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「あの頃に戻りたい」だなんて

「学生時代が1番楽しかったよね」「あの頃に戻りたい」確かに学生時代のあの頃は楽しかったけど、なぜ過去の話ばかりで盛り上がるんだろうか。

確かに学生時代には楽しい思い出がたくさんあった。秘密基地を作って、知らないおじさんに住居にされて、今までの努力が水の泡になった。休み時間に学校を抜け出して、コンビニにパンを買いに行って、それが先生にバレて学年指導の先生に思いっきりビンタもされたっけな。くだらないことで笑いあえたあの頃は確かに楽しかった。

でも学生生活であまり泣いた経験がない。中学のサッカーの最後の大会で負けて悔し涙を流したぐらいだろうか。涙を流してしまうほど悔しかったのはあの時ぐらいだろうね。

卒業式でみんながわんわん泣く中全然泣けなかったし、むしろ次の出会いや道にワクワクしている自分がいた。もちろん友人との思い出をないがしろにしているわけではない。学生時代は確かに楽しかった。あの頃の友人は今でも好きだし、いまだに遊んだりもしているから、あの頃に出会った人たちが今も好きなのは間違いない。

ああ、そういえばバイトの送別会では泣いてしまった。真剣に頑張っていたから、その思いがグッと込み上げてきたんだろうな。でも次の日には何事もなかったかのように、いつも通りの日常を過ごしていたからもしかしたらぼくは薄情者かもしれない。

「学生時代が1番楽しかったよね」「あの頃に戻りたい」なんて言葉をSNSや友人の口からよく聞く。

でもぼくはあの頃が人生の絶頂だなんて思いたくないし、今を捨ててまで過去に戻りたいとは到底思えない。過去に浸るよりも未来にワクワクしていたいと思っているのだろうか。いや、あの頃も楽しかったし、今も楽しめているから戻りたくないのかもしれない。

「明日12時にうちの前で待ち合わせな」って学生時代みたいに気軽に言えなくなったし、言ったところで集まる人は限りなく少ないし、確かにあの頃よりも自由な時間はかなり減った。

家庭を持っている人もいるし、次の日に仕事がある人がほとんどだから、時間を気にせずに遊べなくなった。

たまに「飲みに行こうぜ」「どっか遊びに行こ」って連絡があるぐらいで毎日連絡を取り合わなくなったし、連絡を頻繁に取るのが迷惑なんじゃないかとこちらから連絡を入れるのも気を使うようになった。

学校を卒業し、就職のためにどこか遠い場所に行ってしまった人もいるし、疎遠になった人もたくさんいるからあの頃と同じようには到底無理な話。

何回も言うけど学生時代は楽しかった。将来なんか微塵も考えていなかったし、「今がよければそれでいい」と思って日々を過ごしていた。後先考えずに毎日を全力で楽しんでいたし、失敗の恐怖心も今ほどは大きくなかった。

学生時代を終え、みんな働くようになって、職場でうまくいかない話や「上司がウザい」「後輩が使えない」という愚痴が増えた。人間関係のストレスが増えて会社を辞めてしまった人もいるし、体調を崩したり、鬱になってしまった人もいる。

どんどん体力もなくなっていくし、昔ほどのノリの良さや勢いもなくなった。楽しいことより辛いことの方が多いし、見たくない現実にもちゃんと向き合わなきゃいけないし、昔みたいに今だけ楽しければ良いわけでなく、将来のことも真剣に考えなくちゃならない。

色々考えると大人は大変なのかもしれない。それでもあの頃に戻りたくないと思っている自分がいる。今を大切に生きたいし、これからを楽しめるように生きていたいなって。どれだけ願っても過去には戻れないから、それならいっそのこと今を楽しむ方法を模索した方が楽しくなりそうな気もしている。

「あの頃に戻りたい」は今と過去を比較した結果生まれた言葉。彼らにとっては今よりも過去の方が楽しかったのかもしれない。学生時代に人気者だったあの人も当時の輝きを失い、愚痴ばかりをSNSで吐くようになったし、いつの間にかアカウントに鍵をかけてしまっている。

今が楽しくない彼らにとって今は最低かもしれないけど、昔みたいにどうやったら全力で楽しめるかを考えた方が幸せになれるし、どうか自分に幸せになっていいんだよって許可を与えてあげてほしいなと思う。

「あの頃も良かったけど、これからもあの頃みたいに楽しもうよ」って言えるような人でありたいし、ぼくがもしも「あの頃に戻りたい」って言ってあしまった時には同じ言葉を掛けてくれる人がそばにいてほしい。

SNSのアイコンも常にアップデートしてほしいし、変わった自分の姿を楽しめるような人であってほしい。いつまでも過去の感傷に浸っていたくないし、友人にも楽しい思い出をどんどん共有してもらいたい。

インスタにいつまでも自撮りをあげていてほしいし、「おっさんっずラブ!」「おばスマイル」「ズッ友」とかくだらない文言を添えて、ストーリーにいつまでも楽しんでいる写真をあげてほしい。

年齢を積み重ねるだけであの頃と変わらず人生を楽しめるように、どうかあの頃に戻りたいとは思わないように、今を全力で楽しんでほしい。

みんなが楽しく過ごしてくれているのが嬉しいし、それが生きる活力にもなるから「お互いの人生これからもきちんと楽しんでいこうな」って気持ちで生きていたいね。

そして、たまにお酒を飲みに行ったときには、「俺らの人生最高に楽しくない?」って今の話やこれからの話をお酒の肴にしたいものだね。

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