戦争で壊滅的な打撃を受けるウクライナの人口動態(Le Monde)
Two years of war in Ukraine: A catastrophic effect on demographics というフランスのLe Mondeの記事、及び The war, refugees, and the future of Ukraine's population という論文をもとにした内容です。
戦争前ですらピーク時より20%以上も減少していたウクライナの人口
ウクライナの人口は1993年には5,218万人いましたが、ロシアとの戦争が始まる前ですら4,100万人まで減少しています。
しかも、2001年3月を最後にウクライナ政府は国勢調査(=人口を把握するための重要手段)を延期し続けているため、本当の人口はさらに少ない可能性すらあります。
戦争開始後、女性や子供を中心に800万人以上が国を離れ、難民となっている
論文によるとロシアとの戦争がが始まってから、女性や子供を中心に800万人以上が国を離れ、難民となっています。
上記のように、戦争前から信頼できる統計データが存在しないため、詳しいことは分かりませんが、難民以外の移住者を足すとさらに多くの人がウクライナを離れている可能性があります。
ウクライナ国内の人口は3,000万人ちょっと?
Le Mondeの記事によると、現在のウクライナの人口は3,300万人から3,500万人という推計があるそうです。
しかも、ロシアに占領されている地域の人口を除くと、その数は3,110万人にしかなりません。
戦争終結後の人口推計において、最悪のシナリオでは人口が2,430万人まで減る
ロシアとの戦争が終結した後の人口については、論文では複数のシナリオを立てています。
800万人の難民のうち、何割がウクライナに戻るかが一番大きな変数になります。
難民のうち90%が帰還するという最も楽観的なシナリオでさえ、既に高齢化している人口構成や低出生率という要因により、2040年の人口は3,370万人と予想され、戦争前と比べて19%人口が減少することになります。
そして、難民のうち10%しか帰国しないという悲観シナリオでは、2040年までにウクライナの人口は41%減少し、2,430万人まで減ってしまいます。
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