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全景千原010

おはなしの魔法

嶋津
千原さんはどうしてそんなに分かりやすく話すことができるのでしょう?誰にでも理解できるように話すだけでなく、それがプロ、素人問わず、相手に何かしらの発見を与える。「わたしのために易しく喋ってくれている」という気遣いをさせずに、誰が相手でも変わらないスタイルでお話になっている印象です。それも本質的なことを言語化して。

千原
それはプレゼンテーションと同じだと思うんですよね。日々、色んな方と話をします。それはクライアントだけでなく、スタッフはみんな若い、奥さんや子ども、友人。一緒にご飯を食べる2時間だったり、打ち合わせの30分だったりの中で、自分の想いを分かってもらう必要がある。いつも心がけていることは「1つでいいから、相手の記憶に残って欲しい」と思って話しています。

逆の立場の時に、「たくさん喋っていたけど、結局何を言っているのか分からなかった」ということは結構あって。れもんらいふデザイン塾や僕のトークショーを聴きに来た人って、期待値120%で待っているんですね。「来てよかった」「会ってよかった」「あの言葉が刺さった」と後々言える内容にしないといけない。聞きに来ている一般の人という意識で喋るのではなく、〝お金を払ってくれたクライアント〟だと思って喋ると向き合い方が変わってきます。

スタッフが失敗しても「この人できないなぁ」と思って話すのではなく、「うちの会社が好きで、僕の下で勉強したいと思って入って来た人」という風に思わないと意味がない。僕の根底にあるのは、「自分が体験したことをみんなに経験して欲しい」という想いです。僕の好きな人、知り合った人、自分が関係している人みんなに僕が良いと思ったことをやって欲しい。

僕の会社に来た人には僕の見ている景色を見て欲しい。僕はアートディレクターという立場で、良い景色を見させてもらっていて。それこそ憧れの人と出会ったり、一緒に仕事をしたり、自分がおもしろいと思ったことを形にできたり。その景色というのは、本当にそこの土台に立たないと感じることができない感覚や心地良さだったりするので。辛いことだってプラスにできるし、毎日が輝いて見える。

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名前が世の中に出ると、名前で仕事が来ることになる。それは、より世の中に広まる仕事ができたり、自分が「この人と仕事をしたい」ということも叶ったりすることを意味します。僕は、関わった人にはみんなそのステージまで行って欲しいと思っています。「すっごい楽しいよ」「憧れの桑田さんと仕事できたよ」「グラフィックデザイナーなのに、サザンの企画をしたら4000人集まったよ」って。

それって、ただ努力やそれだけの問題ではなくて。自分がどういうことを伝えていかなくちゃいけないのかということを常にアンテナを広げながら、自分のポリシーを持ってやっていかなくてはならない。「みんなそこまで来て、一緒に話をしようよ」という気持ちです。技術があれば伝わりやすく。そこに想いが乗っかればドライブがかかる。

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人生を一つの物語として見た時、どこを編集して作品を作ろうか。千原徹也のマインドは、燃えないゴミの山でも、ピカピカの宝物に換えてしまう。



「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。