小宮山亮磨

ボストン大学のジャーナリズムスクールでの授業で書いた記事などを投稿しています。2020…

小宮山亮磨

ボストン大学のジャーナリズムスクールでの授業で書いた記事などを投稿しています。2020年末で卒業し、21年2月から朝日新聞記者に復職しました。Twitterアカウントは@ryomakom

最近の記事

参院選の結果を示す神エクセルをtidyにするRのコード

総務省がウェブサイトで開示している神エクセル(たとえばこれ)を、分析しやすいtidyな形式に変換するためのRのコードです。参院選比例区の各候補者が各市区町村でどれだけ得票したのかを示すもので、とりあえずは直近2022年選挙のデータをやってみました。 library(readxl)library(tidyverse)# Excelファイルのパスを指定file_path <- "エクセルファイルのディレクトリとファイル名をここに入力"# Excelファイルの全シート名を取

    • 知らない言語でウェブアプリ作ってみた

      はい、というわけで、JavaScriptもCSSもぜんぜん書いたことないし読んだこともないのに、「こんなの作りたい」とChatGPTに相談して教えてもらいながら、作ってみました。朝日新聞の記事編集ソフトの動作をまねするウェブのアプリです。書評委員をつとめている方から、「指定通りの行数で書いたつもりなのに、なぜかずれてしまう。朝日の独自ソフトを手元で使える小宮山さんがうらやましい」と言われたので、それなら同じ動作をするアプリを作ったらいいんでは、と思いついたからです。 アプリ

      • パキスタンの桃源郷旅行記(と、ちょっとした文化的見聞記)

        先月に夏休みを2週間とって、パキスタンを旅行してきました。いろいろ(本当にいろいろ)ありましたが、「桃源郷」として知られる北西の辺境フンザ(Hunza)への旅を中心に書いていきます。 私たちがパキスタン訪問を決めたのは、パキスタン人の知人(10年くらい前のケニア旅行中に出会って、以来やりとりを続けている)の老夫妻に長いこと、招かれていたから。早く来い来いとずっと言われ続けていたのです。6月7日、東京・羽田からのタイ航空でイスラマバードに到着し、同市近郊にある彼らのお宅にお邪

        • QGISとFlourishで地図をつくろう

          1. QGISでデータを加工して地図にする 1-1. データをゲット  国土数値情報のウェブサイトに行き、「GML(JPGIS2.1)シェープファイル」→「2.政策区域」→「行政区域(ポリゴン)」と進む。  地図にしたい場所(今回は神奈川県)の最新の地図(令和4年版)をダウンロードする(赤丸で囲ったところをクリック)。このzipファイルを展開し、このなかから拡張子が「shp」となっているもの(いわゆる「シェープファイル」は複数のファイル群で構成されるが、専門家によると、

        参院選の結果を示す神エクセルをtidyにするRのコード

          「バズり」とイグ・ノーベル賞

          朝日新聞の小宮山と申します。記者として、これまで主に科学を担当してきました。きょうのお題、「バズりと科学」。もちろん自分の書いた記事は多くの人に読んでほしい、バズってほしい、と思います。でもだからといって、バズればいいってもんではない。というか、バズるかどうかなんて気にするのも嫌だ、という気持ちもあります。 ノーベル賞報道は、なんかこう… 「バズる科学」といえば、やはり社会的に広く認知されているノーベル賞を連想する人が多いでしょう。 日本人が受賞したとなると、新聞では1

          「バズり」とイグ・ノーベル賞

          旧統一教会は参院選で井上義行氏の得票を増やしたのか

          言語統計学A 期末リポート 2022/08/09 小宮山亮磨 要旨  自民党参院議員の井上義行氏は2022年にあった参院選で、前回2019年の選挙より得票を大きく伸ばして当選した。得票がどこでどれだけ増えたのか、全1896市区町村について分析すると、「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の施設がおかれている自治体での伸びが大きかった。井上氏は旧統一教会と関係があったとされる故・安倍晋三元首相の元秘書官で、今回の参院選を前に同教会の「賛同会員」になったとされている。同教会

          旧統一教会は参院選で井上義行氏の得票を増やしたのか

          マリファナ店のブラックフライデー

          【マサチューセッツ州ブルックライン】サンクスギビング前日の朝、その店の前には50人以上の人々が並んでいた。おしゃべりをしながら、開店を行儀良く待っているのである。 ちょっと早めのブラックフライデー、というわけではない。ボストン地区で唯一の合法マリファナ店、New England Treatment Access(NETA)にとって、こんな行列は当たり前なのだ。 この店は医療用マリファナの利用者のために、ブラックフライデー割引を用意していた。でもNETAの店員によれば、3月

          マリファナ店のブラックフライデー

          記者は政治家と会食してもOKなのか?

          私は日本の新聞社で記者をしてきた。米国で学んでいるのは、ここで得た知見を帰国後に生かすためだ。したがって、私は米国のジャーナリズムを学びながら、常に日本との違いや共通点を探している。 日本の新聞業界は経営的にも、一般社会からの評判に関しても危機的な状況にある。後者についていえば、近年になって社会からとりわけ厳しい目が注がれているのは、取材対象である政治家や役所の幹部らと記者が親密になることの是非である。米国では「アクセスジャーナリズム(access journalism)」

          記者は政治家と会食してもOKなのか?

          パンデミックでシェアバイクの利用は減ったか?

          注意書き:以下の文書は、先日終わった大学院の統計の授業(主観的にはほぼ落第しかけてたやつ)で提出したレポートです。先生からは「なんでlinear model使うの?Generalized linear modelのpoisson使ったほうがいいんじゃないの?」とのコメントをもらいました。というわけで、はっきり言って粗だらけのレポートと思いますがご容赦ください(何をどう改善すべきかを教えていただけるとすごく感謝します)。データやRのコードは丸ごと以下に置いておきます。 1.

          パンデミックでシェアバイクの利用は減ったか?

          ブラックホールで時間旅行へ 29歳研究者の夢

          国際研究チーム「Event Horizon Telescope(EHT)」は2019年4月、ブラックホールを捉えた世界初の画像を発表して、大きな注目を浴びた。ブラックホールは巨大だが、宇宙のはるか彼方にあり、「月の上にあるゴルフボールを地球から観測するのと同じくらい」の大きさにしか見えないという。 そんな天体をどうやって撮影したのか? そもそもブラックホールを観察すると、どんなことがわかるのだろう? マサチューセッツ工科大学のヘイスタック天文台で研究をしているEHTメンバ

          ブラックホールで時間旅行へ 29歳研究者の夢

          新型コロナ、「素人」の物理学者たちが声を上げる理由

          新型コロナウイルスをめぐって、物理学者たちが盛んに情報発信している。研究者とはいえ、感染症については素人のはず。なのにどうして声を上げるのか? 理解できないことがあるのは許せない、データがあるとつい分析してみたくなる――そんな性分があるのだと、彼らは言う。でも、理由はほかにもあるらしい。 「この感染は拡大か収束か:再生産数Rの物理的意味と決定」 そんなタイトルの記事を3月末、ウェブマガジン「RAD-IT21」が掲載した。筆者は京都大学の門信一郎准教授だ。 テーマに取り

          新型コロナ、「素人」の物理学者たちが声を上げる理由

          Is Eating Locusts Useful to Overcome the African Crisis?

          An outbreak of desert locusts in northeast Africa is eating away at crops, causing food shortages for nearly 12 million people. Qu Donyu, Director-General of the Food and Agriculture Organization (FAO) of the United Nations, said on Jan. 30

          Is Eating Locusts Useful to Overcome the African Crisis?

          大発生したバッタ、食べて危機克服できるか

          アフリカ北東部で大発生したサバクトビバッタが作物を食い荒らし、1200万人近くの人が食糧難に陥っている。国連食糧農業機関(FAO)の屈冬玉事務局長は1月30日、大発生が「人道危機をもたらしている」と述べた。 だがFAOが2013年に発表した「食用昆虫」についての報告書には、サバクトビバッタは食べられると書いてある。作物の敵を食べれば、食糧危機は克服できるだろうか?​​​​​​​​​​​​​​ イエメンで2016年に発生したサバクトビバッタ=FAO提供 専門家によると、そ

          大発生したバッタ、食べて危機克服できるか

          Americans Don’t Like the Ig Nobel Prize

          The world's largest scientific power seems not to be interested in basic research CAMBRIDGE, MA – When Marc Abrahams had a recent weekly meeting with several friends at a small cafe near Harvard University, the main topics over tea and san

          Americans Don’t Like the Ig Nobel Prize

          イグ・ノーベル賞、米国人は関心なし?

          「役に立たなそうな研究」には冷淡な科学大国 【米マサチューセッツ州ケンブリッジ】12月のある朝、ハーバード大学から数百メートル離れた小さなカフェで、マーク・エイブラハムズさん(63)は紅茶とサンドイッチを楽しみながら、友人たちと週に一度の打ち合わせをしていた。話題は主に科学者のゴシップだ。 科学とユーモアを愛する人々にとって、彼は世界的な有名人だ。あの「イグ・ノーベル賞」を設立し、以来28年間、運営を続けている中心人物なのだから。ただ、ハーバードのロゴ入りシャツを着た若い

          イグ・ノーベル賞、米国人は関心なし?

          Japanese Media in Crisis

          Recent Criticism of Reporting the Victims' Names In recent years, Japanese media have been under sharp public criticism. That's the kind of criticism you wouldn't expect in the United States. Some people argue that revealing the names of p

          Japanese Media in Crisis