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人智を超えた祈りと妙技-秋田竿燈まつりへ-

この夏は、東北地方に夏祭りめぐりをすることにした。

青森ねぶた祭の熱気を存分に味わったあとは、秋田竿燈まつりをめざして、秋田県秋田市に向かった。


奥羽本線特急つがる号秋田行き
秋田駅前


秋田竿燈まつりは、毎年8月3日から6日までの4日間かけて開催される。
8月4日に青森を出発し、5日土曜日に秋田を訪れた。

秋田市を流れる旭川
秋田市立赤れんが郷土館


秋田竿燈まつりは夜の本番のほかにも、竿燈妙技大会が開催される。大会では計46個の提灯を吊るした竿燈(かんとう)を手のひら、肩、額、腰などに移しかえる妙技の美しさや囃子方のリズムなどを競い、審査により毎年優勝者が決められる。


午前中に秋田市立赤れんが郷土館に立ち寄ると、竿燈のチームが妙技を披露していた。


笛の軽快なリズムに合わせながら、太鼓の重低音が重なり、竿燈が徐々に高く、持ち上げられていく。
秋田竿燈まつりのかけ声は、ドッコイショドッコイショだ。


囃子方の奏でる音色とかけ声の威勢に合わせて、竿燈が移しかえられる。その度ごとに持ち手が息を合わせて入れ替わる。そして妙技はクライマックスに向かっていく。

額に移しかえられた竿燈
最後は腰
どのようにバランスをとるのかいよいよ理解が及ばない


鍛え上げられた妙技をひとつひとつ見ることができただけでなく、竿燈の写真撮影や太鼓打ち体験もさせていただくなど、竿燈の魅力を間近に味あうことができる時間になった。

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竿燈妙技大会は、秋田市中心街のエリアなかいち「にぎわい広場」において行われており、昼間から街中に参加される方の姿が見られた。


屋台や関連イベントも開催されており、中心エリアは多くの人が行き交う。
竿燈まつりを中心に、秋田の街が賑わっていた。



竿燈妙技大会の迫力に圧倒され、お祭り気分を楽しんでいるうち、街に注がれる日が傾いていく。
秋田竿燈まつりは間もなく夜の本番を迎える。


参加団体は本番が開催される竿燈大通りに向かって、竿燈や太鼓を移動させていた。
練習をしているのだろうか。参加者と観覧客が入り交じるなか、あちこちに笛の音が聞こえる。
竿燈まつりが間もなく始まる雰囲気を感じる。


いくつもの団体が大通りに集結し、大会の始まりが高々と宣言されると、竿燈が持ち上げられていく。
観覧客たちは歓声をあげるとともに、一斉にスマホを向ける。


竿燈まつりには、町内会や企業・学校から70を超える参加団体が集まり、秋田の夜に、280本程の竿燈があがる。

目前には竿燈に吊るされた幾千もの提灯が輝き、囃子方のリズムが鳴り響く。昼間から竿燈を持ち上げるという想像もできない技術を見ていただけに、その妙技の連なりに凄みを感じる。
竿燈まつりは、祖霊祭祀、無病息災、家内安全を祈る行事が起源だそうだ。
人間の力ではコントロールできない、人智を超えたものに対する願いが、まつりになる。
地域の人たちは人間のコントロールできる範囲で精一杯、技術を磨く。
そういった日々の鍛錬がやがて、人々の想像を超えたものを生むのだろうか。


秋田竿燈まつりの本番が終わった後も、街にはあちこちで妙技をしている団体の姿が見える。まつりが終わった打ち上げ的なものだろうか。それとも明日のまつりに向けた準備だろうか。
お祭りに懸ける思いを感じた、秋田の夜だった。




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