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また振り出しに戻る

自分にないところに惹かれたことを思い出して、それすらを奪いたかったあの頃をふと思い出す。ないものねだりが徐々に暴れ出し、あるものを無下にした結果2人の関係性が終わって振り出しに戻る。

シワのないシャツを纏い、いつも通り無地のネクタイを締める。新しい日々に君はいなくて、それがいつの間にか当たり前になって、忘れることさえもいつか忘れてしまって振り出しに戻る。

過去の出来事をふと思い出す。深夜に部屋着で行ったコンビニ。知らないうちに増える籠の中。「デザートは別腹」だなんて、馬鹿みたいな言葉でごまかす君との関係も振り出しに戻る。

籠に囚われていたの自分だった。君という籠から抜け出せず、途方に暮れて振り出しに戻る。色を塗り重ねた2人の関係は真っ白には戻らず、なかったことにできなくて、また振り出しに戻る。

手に入れた事実。手放してしまった過去。君がいたあの頃は全部紛い物にすぎず、君の嫌いになり方を知らないまま日常に戻る。そして、重なった思いはおあいこにならず、また振り出しに戻る。

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