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てのひらに酒以上の酒をください。

どうもこんばんは、りょーさけです。

最近日本酒のよさをどうやったら多くの人に届けられるかを考えています。
その一つの答えが単純ではありますが昨日の投稿でした。

ああいう投稿がもっとできたらいいのですが、なにぶんオフィシャルではないので伝えられることに限度があります。
それでもこれからは少しずつ伝えていければと思っていますが。

今は本当にいろんな蔵元・蔵人さんたちがいます。
例えばですが、自分たちがお酒を仕込む様子を積極的にSNSやブログにアップする方々の勢いが徐々に加速してきていて個人的には嬉しく思います。

こういう流れって酒だけじゃないのかな?
みなさんが携わる分野ではどうですか?
積極的に情報を発信するひとはいますか。
一部先達たちに煙たがられるくらい頑張ってる人たちはいますか笑

いたらその分野はきっと健全ですね。

さて、今日はマンガから上記の問題を考えてみたいと思います。
「どうやったら日本酒の良さを伝えられるか」です。

今日は例に上げるのは羽海野チカさんです。
なぜ羽海野さんかといえば、私が好きだからです笑

高校の頃『ハチミツとクローバー』にはまって今は『3月のライオン』の読者なのです。深夜にやってたアニメ(フジのノイタミナ枠?)を見たのが最初でした。YUKIさんが歌う主題歌から始まって、そこから展開していく世界がとても好きだった。

仙台、東京と羽海野チカ展も何度か行ったかな。
キャラクターが魅力的かつ絵が適度に甘いのが好きです。

羽海野さんのマンガが多くの人に届くのはなぜだろう。
描く世界が可愛いから?
ストーリーが練り込まれているから?

私は、誰もがその作品中に本気を感じるからだと思います。
本気…というよりプロフェッショナルでしょうか。
プロフェッショナル精神。
何かに打ち込んでその対象に食らいついて離さない気迫。
たとえ自分が才能に恵まれていなくても簡単には諦めない姿勢。執念。
人生レベルでの本気度を感じます。

私は先程甘い絵が好きだといいましたが、若干端折りました。
甘い絵でとんでもなく厳しいプロの世界を描いているから好きなのです。
その比率がちょうどいいというかなんというか。

 
羽海野さんの本を読んだことがある人が今の文章を読んだら「えっそれはあくまで『3月のライオン』だけじゃないの?」と思ってしまうかもしれませんが、そんなことはない。
『ハチミツとクローバー』の恋愛部分の本気度ももちろんプロ(?)レベルですし、何より美術の部分でそれを感じる。あ、美大が舞台の恋愛マンガなのですよ。読んだことがない人のために言っとくと。

めちゃくちゃひかるものを持っているがとある事故がきっかけで才能が潰れてしまいそうな女の子に対して、自身の才能から逃げてしまいたくなった男の子(女の子はこいつに気がある)が「もういいよ。頑張らなくていい。」と言い、それを女の子が「あたしは立ち向かう、逃げない」といったシーンなんかは絵の甘さと描写の苦しさのギャップが激しい。

(超大雑把なまとめなので気になってひとは本編読んで下さい笑)

『3月のライオン』になるとその勢いはますます加速しますね。
人間関係や才能に揺れる主人公。その周りでいじめに立ち向かう少女、難病と闘いながら好きなことに打ち込む青年、家族の問題に正面から立ち向かう女性などなど枚挙にいとまがないほどです。

恋愛をえがいているようで、将棋をえがいているようで、より深い世界を描く。
美しい世界の中にある泥水を飲みながら血で血を洗うような風景を次々に展開していく。

読むと段々と全部が他人事でない気がしてくる。
自分のたましいを揺さぶってくる。
自分も戦わなければ。立ち向かわなければと鼓舞してくる。

これが羽海野さんの魅力なのだなあと読むたび思います。
羽海野チカ展の中においてあった「海野さんへメッセージを書こうノート」にもそんなことを書いた気がします。羽海野さん読んでくれてないかな笑

とまあ、はい。
こんな風に表層で美しいものやあるジャンルの一般的な事柄を描きながらその奥でより多くの人に届く、突き詰めて大げさに言えば全人類的なことを突きつける、突きつけられるからこそ羽海野さんの作品は多くの人に届くのではないかなあという次第です。

恋愛や将棋に興味がないひとにさえ、それはきっと届く。

だから酒も、そういう奥行きを感じてもらえるような方法があればもっともっと多くの人に素晴らしさが届く気がするのです。

「単に体と頭を使ってます。おいしいよ。手間かかってるよ。」では絶対に足りない。
なぜなら今の「」内のことが当てはまるジャンルなんて他にもたくさんたくさんあるからです。
別に酒である必要がない。

酒は美味しくてなんぼなのですが、それに付随して多くの人の魂を揺さぶる何かがなければ先行きが明るいとは言えない。そんな風に思います。

旨さと渾然一体となって皆に響くもの。
旨さに溶けた味以外のなにか。

酒だけが伝えられる妙味を持った酒以外のなにか。

その先に人と酒のちょっと明るい未来が待っているように思います。
私ももちろん、それを探している次第です。
また酒をすすりながら…。

乾杯。

酒と2人のこども達に関心があります。酒文化に貢献するため、もしくはよりよい子育てのために使わせて頂きます。