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ウェンディ&ルーシーとサニーをみる

みた映画のまとめ。

いま話題のケリーライカート監督『ウェンディ&ルーシー』、そして『サニー 永遠の仲間たち』、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』の3本。

ネタバレ注意。

まずウェンディ&ルーシー。

たんたんとした作品。
約90分とみじかめ。

ほぼ無一文でアラスカに向かう少女。

クルマで向かっていて犬も一緒で、でほぼ無一文。

無理ゲーすぎる。

地元から遠く離れた小さな町にたどり着くが、クルマの故障、犬が行方不明と災難がつづく。

もともと姉夫婦宅にいたけど、なんらかの事情があって出なければならなくなり、アラスカで仕事を探すことになったよう。

お金がないから少女はスーパーで万引きするんだけど、カバンから出てくるのはドッグフード。

そのあと捕まって保釈金払ってやって出てこれたんだけど、犬が行方不明。

手書きのポスターつくってコピーして町中貼って探しまわる。

んだけど、結局お金がないクルマもないで置いていくことに。

町で偶然知り合った警備員のおじいさんによくしてもらって、黙って受け取れと餞別を貰うものの、チラッと見える紙幣は数ドル。

数ドルかよ!

で最後、少女が犬もクルマも置いて無銭電車で旅立ってエンド。

淡々と起伏のないストーリーが流れていき思ったのは、必要な人に必要な額のお金が渡せればいいのになってこと。

彼女が必要なものってそう大変なものではないし、車も食べものも、選り好みしなければ、どこかしら安く手に入るし、どこかで絶対余ってるはず。

それは彼女がわざわざ遠いアラスカに向かわなくてもできたはず。

なんだけど、それができないことによる小さな不幸が連鎖していく不幸。

行政によるセーフティネットから市民団体の活動などなど、必要なときほどささっとそこにリンクできないのはなぜだろう。

こういうこともAIで解決できる世の中になるんだろうか。

作品自体はふわっとしていて作品の良さがまだ届いてこない。


さて、サニー。こちらは韓国オリジナル版。

日本はリメイク版なのか。

どちらも観た。


大枠のストーリーはほぼ一緒で、それぞれの時代背景がちょっとちがう。

主人公の女性が偶然病院で高校の親友と出逢い、親友が末期のガンであることを知り、主人公が高校時代を思い出しながら当時の仲間を探すはなし。

映画ペパーミントキャンディーにもあったけど、韓国の80’は学生運動が盛んで、高校時代の町の感じはキナ臭い。

韓国の歴史に疎いので、80年代のディテールの再現はよくわからなく、主人公ふくめ現在の主人公などの登場人物がやたらセレブっぽい。

一方で、日本版は90年代のTKとかジュディマリとか、自分と同じ世代のはなしでやっぱり物語の世界に入りやすかった。

篠原涼子さん、広瀬すずさん、とテレビに疎い僕でも知っている人がたくさんでてきるけど、池田イライザさんが際立ってみえた。

役柄もそうなんだけど、いつもはクールな感じで広瀬すずさん演じる主人公と立ち飲み屋で抱き合い泣きあうシーンはなかなかグッときた。

そしてさらにさらに、日本版サニーでもっとも輝いていたのは、ともさかりえさんでしょう。

ともさかさんは90年代テレビでしょっちゅう見かける人気女優さんだったけど、こんなに成熟した演技ができる女優さんだったんだと驚いた。

場末のスナックで篠原涼子さんと久しぶりの再会するシーン、アルコール依存症で子どもと一緒に暮らせない女性を、ともさかさんが憑依的な演技でされていて狂気すら感じた。

サニーはどちらも終盤で、サニーメンバーそれぞれにふさわしい遺産の分け方をしていて、上に書いたウェンディ&ルーシーとは違い、必要な人に必要なものが分配されていて、見事にハッピーエンド!だった。

これだよこれ!
ウェンディ&ルーシーを見たあとだったから、なおさら的確なプレゼントがいいなと思った。

みんなに一律あげるんじゃなくて、必要な人に必要と思える分をあげる。

こういうのがいいし自分もやりたい。

でもこれをやるとすると、ウェンディ&ルーシーの主人公の少女とガードマンの男性みたいな、数日間程度の関係では難しい。

サニーの場合、学生時代の濃密な時間があるからこそ、できる分配のしかたなのかなと。

どの映画でもやっぱり生活の土台としてお金とケアが必要ってことと、それが適材適所にするためにはそれぞれの関係性が必要なんだなと。

ウェンディ&ルーシーをみた後だったから、サニーでは90年代の懐かしさよりも、人生につまずいてしまった時に必要なことは何?という事ばかり気になった。

日本版サニーのともさかりえさんのシーンはほんと濃厚だった。

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