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「関係性」に価値がある

「対話」とは、一対一の関係性を築く行為である。

これまでに何度も書いてきたことです。ぼくたちは、対話を通して互いの間にある「関係性」という物語を紡いでいます。そう、関係性とは、物語です。

それは「人」だけでなく、「モノ」にでも言えます。「わたし」と「あなた」の関係性。それは、対象をどのように扱うかによって見えてきます。たとえば、それが川辺で拾った石ころだとしても。ていねいに扱うか、ぞんざいに扱うかで、関係性の築き方は異なり、実際に関係性も変わってきます。石ころに価値があるのではなく、そこに築かれた関係性に価値があるのだとぼくは思います。それは、その人の大切な物語だから。

ぼくは、誰かが大切にしている存在は、大切に扱いたい。モノでも、人でも、思想でも、概念でも。モノやことばをていねいに扱う人が好きなのはそのような理由です。慈しみながら、関係性を構築している。きっと対話が上手なのだと思います。

最近、いろいろな人に「物語の力」についてヒアリングしています。

小説や映画などの創作物でもいい、自分の人生のストーリーでもいい、日常に散らばっている小さなエピソードでもいい。そこに宿る力とは。

ぼくは「物語の力を信じている人は強い」という仮説を立てています。物語の役割や機能を含め、その仮説の検証を日々繰り返しています。それは、とても楽しい時間です。

「物語の力」を信じている人は、物語を紡ぐことも上手です。自分の身に起きた出来事を巧みに編集する。一つひとつの点は全く別の場所にあるのに、それを繋ぎ合わせることで意味づけする。点をリンクさせた瞬間に、物語は生まれます。本当は、お互いの点は関係のないものなのかもしれません。でも、その人にとっては宿命的に結びついている。たとえば、とある苦しい経験を、逆境を乗り越えるための必要不可欠な要素として意味づけしたり。

そのように、自分の人生を編集してゆくことで、生命力を培っている。「奇跡」という体験は、その最たるものです。人は「偶然だ」と笑うかもしれませんが、自分の身に起きた奇跡は確固たる物語として自分の人生に刻まれます。その人は、「奇跡」を信じる力を獲得できるのです。つまり、「世の中には奇跡があふれている」という視点で、世界を肯定できるようになります。

ある人は、外側にある創作物(誰かがつくった物語)から構造を抜き出し、自分自身に応用します。物語が、生きる上での支えになる。どのみち、「物語の力」を信じている人は強い気がしています。

「対話」は、一対一の関係性を築く行為であり、「関係性」は「物語」と言い換えることができると書きました。

ぼくたちは対話によって物語を紡いでいます。そういう意味でも、ぼくが「物語の力」に惹かれることは自然なことなのかもしれません。

あなたの「物語の力」を聴かせてもらえるとうれしいです。



「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。