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呼吸で対話する

先日、「緊張を癒す」というテーマで対話しました。

人は緊張状態にいるとき、パフォーマンスを存分に発揮できない。見えない糸で縛られているようだ。当然、対話する上でも緊張は良い影響を与えません。より良い対話にとって重要なのは、緊張を癒すことではないだろうか。あらゆる表現やコミュニケーションのヒントはそこにあるような気がします。

最近、「あなたの好きな声を聴かせてください」と、さまざまな人から惹かれる声について話を聴かせてもらっています。特定の人物の名を挙げる人もいれば、惹かれる声の傾向を語る人もいます。「チェストボイス以下の響きを持ち、ゆったりとことばを選びながら語る声」といった具合に。

わたしは仕事柄、人に話を聴く機会に恵まれています。また、インタビューした内容をテキストに落とし込んでゆく工程で、話し手の声を何度も聴くことになります。「好きな声」について思索に耽り、吟味を繰り返す中で、声の受け取り方にバリエーションが生まれてきました。

以前までは、声の強弱、高低、速度くらいしか認識していませんでした。語りの中にノイズが混じることで、その機微にこころを巡らせていた。ですが、「好きな声」への内省を続ける中で、声に対する感受性が高まった。要は、声が発するメッセージの解像度が高まったように思います。

声は強弱、高低、速度の調和だけでなく、浅さや深さ、軽さや重さがある。声という音の構成要素が見えてきたのです。その上で、あらためて話し手の声に耳を傾けると、対話は別の景色をわたしに見せてくれました。

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「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。