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高円寺で過ごした最低で最高な夜

早朝、頭痛がひどくて、目が覚める。ああ、そういえば昨晩しこたまお酒を飲んだんだっけな。お酒を飲んだ次の日は、なぜかやけに目覚めが早い。たしかアルコールが分解されて、アセトアルデヒドになって、交感神経を刺激するから早起きになるんだったかな。詳しいことはもう忘れたし、この際もうなんでもいいか。

昨晩、飲みの席で友達になった人の家で、目が覚めた。友人の家に着いたのは覚えてるけど、気づいたときにはすでに布団の中にいて、自分がいつ寝たのかは全く覚えてない。

楽しさの余韻の代わりに、頭痛という名の二日酔いが僕に襲いかかる。目が覚めて自分の姿を見ると、なぜか部屋着に着替えていた。自分で着替えたのだろうか。それとも誰かが着替えさせてくれたのだろうか。正直記憶が吹っ飛んでるからどっちかはわからない。

それにしても昨晩はよくお酒を飲んだ。ビールにレモンチューハイ、焼酎も飲んだし、多分普段の倍以上の量のお酒を飲んだ。いちごの果汁が入ったお酒が美味しかったのは覚えているけど、あれが何杯目だったのかは定かではない。普段では考えられない量のお酒を飲んだのは、楽しさの証明なんだろうね。

みんなで、高円寺の道を肩組みして歩いたこと。ワインを注がれまくって、調子に乗って飲みすぎたこと。日本酒のお気に入りが、人生で初めて見つかったこと。ふらふらになって1人で歩けず、肩を組んで歩いてもらったこと。終電がどうでもよくなって、シェアハウスに帰らずに、となり町の中野でまた飲み直したこと。その日できた友人の家に泊まったこと。東京の友達に会えたこと。

そして、なによりいろんな人に歓迎してもらえたことが嬉しくて舞い上がってしまった。そのつけが、酷い二日酔いだ。とにかく気分が悪い。最高な夜を過ごした後に、最低な朝を迎えるなんて誰が想像したのだろうか。

「ああ、そういえば朝から予定があったな」と、咄嗟に冷静になる自分がいた。昨日着ていた服を着ると、昨日の居酒屋のにおいが染み付いている。1日中着ていた上に、居酒屋のにおいはとてもじゃないけどきつすぎる。髪もボサボサだし、お風呂にも入っていない。こんな格好で人に会うのはさすがに気が引けてしまう。でも、三軒茶屋のシェアハウスに戻らなければ自分の着替えがないんだよなぁ。

よく考えれば、ここは自分を知らない人ばかりの東京。「においとかもうなんでもいいや」と、お風呂にも入らずに乗った中央線。人の視線が一切気にならない。僕が気になるのは、ひどい二日酔いと予定に間に合うかどうかのふたつだけ。知らない土地に行けば、無敵になれるのはなぜなんだろうか。

「中央線、東京行きのドアが閉まります」

「ああ、二日酔い以外は最高の夜だったな」と1人、感傷に浸りながら電車に揺られる午前9時の中央線。

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