音楽の句読点?終止形の色々
今回は音楽における終止形をご紹介していきます。
こちらの記事と合わせて読んでいただくとより理解できると思います。
では早速見ていきましょう。
完全終止
完全終止はダイアトニックコードの5番目のコード、すなわちドミナントコードから1番目のコード、トニックコードへと向かっていくものです。
この終止形は「終わった」感が強く、曲の最後や曲中の段落的区切りなどで使われます。
またドミナントコードからトニックコードに向かうことを「ドミナントモーション」といいます。
カデンツの形でいえば
①T→S→D→T
②T→D→T
のどちらかにあたります。ドミナントコードより前のコードは何を使っても構いません。
半終止
ドミナントコードで曲を一区切りしてしまうものです。完全終止に比べて「終わった」感は薄く、閉じられない印象を受けます。
日本語で表すなら三点リーダー(…)でしょうか。
例としてこちらを
バッハ(1685~1750)のチェンバロ協奏曲第5番の第2楽章ですが、曲の最後は半終止を用いています。確かに曲が終わった感じは薄いですよね。
偽終止
こちらは完全終止の形に近いのですが、向かうコードがトニックコードではなくトニックコードの代理コード、すなわちダイアトニックコードの3番目のコードか6番目のコードに向かいます。
どちらかというと6番目のコードの向かうことが多いです。
「終わった」は薄くまだコード進行が進んでいくことを示唆しています。
日本語なら読点(、)にあたりますかね。
変格終止
ダイアトニックコードの4番目、すなわちサブドミナントコードからトニックコードに向かう終止です。
カデンツの形でいえば
③T→S→T
にあたります。
「終わった」感は完全終止よりは弱いものです。
讃美歌における最後の「アーメン」というフレーズがこの終止形を使っているので、アーメン終止と呼ばれることもあります。
讃美歌ではありませんが変格終止が使われている例を。
モーツァルト(1756~1791)のレクイエムから『涙の日(ラクリモサ)』です。最後の「アーメン」の部分は変格終止が用いられています。
コードでいえばGm→Dという進行をしています。
キーはDマイナーなのでサブドミナントコードがGm、トニックコードはDmとなりますが、ここではDmではなくDメジャーコードが使われています。
ピカルディ終止
いままでご紹介したものとは違いますが、ピカルディ終止というものがあります。
これはマイナーキー(短調)において、同主調のトニックコードで終わるものです。
先程のレクイエムで紹介した通り、キーがDマイナーにもかかわらず、最後のコードがDmではなく同主調のトニックコード、すなわちDで終わっているのはこのピカルディ終止というものが存在していたからです。
もちろん曲の最後だけではなく、曲中でもこのピカルディ終止は使われています。
今回は終止の形を紹介していきました。
次回からは、いよいよコードの応用編をご紹介してきます。
今後紹介する技を使って、曲のコード進行に彩りを加えます。
次回↓
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