見出し画像

あなたの陽炎


本日、2022年7月4日(月)に僕の新曲が2曲同時に配信リリースされました。

1曲は、BS12トゥエルビにて毎週土曜18:55〜放送の「SDGsらぼ」のテーマソングの「Inochino」です。

とても素敵な番組に携わらせたいただきました。

画像1

こちらBS12トゥエルビの番組ページです。
https://www.twellv.co.jp/program/documentary/sdgs-labo/
是非、ご覧ください。


そして、もう一曲。
「あなたの陽炎」という曲ができました。

画像2

今回はこの曲のお話をしたいと思います。

この楽曲は、制作中にたくさん泣いてしまったんです。

歌入れのレコーディングの時も泣いてしまいました。

正直、この曲と向き合うことは、とても辛くて、苦しいことでもありました。

それでも、僕はこの曲をつくりました。

その意味があると思ったから、つくりました。


是非、聴いていただきたいです。

各配信音楽サイトまとめ
https://nex-tone.link/A00101424

「あなたの陽炎」はMUSIC VIDEOもつくりました。
水彩画を描いたんです。
よかったらご覧ください。

あなたの陽炎 【MUSIC VIDEO】
YouTube URL
https://youtu.be/2-tjqRIxzz4


最後に「あなたの陽炎」のセルフライナーノーツを記載します。

今までの、アーティストのオヌキ諒のイメージとは少し違うかも知れませんが、これも僕なんです。

包み隠さず、僕なんです。

よかったら見てください。


-----

「あなたの陽炎」


″自分は介護をしていたのか″
そう考えると、なんだかピンと来ないんです。

僕が産まれたばかりの幼い時、お腹が空けばミルクを口に運んでもらい、おむつも替えてもらっていたと思います。

言葉もちゃんと話せないから、伝える術が泣き声になったり、
昼も夜もわからないから、″夜泣き″なっていたこともあると思います。


僕の母には、パーキンソン病、レビー小体型認知症という診断が出ていました。

詳しい症状などは、ここには書きませんが、僕が感じていたことは、

″人はまた産まれたばかりのあかちゃんに戻っていく″。

そんな風に思っていました。

いや、正直に言うと、そう思えるようになった。

いや、そう思うようにした。の方が気持ちに正しいかも知れません。

そして母は″戻っていく途中″に、

「恥ずかしいからこのことは秘密にしてね」

優しくて、哀しくて、小さくて細くなった声で、僕にそう伝えました。

深夜の静まり返った部屋で、僕の涙が見つからないように「わかったよ」と返事をしたことは、今でも鮮明に覚えています。


それから僕は、出来るだけその約束を守りました。


プライベートでも、仕事でも、
″介護をしている″そんな風には言えませんでした。

僕自身も″介護をしていて大変なんだね″と、思われるのを避けていたんだと思います。


日に日に、戻っていく、なにかを失っていく母に″今までの当たり前″という暴力をぶつけてしまったこともあります。

優しい母からは想像もつかない″辛い言葉″を浴びたこともあります。

きっと、母も僕も、″戻っていくこと″に心が付いて行かなかったんです。


それでも、″今″と向かい合わないと彼女は生きてはいけないのです。

産まれたばかりのあかちゃんと同じです。

ただそれが、

″未来に生きるため″
なのか、
″安らかに眠るためなのか″

そこがちょっと違うだけなんです。


母は昨年、2021年の9月に永眠しました。


その頃は、コロナによる緊急事態宣言の真っ只中で、お見舞いにも行けず、最後のその時にも、病院に入ることは許されず、手を握ることも、声をかけることも、僕には出来ませんでした。


深夜、病室の看護師さんからの電話、受話器越しに聞こえる、切羽詰まるような心電図の音。


僕は、自分の心の準備をするだけで、
泣くこと以外、
僕には何も出来ませんでした。

僕は好きなように音楽をして、悔いのないように生きてきたつもりですが、


このことが、僕の人生最大の″後悔″になりました。


今でも悔しくて仕方がありません。

ただ、この燃えるような言葉にできない気持ちも、川のせせらぎのような柔らかい気持ちも、母が教えてくれたものなんだと思えるようになりました。


「あなたの陽炎」は、

″介護をしている″
″介護をされている″

いえ、

″愛を教え合っている″

そんな方に聴いていただきたいのです。


母との″秘密の約束″は、
きっと、優しい母なら許してくれますよね。


僕の生きてきた中で、こんなに″僕の生活″をさらけ出した音楽はありません。


僕の人生なんかじゃ足りないとは思いますが、

″愛を教え合っている人たち″が、辛くて苦しい時、

「あなたの陽炎」が、少しでも、あなたを癒してくれますよう。


そう願っています。



そして、母や僕、家族と親身になって向き合ってくれたヘルパーさん、ケアマネージャーさん、医療従事者の方々に、この場を借りて、厚く御礼申し上げます。


オヌキ諒


-----

「あなたの陽炎」 Music

Words and Music: Ryo Onuki

1st Violin:Aya Yokomizo
2nd Violin:Yoshiko Kaneko
Viola:Reiichi Tateizumi
Cello:Takahiro Yuuki

Sound Produce & Arrange:Kohji Mizuguchi
Sound Engineer:Yasuo Hiruma
Mastering Engineer:Mitsuyasu Abe (Sony Music Studios Tokyo)
Recording Studio : Pastoral Sound

画像3


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?