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世界を救うどころか、屋台の金魚すらうまく掬えない

『仮面ライダー』を見ている頃は、まだ小学生だった。当時は大人になったら自分が悪を倒すと本気で思っていたのに、仮面ライダーの年齢に達しても、悪を倒していない。そもそも悪ってなんだ?善と悪の見分けすらうまくできない。29歳になったのに、世界を救うどころか、屋台の金魚すらうまく掬えないままだ。女の子の目の前でカッコつけることすらできない僕のどこに男らしさがあると言うのだろうか。

どこでこんな大人になったのを振り返る。高校まではサッカー選手になるとサッカーに全力だった。プロになるために高校を選んだのに、サッカーが嫌いになりそうだったため、1年の夏休みを乗り越えてから部活を辞めた。そこから何がしたいかのかがわからなくなって、適当にバイトをしながら遊んでいた。

人間は熱中できるものがなければ、途端にダメになる。学校に行って、授業は寝ている間に終わってしまう。教科書を読めばわかるだろと突っ込みたくなる授業に飽き飽きしては、不満だらけの自分に嫌気が差しねていた。人生は何がしたいかがわからなくなってから急に雲行きが怪しくなる。大学生になってした自己分析。就活サイトの質問を答えるだけで、自分の強みや天職がわかるらしい。誰かが作った質問で自分をわかった気になって、いま就活サイトに提示された職業とはまったく違う職業についているからあんなものは正直当てにならないと肌感覚で知った。

就職活動の際に、たくさんの社長が「うちはアットホームな職場だ」と言っていた。社会人になってから知った話だ。事実か否かはいったん置いといて、どうやらアットホームと謳い文句を掲げる企業はブラック企業が多いらしい。社会人になって、2ヶ月で転職をして、1つの会社に3年半ほど勤めて、ライターとして独立した。会社員時代、満員電車は辛いし、会社に着く頃には「帰りたい」の気持ちは最高潮に達しいている。時間が過ぎれば家に帰れるとか言って、なんとか仕事をしていた。好きな仕事ならばと好きな仕事をしても不満は出てくると知った。

25歳ぐらいになってから結婚ラッシュが来た。1年に数回結婚式に招待されて、おめでたいとか言いながら結婚式に出席する。「お前はいつになったら結婚するの?」って言葉は何回も聞いた。祖母にはいまだに言われるけれど、父親には「もうお前には期待していない」と言われるようになってしまった。

26歳で結婚という計画を立てていたんだけれど、計画はあくまで計画の範疇を越えなかった。自分が立てた計画はほとんどうまくいかないと知ったのはその頃かもしれない。毎年意気揚々と1年の目標を立てていたんだけれど、どうせうまくいかないしってことで、27歳からは目標を立てなくなった。

『仮面ライダー』に憧れていた自分が、いまの自分を見たらガッカリすると思う。「お前何やってんだよ」と諦めモードになるかもしれないし、よりよい未来を迎えるために、必死に運命に抗うかもしれない。後者だったらいいけれど、性格的に考えると抗うことをせず。どうやったら未来がもっと楽しくなるかを考えるはずだ。

生きていると、本当に想定外のことばかり起きる。人生は3つの坂で構成されているらしく、それが「上り坂」「下り坂」「まさか」だ。毎日坂と出会うなんて正直しんどい。下り坂は楽だけど、降りた分登らなければならないため、下りすぎるのもたぶん疲れる。たまには休みたいし、乗り越えられる試練しか目の前に現れないと言うけれど、試練なんてくぐり抜けたくない。楽して生きていたいし、「まさか」なんて起きなくていい。

かっこいい大人になりたいと思っていたけれど、現実ら毎日の生活を守るだけで手一杯である、今日も早起きに失敗したり、食パンを焦がしたり、小さな失敗を毎日積み重ね続けている。どれほど失敗を積み重ねたかはもはやカウントできないし、失敗の上に成功があるとか言われてもあまりピンとこない。

泣き言を言っている暇はないと頭ではわかっているけれど、頭の中の怠惰くんが「たまには泣き言ぐらい言わせてくださいよ」って耳元で囁いてくる。と同時に、天使さんが「もう少し頑張ったらいいことがあるよ」と囁いてくるんだけれど、聞く耳はあまり持ちたくないし、すぐに楽なほうを選んでしまうからもうどうしようもない。

大人って思っている以上にカッコよくない。僕がただダサいだけってのもあるんだけれど、カッコいいと思われている大人は想像以上に少ないような気がする。みんな小さい失敗ばかりしているし、見えないところでたくさん苦労している。僕がどれだけ頑張っても、きっと世界は救えない。でも、女の子の前でカッコつけるために、せめて金魚ぐらいはうまく掬えるようになりたい。

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