見出し画像

折り紙と最高の季節

今日の東京の朝はカラッと晴れてとても心地よい始まりでした。走っているとひんやりした風が、私の荒い呼吸を整えてくれます。

それにしてもここ最近、秋や春の心地よい時間が年々と短くなっているような気がするのです。

夏が終わったらすぐに冬が来て、冬がおわったらすぐに夏がくる感じです。

「だからこそ、、この限られた心地のよい風の季節を十分に味わいたい」。そう思うのです。

そんなさわやかな日の朝、公園に少し寄りました。裸足になって、短く刈られた芝生を足の裏でスリスリと味わいます。これがとても気持ちよくて気持ちよくて1時間くらいその場で過ごしちゃいました。

芝生で足をスリスリしながら恍惚に浸っていると、ふと昨日のできごとを思い出しました。

同僚とそのお子さんとファミレスに行きました。そこでは幼児に折り紙や迷路の紙を配っているのでさっそくわたしたちは受け取って、その同僚の子に渡しました。

5歳の彼女はとても器用で、説明書にならってきれいに折り紙を折り進めます。しかしさすがに途中でわからなくなったのか、私に「わからなくなった。やって!」とやりかけの折り紙を差し出したのです。

ふと気づくと同僚はトイレに行ってしまってました。彼女はトイレに行ってしまった父親の代わりに、私に続きの折り紙をやってくれとのことです。

わたしは「どれどれ」と言って、幼児用に書かれた折り方の説明書を見ながらやりかけの折り紙を進めます。

「うーんと、この点線に沿って折るんだから・・・」とひらがなで書かれた説明書を見ます。

しかし、「や、やべえ、、、ぜんぜん、わからない。。」のです。
なにをどうやっても、折り途中の折り紙を見ても、ひらがなで書かれた説明書を見ても、いや、いまどこまで進んでいるのかもわかりません。

そういえば私って最初から決められたフォーマットにならって、規定通りにものごとを進めるのが子どものころから異常に苦手なのです。自由に自分の発想で折ったり書いたりするのは好きなのですが。。

というわけで何をしたかというと、そう、あきらめました。

幼児用の折り紙をあきらめて宙を見つめます。そして彼女に「もうできないや。お父さんにやってもらおう」と伝えました。

同僚の子はうなずくものの不思議そうに私を見ています。こんな大人は初めてでしょうか。うん、それはそれでいいことかもしれません。

世の中には折り紙できない大人もいるのです。

そんなふうに宙を見てやり過ごしていると同僚が戻ってきました。私は彼に「やり方がわからないからやってくれ」とわたしました。

ああ、まるで私が子どものようです。

その姿に同僚は「え、大丈夫か。。簡単じゃん」とほんと唖然とするとともに、その子どもも「だめだこりゃ」って感じで肩をすくめて、わたしの顔をじっと見ていました。

そんなことを思い出しながら足の裏で今、芝生を味わいます。そして、ただ何もない青空を見上げて寝そべります。

日々のあれやこれやの悩みもうっすらと遠のいていきます。

うん、大人が折り紙できないことなんてなんでもないのです。

はて、あとどれくらいこの心地よい風を味わえるのでしょうか。今年はたった数回で、厳しい寒さが到来するかもしれません。

だからこそ存分に心地よい秋を味わいたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?