書評:ぼけと利他 (&石引パブ回顧録&お知らせ)

「ぼけと利他」ミシマ社 伊藤亜紗・村瀬孝生 著
こんな本が読みたかったという本に久々に出会えました。
「ボケ」た老人たち(あえてボケという言葉を使っていることが本書の冒頭で説明されています)
と関わり合う村瀬孝生さんと伊藤亜紗さんの往復書簡です。

私は普段はITエンジニアをしています。
職業柄、効率的に仕事をしたり、納期を守って仕事をすることを厳密に求められます。
しかし、この本に書いてあることは、真逆の世界のことです。
ボケても「ズレまくりながら調和」しているお年寄りたちの話を読むと、自分の住んでいる世界の価値観を問い直さざる得ません。
そして、それが大事だったんだなぁ、と思い出させてくれます。

かつて、あった石引パブリック(通称石パブ)ではこのような本を取り扱ってくれていました。(惜しまれながら2022年12月に本屋部門が終了しました。印刷事業は継続して行われています)
普段の生活からある種切り離され、常識を問い直せる、言論の自由が担保されている、私にとっては夢のような空間でした。
(私は石パブ読書会で「ケアとは何か」(中公新書)でファシリテーターをさせていただいたことがある者です。)
こんな本に出会うたびに石パブのことを思い出すんだろうな…と感慨に耽ってしまいます。

本マガジンは、石パブで開催されていた本屋部門の精神(?)を引き継ぎ、皆さんに書評やエッセイを寄稿していただく場にしたいと考えています。
また、石パブから読書会を引き継ぎ、まずは読書会で知り合った方々と引き続き読書会を開催していきたいと思いますので、ここでお知らせしていきます。(メーリングリストもあります)
※メーリングリストへの入り方、マガジンへの寄稿の仕方は別ページにて。

読書会の選書や皆様の近況を知る、ゆるく開かれた場になればと考えております。


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