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ありふれた日常によろこびを

昔、とある出版社の中途採用の最終面接で「あなたにとって今、いちばんの人生のよろこびはなんですか?」と最後の最後に聞かれたことがありまふ、

わたしはそのような質問をまったく予期してなかったので、一瞬口ごもりましたが、まあここは思い浮かんだものを素直に答えようと、

「日々、好きな人たちとごはんを笑いながら食べることですね。何気ない日常がしあわせです」

となんも野心も感じさせない答えをしてしまいました。

あ、なんかダメかも。そして落ちたかも。と思いました。

すると、その質問をしてくれた役員の方が、とても大きくうなずいてくれて「いいですね」と言ってくれました。

結果、採用になったのですが、その後ほかとの兼ね合いから辞退しました。でも最後の回答が大きな決め手になったと、辞退の際に言われてうれしかったですね。

それが30代前半くらいだったでしょうか。あれから10年以上経ちました。

はて、私の現在地はどうでしょうか。

じつは2日前に妻に別れを切り出すと、「うおおーー!!死んでやる!」と言って、

彼女は包丁を自分の首元に付けて、私の目の前に立ち「もう目の前で死んでやる!」と叫んで、修羅場になっていたのです。。

その日は30分ぐらいやりあったでしょうか。もちろん彼女の興奮を抑える必要もあります。でももうひとつ怖いのはナイフの刃先をこちらに向けていることです。

もしかしして自分が切り付けられるのではないかという恐怖があったのです。

なので、ここは一旦落ち着かせて、後日べつのかたちで第三者も通じて話したほうが得策だなっと瞬時に判断したわたし。

やんわりした言い方でとりあえずその場を納めるほうに懸命にシフトしました。

しかし大切な貯蓄に無断で手をつけておいて、こちらがもはや我慢の限界と離婚を切り出すと、「目の前で死んでやる!!」ってなんなのでしょうか、

あともう一歩で110番に電話するところでした。数ヶ月前に警察署から大々的に表彰を受けた妻が、いまは包丁を持って暴れているので、警察のやっかいになろうとしているのです。。

わたしはなに一つ非はないのに。いえ、こうした状況を招いている私こそすべての責任があるのでしょう。わたしに非はございます。

結果、まあなんとか収まりました。

そして彼女がすごいのは「死んでやる!!」といった翌日に、楽しげに3泊で大阪のUSJに遊びにいっていることでふ。

ああ、今思い出すと自己矛盾というか皮肉というのかなんなのか、冒頭の面接では穏やかに話をしていただあの感じ

今、なかなか好きな人と楽しいごはんができているというと、そうでもないというのが現実です。

疲れました。ああ、好きな人と穏やかに食卓を囲む日は来るのでしょうか。あのときのわたしの願いにはまだまだほど遠いようです。。

そう思うとのびしろがまだまだあるようですね。なにかが違う気がしますが。

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