漫画『イムリ』を読みおえる
☆☆☆☆★また読みたい!
※ネタバレあり
いやあ。久しぶりのSF長編。
一気に読めました。
満足。とっても満足。
上をみてもカーマ、イムリ、イコル、侵犯術などなど作品固有の名前がズラリ。
読んでいて終盤近くになるまでイムリとイコルの違いがよく分かってませんでした。
侵犯術、これは超能力みたいなものなんだけど、その仕組みもいろいろあって、読み終えてもまだ理解してません。
なんとなくでも話の筋を追っていくと面白い。
ハマると上の用語や解説を熟知する楽しみもある作品。
いちばんの見どころは登場人物の意志のつながりでしょう。
もうほんと、思い出すだけでも泣けてきます。
封建的なタテ社会のカーマ、そしてプリミティブなんだけど自然と調和して暮らしているイムリがメイン。
カーマの方は先に書いた侵犯術を使いながらの策略の繰り返しで
いかに相手を利用するかばかりトップ層は考えている。
そんなある意味腐敗した社会をなんとか変えようとするラルドという人物がいて、
彼の生き様そしてその従者のイマクに彼の意志が受け継がれていくところは鳥肌級の見どころでしょう。
主人公のデュルクとミューバ。
この二人の変化もたまらんです。
最初は二人ともにMAXに惹かれあうんだけど、
カーマの呪師系のリーダー、デュガロの策略によって愛が憎悪に変化していく。
中盤からのミューバの激変っぷりは凄まじく、漫画のレイアウトを超えて狂気が暴れまくる。
が、二人がようやく再会する直前での別れそして真実に気づくミューバ。
冒険譚としてはデュルクが主人公なんだけど、そのかたわれとしてのミューバ。
彼の変化っぷりは見応えあります。
主人公のまわりの好人物がほんとの主役、的な作品って多いですが、
ミューバは影の主役、しかも振れ幅ハンパないです。
もうほんと、ヒエラルキートップクラスの悪巧み悪の権化的なデュガロ。
作品は中盤から主にイムリたちの「超能力」をメインとしたバトルが続くんだけど、
むしろ見どころはこのデュガロはじめカーマ側の策略の悪っぷりが面白い。
いかに相手を利用して相手の弱みにつけこんで相手を利用するか。
ムカムカするほどの策略っぷりがバトルよりも怖い。
でもデュガロ自体も終盤変化していく。
ワルな狸もワルなままでは終わらない。
ガンダムとかデューンとか、大カテゴリーでSF戦争ものなんだけど
イムリは理想的な終わり方といえる。
ガンダムや岩井俊二監督の作品にはない感じのキレイな終わりかた。
この作品、一巡だけじゃもったいない。
ただ一巡してすぐに読み返すにはボリューム大すぎる。
また時間をおいてじっくり寝かせてからまた読みたい。
中盤の戦いのあたりがやや中弛み感あったので☆4つに。
でも傑作にはかわりない。
まだ知らない傑作、まだまだたくさんあるんでしょうね。
漫画を日本語で読めて、日本に生まれてよかったって思いました。
大人買いして一気に読めてほんとに良かった。
連載が今も続いていたら先が気になって気になってウワーーーーってなってたと思う。
SFのレジェンド作品。でもなぜかエピソード4,5,6以外、がんばってみようとしてもなかなか見れない。頭に残らない。僕の中では4,5,6で完結されてしまっている。いつか通しでみるときが来るのだろうか。
映像美!!!デューンも独特のイムリでいう侵犯術みたいな術、ありますよね。続編もたのしみ。
ガンダムは大人こそみるべき作品だろう。
数年前通しでみました。子供向けにロボットが変形したり途中からモビルアーマーが出てきたり、当時は玩具売りたかったんだろうなーと。でも本質はそこじゃなく、敵側のジオン軍兵士が連邦軍側の民間人の母子にコソッと物資を置いていくシーン。一方で民間の(アムロの)家で先が見えず連日連夜どんちゃん騒ぎをしている地球連邦軍の兵士たち。などなど、勧善懲悪を超えた人間くささが描かれていたり。カイとミハルの悲恋も思い出すだけで胸にきます。
岩井監督の作品って当時は10代のきらめきとかおしゃれな映像みたいな感じでみていたけど、じつは日常の不条理さが描かれてたんだって後になって気づきました。以前みた岩井監督のインタビューでガンダムを恋愛作品としてみていたって書いてあって一気に岩井監督に対しての好感度が上がりました。
同じSF作品として気になる望郷太郎。
大寒波による世界初期化。人工冬眠から500年後に目覚めた主人公がプリミティブな世界で人類のルーツを辿っていく…
現代の知識をたよりにサバイブしていくストーリーが新鮮すぎるだろ!