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天蓋にプラネタリウム【Last Night オンラインバー vol.21】

〈空気の研究vol.5〉
【CafeBarDonna DJ Night】

黄泉の世界と現世の世界が結ばれる盆の未明に扉を開く。熱帯夜をシャンティで満たす。アラビアンミュージックは夜の砂漠に涼やかに響く。暑い国の音楽は感性に爽涼な味わいを与えます。エレクトリックな文明がなかった時代、人は「音楽」の力でフィジカルとメンタルの両面をコーディネートしていたのかもしれません。

アラジンの魔法の絨毯よろしく、精霊馬に乗って夜空を駆け抜ける。砂漠で線香花火、星屑とダンス、アラビアンミュージックでチルアウト。千夜一夜物語のひとかけらのような時間を綴りたい。

創作について

DJのカジサキモトキの選曲の元、さながら「ジプシー」のように音楽で様々な国を渡り歩きます。メンバーの玲加さんからの相談で対話ははじまりました。それはMuse杯の作品に関するもので、「8割書けたけれど、最初から書き直そうと思っている」とお話になりました。そのテーマに関して、メンバーそれぞれが作品づくりの姿勢を語りました。

最後まで書いたけれど下書きに戻す人、全て消してしまう人、とりあえず形にして次へと向かう人。いろんな人がいます。僕個人の意見としては、結末を二つつくればいいのではないか、と。つまり、ストーリーを2パターン用意しておいて、途中から読者に選んでもらう。コンテンツとしてもおもしろいですよね。

他には、コンテスト中に他の作品に目を通すか。力のある文章には求心力があります。文体などの表層的な部分で影響を受けることもある。「見ない」という人もいれば、「一通り目を通す」という人もいます。人間の叡智は模倣の蓄積ですから、影響を受けたり、真似したりすることが悪いわけではないと思っています。あからさまに「言葉」や「表現」をそのまま使ってしまうのは問題ですが、扱うテーマや視点、言葉の運び方などは優れた作品から吸収した方が良い。それでも、独自性はあふれるものです。

「人生」という幅で物事を考えると、模倣は自身の能力を磨くには一番の手っ取り早い手段だと思います。殊に「コンテスト」という幅で考えると、期間の短さや対象者との距離感の問題もあり、影響を受けたくないという気持ちも共感できます。

そんな中、うたたネさんは「自分が良いと思ったものは、気持ちのままに取り入れて表現します。でも、すぐにうまくいくはずもない。ただ、一旦形にしてしまうと冷静になれるので、次へ進めます」とごもっともな回答を出していらっしゃって、とても感心しました。

そこから「書く」に対するそれぞれの姿勢を共有しました。ここに訪れる人の多くは、どちらかと言うと「ストイック」な方々です。誰かに求められたわけでもなく、求道的に理想の文章を追求しています。あるいは、「書かざるを得ない」という状態にいる。創作が自分自身を救ってくれることもあります。

Muse杯の主催としては、みなさんがそれほど真剣にコンテストの応募作品について考えてくださっているということがうれしく胸がいっぱいになりました。

右脳と左脳

池松潤さんは週末には恋愛小説を書き、普段は考察系の思考でお仕事をされています。また、うたたネさんは大学院の研究室で人工衛星をつくる傍ら、noteでは文学的なエッセンスを主題にしたエッセイを書かれています。

その頭の切り替えはどのようにしているのか、質問してみました。潤さんは、酒と自転車。酒を飲めば頭は真っ白になる、あるいは、自転車で身体を追い込めば同じことが起こる。つまり、脳内をホワイトアウトさせて一旦リセットする。

うたたネさんは音楽でコントロールしているようです。理系的な思考にいる間は、テレビの砂嵐のようなホワイトノイズを聴いていると集中力が増すのだと言います。エッセイに切り替える時には、酒を飲み、ロックを聴くのだとか。

二人の共通点が「酒」ということが興味深いですね。ここはCafeBarでもあるので、その酒を有効に扱って、ムードを演出したり思考や情動にマジカルなエッセンスを加えたいです。今度、「Gin Night」でもしようかしら。ボタニカルな風味広がる一夜になりそうですね。

身体と思考

また、身体的な効果が思考の働きに影響を与えるという点が、僕の関心を惹いています。永平寺にはアメリカ西海岸からトップエンジニアたちが日々訪れるのだと言います。スティーブ・ジョブズが禅に傾倒したことは有名な話ですが、彼らは瞑想(マインドフルネス)によって身体と精神のコントロールすることの重要性をよく知っています。

ドイツ人哲学者のオイゲン・ヘリゲルが書いた『弓と禅』。潤さんが文章に対する姿勢を説明する時によくお話になっていますが、その本や鈴木大拙の著書をテーマに語り合ってもおもしろいかもしれませんね。

次回のCafeBarDonnaのテーマは「身体と思考」にしたいと思います。みなさんと深いところまで潜っていくことができれば幸いです。

Art de Vivre
〈空気の研究〉

Art de Vivre(嶋津亮太とカジサキモトキによる文学と音楽のユニット)がお届けするDJ Night(空気の研究)は主に、前触れもなく夜中に開かれます。音楽と対話の関係性を考える上での、仮説と検証を繰り返すための実験です。毎回、対話を支える(臨場感や心地良さ)音楽の効果のデータを採り、閉店後にフィードバックします。オペレーションを含めて、次の改善点を洗い出し、小さなアップデートを重ねていく。そのようにして、「場づくり」の研究をしています。

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