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日本酒日本酒日本酒、と熱

どうもこんばんは、りょーさけです。

本日はとある日本酒に関する資格試験が行われたそうです。
で、私もそれを去年受けました。


結果を言えば受かってる気がしないけど、受かってた。とても嬉しかった。
今思えば資格ははじまりでしかないのだけれど、しかしなんとも嬉しいものです。

自分の中には「こんなので公的に認められても…」という思いと「誰かに認めてほしい!」という一見相反した思いが同居しているようです。それは去年も今も変わりがない。
こうやってノートを書いているのもそういう思いが拮抗して、毎日最終的に「わかってほしい」が勝ってこうして書いているわけですが…。

(果たして今日は何をわかってほしくて書くのか…といった感じです。いつも以上に。)

以下の文章は去年の今頃別アカウントでノートに投稿した内容です。
テーマは「お酒のテイスティングについて」です。

言い訳せずに言っておきます。この中には多量の間違いもあります。しかし、同時に今でも大切にしている部分もある。それを事細かに解剖する機会は設けないかもしれない。

まあ、なんでしょう。
酒にだけはどうやら熱心だったようだ。去年も。

おれは多分、時々それを誰かにわかって欲しくなる。
誰かに?

もしかしたら、自分に…なのかもしれない。
去年の自分の熱量を、あなたは覚えていますか?

あまりに目まぐるしい日常を生きる中で、おれはそれをたまに忘れそうになる。自分で自分の文章に気付かされて心動かされるなんてあまりにオナニーすぎて嫌になるかもしれませんが、しかし時にそういった感動が必要になる場合があるように思うのです。

ということで、本文。
一年前の、本文であります。

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本日酒のレビューはナシで、テイスティングについて「つらつらと」のべます。
それ違う!ってとこがあったらご指摘いただけると!ありがたい! (事前に別のところで書いた文章なので、若干違和感があるかもしれません。あったらごめんなさい。) 

「白玉粉、上新粉、スイカズラ、ライラック、カカオ、メルカプタン、マンゴスチン、腐葉土、ヒノキ、レモングラス、ジャスミン」…
こんな香りが日本酒からするかぁコラァ!(# ゚Д゚)
と、長きにわたりそんな風に思っていたけれど、この間のワインアカデミーの講習を受けてどういう経緯でそんな香りが必要とされるのか分かった気がしたワタシでした。で、それを説明しようというわけです。
まずはっきり言っておきましょう。通常の意味で「酒を飲ん」でも、これらの香りは出てきません。 「酒を飲む」→「うまい!っていう」→「終わり」
これが通常の「飲み」プロセスです。
で、テイスティングはこれとは対極のものであるといえると思います。 どういう意味で対極か?
簡単に言えば、「飲み」が受動的なプロセスであるのに対して、「テイスティング」は能動的な試みです。 では、どう能動的なのか、その中身を以下で説明します。
僕が考えるテイスティングの特徴をいくつかあげましょう。

1、能動的である
2、事前にその酒についてある程度の知識・予測を持つことが必要である
3、香りや味を受け取るのではなく、捕まえにいく
4、酒がもつ世界観を表現するために、単に「旨い」ではなく要素を言葉で表現する

はい。

で、書いといて何なのですが①は「①」というよりむしろ「⓪」といった方がいいかもしれない。②~④を貫く全体的なテーマです。

では②を説明しましょう。②は続く③と④を実現するための下準備です。ある酒をテイスティングするための戦いは飲む前から始まっているのです。 そのお酒に使われている原料の特徴、産地の特徴、水の特徴、で、実際の酒の外観(色調や透明度など)をできる限り頭に入れる!把握する! 「たぶんこういう感じだろうな…」と自分が酒の質感を予想できるくらいこのような下準備をすることが必要です。

で、③です。通常の飲みプロセスではとりあえず口に入れてから「旨い?まずい?フルーティ?」と考えるのですが、テイスティングは違います。 ②でつかんだ情報をもとに、予想を立て「きっと入りの甘みはこうだ、中盤の味のふくらみはこうだ、後味と余韻はあんな感じだ。これらを見つけるんだ!」という決意のもと、グラスの中のお酒の香りを確認し、そのあと口に含みます。 ここで最初に香りを確認した際に自分が②で立てた予想通りなら万々歳ですが、そうでないなら情報をもう一度整理して考え再度確認します。それを繰り返し、その都度情報を整理して齟齬をなくします。正しい情報をもとにテイスティングしているかを確認したのち、イレギュラーな条件を考察したりもします(酒が痛んでいるとか、提供された温度が適温でないとか、数えきれない可能性のエトセトラ)。 で、それで頭の中の情報と実物のずれがなくなったら④に移ります。 ④は「酒がもつ世界観を表現するために、単に「旨い」ではなく要素を言葉で表現する」でした。

なぜあのような多様な実例を用いて表現をするのか?それはその酒が持つ「味、香り、雰囲気」等を余すところなく他人にも伝わるような形にしたいからです。 我々は根本的に味の共有ができません。
ゆえにあのような(通常考えられないような)多種多様のイメージを使います。イメージってのが重要です。 酒の中に本当にスイカズラや朝鮮人参がとけているわけではありません。あくまでイメージなのです。 それらのイメージを組み合わせて、「○○」という酒の絵を一枚描くわけです。

具体的に言いましょう。私もちょっと何言ってるか分からなくなってきたので(笑)

ここに富山県のお酒があったとしましょう。使っているお米は五百万石。ミネラルが豊富な井戸水(=日本の中では相対的に硬水)を使って「生酛」造りで醸され、生のまま中長期熟成され、そのまま濾過も火入れもされずに出荷されたお酒だったとします。
で、私が上記の情報をもとにこのお酒と向かい合って対話したとします。 「さて、まずは色を見よう」(グラスクルクルー) 「熟成期間があっただけあって、結構色がついてるな。これは単純な甘さと旨さだけではない酒だろうな」 →(日本酒は熟成するにしたがって酒の中でメイラード反応が起き、黄~薄茶に色が変わります。今回のような生酒は酒中で酵母などの菌も生きているため、色、および味の変化の仕方はさらに複雑になると考えられます。

「香りをかいでみよう」(グラスクルクルー、クンクン) 「生酒らしい米麹の香りに混じって、酸味が感じられる…生酛らしさも出てるな。飲んだ瞬間は強烈に米の風味がして、そのあと酸味やコクが来て、余韻は長そうだ。」 →(生酒は火入れをしたお酒よりも麹の香りが強いことが多いです。ちなみに麹の香りは炊いたお米とふかした栗の香りを足して二で割ったような甘い香りです。あと、「生酛」というのは伝統的な日本酒の製法です。蔵ごとに特徴が違いすぎて一般化できないのですが、あえて言うならば心地よい酸が感じられて味の幅が広いのが特徴と言えるでしょう。「余韻が長そう」なのは現時点で香りも味も濃厚そうな気配がして、さっぱり系の酒にあるような特徴があまり見つかっていないからです。) 「富山は確か、『信じられないほどミネラル感があってしょっぱいと感じるほどの酒もある』と上司がこの間言っていたなうん。もしかしたらこれがそれかもしれない。」 「のむか」(グラスクルクルー、アンド、フクーミ、アンド、ゴクリ) 「うん、やはりしょっぱなのコメの風味が濃厚だ。その濃厚な風味を後押しするかのような酸のコク、これも確かにある。飲み込む時少々の見ごたえがあるのはきっとミネラル感。水の特徴だ。」 「んーでもおもったより後味がすっきりしている…。」 「そうか、酒米が五百万石だからこんな感じですっきりしてるんだ!これはコメの特徴からくるすっきりだ!」 →(自分がたてた予想をもとに味の感じを捕まえにいってます。で、その途中で違和感があったので事前情報と照らし合わせて整理と修正をしています。ちなみに五百万石は新潟県を中心に全国各地で使われている酒米で、早生…収穫時期が早くて淡麗な酒を造るのに向いている酒米なのです。) 「さて、これらを言葉にしないと」 「米の風味がしたけれど、生酒だから「蒸米」とか「餅」っていう火が通って暖かいコメのイメージはそぐわないな。でも、「白玉粉」じゃ弱いし…。間をとる形で「麹のような香り」でいいかな。」 「あまりフルーツ感はなかったかな。しいて言うならほんのりバナナのような感じがしただろうか。メロンやマスカット、桃まで行くとちょっと華美な感じがしていてイメージと合わない。バナナだな。」 「甘味から酸味のコクに移行するときに少々さわやかな感じがしたな…ハーブまでいくと爽やかすぎて生酛のコク感が消えてしまう。花の香りにしておくか。ほんのりジャスミンなどの白い花の香り…と。」 「中盤のコクはすごかったな。ただ「コメの旨味」では表現できない…。ちょっと強めのイメージを選択しよう。アーモンドやクルミのオイリーな香りとしておこうか。」 「で、中盤のコクと飲み込むときに感じるミネラル感、そして最初の甘さの残りが合わさって、なんともトロッと甘旨い感じがしたな。濃い目で深い甘さか…よし、ハチミツのような風味にしよう。」 「で、最後の切れの良さは五百万石由来…と」 長いよねーごめんなさーい。皆さん読んでくれてますかー?

上記のようなプロセスを経て、その富山のお酒は以下のように表現されるわけです。 「外観は生酒で長期熟成したことによる着色が見られる。レモンイエローよりは少し暗めの黄色。やや濁っているのは無濾過状態で出荷されているからである。香りを確認すると、生酒らしい麹のような、栗とコメを合わせたような香りがする。やや酸味が感じられるのは生酛で製造されたからであろう。口に含むと香り通りの鮮烈な麹の風味がして、その後ほんのりとしたバナナ香がやってくる。それらの風味を後押しするようにアーモンドやクルミのオイリーな感じがし、飲み込む際には甘さとオイリー感、水のミネラル由来のごろっとした質感が合わさってハチミツのような風味がする。これだけ濃厚な風味をしていながら後味が存外短いのは、原料米が早生の五百万石であることに由来する。」 …な、なんとなくわかってもらえましたかね(;´・ω・) 普通に飲んでもこういう感想って出てきませんよね(でてきたら変態だと思う)。 こんな風に準備をして風味を捕まえて、更に整理して一枚のイメージマップを作るため言葉を選ぶ。 これがテイスティングです!(…たぶん笑)

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まるごと引用で直してないので読みづらい部分もあるかと思います。そのままにしておきます。

こんなに変わってしまう、というか変わることを強いられ変わらなければ時に「お前は用済みだ」と無言のメッセージを感じることもある世界が自分にはとってもプレッシャーな訳ですが、おれは去年の自分も酒が好きでよかったと思った。

つきつめればそれだけのことです。

「人の原動力って大概幼稚なんでないの」 
『ハイキュー!! 21巻』天童覚のセリフより

という言葉がありますが、これはまさにそのとおり。

おれは今日も「わかってよ!」「わかってほしくねぇなあ」という幼稚なシーソーの上で人の目を気にしながらはしゃぐクソガキです。

とりあえず今日も、酒が好きだよ。

良かったな、一年前のおれ。乾杯。

酒と2人のこども達に関心があります。酒文化に貢献するため、もしくはよりよい子育てのために使わせて頂きます。