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中野の居酒屋で差し伸べられた1本の手

毎日文章を書いているので、ほとんど書きたいことがなくなってきた。毎日のように記事のネタはないだろうかと血眼になって探している。過去、現在、未来、身の回りで起きたニュース。まだまだ書けることはたくさんあるとは思うが、筆力のなさがうまくいかない現状を生み出した。

先日、たくさんお世話になっている方から飲みのお誘いをいただいた。その方からの連絡はいつも当日に来る。できるだけ参加したいという気持ちはあるものの、参加が叶わない場合もあるのだけれど、その日は無事に参加できた。

飲み会が開催されている中野へと足を運ぶ。空は曇り模様。うまく話せるだろうかと悩む自分の心を映し出しているかのようだ。その居酒屋には、すでに出来上がっている人たちがいた。レモンサワーを注文して、その飲み会への参加が始まった。僕は1対1なら話せるのだが、複数人になると空気を読みすぎてうまく会話に参加できない。なぜこうなったのかを振り返ると、それはこれまで出会った方が僕に気遣いをしてくれていたためだ。そのため、積極的に会話の中に入れない人間が出来上がった。その人たちが悪いのではない。他人の優しさにまんまと甘えてしまった自身の弱さが原因だ。

複数人との会話になると動けない地蔵になる。これは自身の悩みではあるのだけれど、お誘いいただいた方が「良ちゃんはたくさん話すわけではないけど、相手の話をきちんと聞いてくれている。つまらないと感じているわけではない」と伝えてくださった。素直に嬉しいと思った。自分がコンプレックスに感じていることを肯定してくれたその事実に救われた。だが、その優しさに甘えてばかりいられないのも事実だ。与えてもらったからこそ、そのチャンスを活かせる人間にならなくてはならない。

複数人の会話が苦手だ。会話に入る適切なタイミングに悩んでしまう。でも、話を聞くのは好きだ。話者の人生観を聞くのはいつだって楽しいし、学びもある。だからこそ、誘っていただけるのが素直に嬉しい。加えてその人がなぜ僕を誘ってくださるのかを教えてくれた。

「自分も大阪の人間で知り合いがいないところから始まった。だから、いろん人に会ってほしい」

その言葉を聞いた瞬間に泣きそうになった。同時に自分もそう言える人間でありたいと思った。飲みの席で泣くのはさすがに恥ずかしいので、泣きはしなかったが、言葉に言い表せないほどの感謝の気持ちが芽生えたのは事実だ。だからこそ、飲みのお誘いを頂いたときは、なるべく参加したいと思った。その方に自分が返せることはほとんどないし、与えてもらえてばかりだ。けれど、お誘いをいただけるのは、きっと自身に何かの魅力があるからなんだと思う。

上京して1年が経った。まだ何も成し遂げていないけれど、自分を大切に思ってくださる人と出会えたことはこの上ない喜びだ。また一つ東京という土地が好きになった。これからもどんどん好きな人や場所と出会いたい。そのためには自身の課題を解決する努力を辞めてはならないんだと思った。居酒屋から出た瞬間に曇り空が現れた。この雲を晴らすために、これから自分に何ができるだろうか。そんなことを考えながら帰路についた。

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