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クラシック初心者のための作曲家紹介シリーズ No.3 ラヴェル

M・ラヴェル(1875~1937)。フランス出身の作曲家。卓越した管弦楽法と響き豊かなピアノ作品によって名声を確立した。多作家ではなかったものの、遺された作品は傑作が多い。そんな彼の代表作の一部をご紹介します。

ピアノ作品編


古風なメヌエット


ラヴェルの作品で初めて出版されたもの。この前にも作曲された作品はあるが、実質デビュー作と言える作品でしょう。主題は裏拍から始まり、リズムが複雑。
1929年ごろには作曲者自身によってオーケストラ編曲が施されている。これはラヴェルにとって最後の管弦楽単独曲となりました。

オーケストラ版

亡き王女のためのパヴァーヌ


(なんと作曲者自身による演奏!)

初期の代表作といえる作品。ラヴェル自身は批判的なコメントを残しているが、親しみやすい旋律とわかりやすい構造で人気は高い。こちらもオーケストラ編曲が遺されている。ホルンのソロによる主題が聞きどころ。

オーケストラ版

水の戯れ


ラヴェルの出世作となった作品。『亡き王女のためのパヴァーヌ』に比べると、不協和音の多さから最初は評判が芳しくなかったが、今ではすっかりピアニストにとって大事なレパートリーとなっている。演奏は難易度が高め。


全5曲からなる組曲。特に第4曲目の『道化師の朝の歌』は単独で演奏されることも多い。
第1曲 『蛾』0:00~
第2曲 『悲しげな鳥たち』4:39~
第3曲 『海原の小舟』8:41~
第4曲 『道化師の朝の歌』16:03~
第5曲 『鐘の谷』22:39~
からなる。
第3曲と第4曲はオーケストラ版も遺っている。

夜のガスパール


ルイ・ベルトランという人物の同名の詩集を題材としている。全3曲からなる組曲で、特に第3曲の『スカルボ』は超難曲として知られている。
第1曲 『オンディーヌ』0:00~
第2曲 『絞首台』7:14~
第3曲 『スカルボ』14:04~
からなる。

クープランの墓


ラヴェル最後のピアノ作品。第1次世界大戦で戦死した知人を偲んで作曲された。バロック時代の組曲風に仕立てられており、第6曲の『トッカータ』はピアニスティックな技法が遺憾なく発揮されておりこちらも難曲として知られている。
第1曲 『前奏曲』0:00~
第2曲 『フーガ』3:02~
第3曲 『フォルラーヌ』6:02~
第4曲 『リゴドン』12:11~
第5曲 『メヌエット』15:17~
第6曲 『トッカータ』20:16~
からなる。

また『フーガ』『トッカータ』を除いた4曲がラヴェル自身によってオーケストラ編曲されている。
順番も「前奏曲→フォルラーヌ→メヌエット→リゴドン」の順番に変更されている。

オーケストラ版


協奏曲編


左手のためのピアノ協奏曲
ピアノ協奏曲ト長調

ラヴェルはピアノ協奏曲を2つ遺しており『左手のためのピアノ協奏曲』は第1次世界大戦で右手を失ったピアニスト、パウル・ウィトゲンシュタイン(1887~1961)の依頼を受けて作曲したものです。オーケストラは後者のト長調協奏曲と比べて大規模なものである。

『ピアノ協奏曲ト長調』は両手のために作曲された作品で、前者と比べて控えめなオーケストレーションと陽気な性格を持つ作品です。第3楽章のトッカータ風なピアノの名人芸は聞きどころです。

管弦楽作品編


ボレロ


ラヴェルといったらこの作品というほど知名度が高い作品。曲全体を同じリズムが支配して「A」と「B」のメロディーを楽器が代わる代わる演奏していく作品です。

ラ・ヴァルス


フランス語でワルツを表すこの作品は、徐々にワルツのリズムが顔を出しながらワルツの雰囲気を確立していくが、徐々にそのリズムが崩れ始め最後はなだれるように終結する。ラヴェルの管弦楽法が存分に発揮された名作です。

マ・メール・ロワ


マザーグース』を題材にした作品であり、最初はピアノ連弾用組曲として作られたが、のちにオーケストラ版がラヴェル自身によって作られ、その後この作品に基づくバレエを依頼された作られたバレエ版がある。組曲版は全5曲からなるが、バレエ版は数曲追加で作曲されている。

ダフニスとクロエ


バレエ作品でありラヴェルの作品中オーケストラの大きさ、作品の規模とともに最大の作品。バレエ版は約50分もある大作。組曲としても遺されており「第1組曲」と「第2組曲」がある。組曲としては「第2組曲」のほうが演奏頻度は高い。


いかがでしたか?
今回はピアノ作品とオーケストラ作品に焦点を当てましたが、室内楽でも傑作が何作か遺されています。ラヴェルの魅力が少しでも伝わっていただければ幸いです。

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