常感はそばにいる人に安心をもたらす。

最後の方で「このナース服、コックに見えるよね?」と言っていたのもよかった。


※鋭利な角度、飛び出し注意の文脈メシ(ナースあさみの生ハム)。


追伸

あさみさんの「わたしは書くネタに困ったことがない」という話はとても興味深かった。どのnoteも書こうと思った時に一筆書きのように書いてるだけなのだと言う。書き手に求められるのは観察力と感受性なのだ。「おいおい、この話も配信しようぜ」というくらい、口を開けるごとにパンチラインが飛び出て、最高だった。不思議な人である。


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