愛なんて

「用法、用量をお守りください」

いつだって適度な距離感を保つことで、適度な関係性を作ってきた。愛が足りない時は、足し算をして帳尻を合わせた。そして、愛がいきすぎた時は、引き算をして帳尻を合わせていた。それでなんとか2人であることの調和を保とうとしていた。

2人の思いが一方通行にならないように、僕らはいつだって愛の用法、用量を守ってきた。それでもいとも簡単に愛の方程式は崩れ去った。僕らは2人の愛を証明することができなかった。

因数分解したところで、終わりの原因は突き止められなかったから、数学なんて当てになんないや。君がいない世界なんて生きる意味がないから、どこか遠くの方へ行ってしまおうかと思っているんだけど、どこも行けずに佇んでしまうだけだからほんと情けないよね。

2人の思いが掛け合わさった時は、2人で1つになれた気がした。でも2人の考え方や価値観が割れて、その結果、1つは2つになった。四則計算をしても、方程式に当てはめても、愛の公式は完璧に証明されなかった。因数分解も役に立たなかった。

ねえ知ってる?数字には友愛数って奴があるらしいよ。約数の和が等しくなる数字のことで、220と284が一番小さい友愛数らしい。でも僕らの友愛数はどこに行っても何をしても、見つからなかったというのが事実だ。

感情は理論を簡単に超えてくるから、数学なんて何の役にも立たない。学校の先生は、何の役にも立たない数学は教えてくれたのに、愛については何にも教えてくれなかったから嫌になっちゃうね。

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