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混同されがちな「セールストレーニング」と「セールスイネーブルメント」の違い?

ここ数年で「セールスイネーブルメント」という言葉は過剰に使われているとも言えるほど頻繁に日常で使われるようになってきております。

広まるのは良いこととはいえ、「え?それってセールストレーニングって言えばいいんじゃない?」というような使われ方が多くされていると思います。

例:中途社員入ってきたからイネーブルしないといけない!

多分みんな違和感がありつつも、ただ言葉だけが一人歩きしているようなので、私が考えるイネーブルメントの定義をお話しできればと思います。



諸説あるという前提の下ですが、私は「セールストレーニング」が「セールスイネーブルメント」に内包されていると考えております。

そもそもセールスイネーブルメントとはなんなのか?

前述したように国内では一般的に「イネーブルメント」というと「トレーニング」の代名詞となっているケースが多い感覚があります。新しい言葉なのでそれも正解だとは思いますが、そうするとあえて表現を変える意味もないのではないかな、と考えてます。

海外でも実際の解釈はソースによって分かれていることが多いです。

定義

Gartner
セールスイネーブルメントは、営業チームがより効果的に活動できるよう必要なリソースを提供し、より多くの案件をクローズさせるためのプロセスである。リソースには製品やサービスを顧客に販売するためのツール、テクノロジー、トレーニング、コンテンツ、または実行可能な戦略が含まれる。高いパフォーマンスを発揮するセールスイネーブルメントの機能とは、特定のリソースまたは支援ツールを提供し、営業プロセスを簡素化して営業担当者にかかる負担を軽減する。これによりコンバージョン率が増加する。

Forrester
セールスイネーブルメントの目的は、売り手がスキル、知識、資産、プロセスに関する専門知識を獲得し、すべての買い手とのやりとりを最大化できるようにすることである。

○Association for Talent Development
セールスイネーブルメントの目的は、買い手が辿る道のり全体を通じて継続的かつ戦略的なリソースを提供してビジネスに対するプラスの影響を創出し、市場に対応するチームの生産性を増加させることである。これには営業トレーニング、コーチング、コンテンツ作成、プロセス改善、人材育成、給与などが含まれる。

○Sales Enablement Society:
セールスイネーブルメントを実施すると、十分な訓練を受けた上で顧客に対応する従業員は、適切なタイミングおよび場所で適切な資産を使用して買い手とエンゲージメントし、カスタマージャーニーに沿って世界水準のエクスペリエンスを提供できるようになる。適切な営業マネジメントとパフォーマンスマネジメントのテクノロジーを活用するとともに組織全体の連携を強化するセールスイネーブルメントは営業活動を最大化し、パイプラインの拡大、商談の推進、大型案件のより効率的な受注を実現して、利益ある成長を促進する。

全てBuilding Blocks of Sales Enablementより引用

ざっくり各社の解釈から洞察できることとしては、なんとなく「トレーニング」が局所的な話法などの訓練のイメージなのに対し、「イネーブルメント」はプロセス等全体最適に注目している感覚があると思います。ただ、買い手のジャーニーの整理も含めて広範なトレーニングとしては昔からやられてきてますよね。

Enable=En+Able:できるようにする

じゃあ、どう解釈すべきなのか、ということですが、そもそもセールスイネーブルメントの“イネーブル(Enable)”は、

Enable=En(使役的意味合い)+Able(可能になる)
→できるようにする

ということです。
そうなるとセールスイネーブルメントは以下のようになります。

Sales Enablement→営業をできるようにする

つまり、セールスイネーブルメントの目的は、営業チームや個々の営業担当者が最高のパフォーマンスを発揮できるようにすることです。
こうなった場合に、セールストレーニングと何が違うのか。
簡単な例を使いながら説明していきます。

イネーブルメントとトレーニングの違い

トレーニングとは?

例えば、「英語が話せない」という人がいたとき、ただシンプルに「教える」のがトレーニングになります。もちろん教えるの範囲も広範になっており、単語の覚え方なども含めてトレーニングの一環と考えられると思います。

イネーブルメントとは?

一方でイネーブルメントという枠組みで考えると、「英語が話せない」という人に対して、「できるようにする」ということがエンドポイントの全体最適の構築です。

なので、まず「何が原因でできないのか」ボトルネックになっている要因を分析します。

分析

原因が特定できると、何が一番インパクトが大きいのか仮説が立てられます。ボトルネックがわかれば取り除くだけです。トレーニングも一つの手法ではあります。

そうすることで、「出来るようになる」というのがイネーブルメントです。ボトルネックを取り除く過程にトレーニングも含まれているような形です。

簡単に見えますが、実際は色々複雑なので簡単にはいきません。

セールスイネーブルメントの全体像

セールスイネーブルメントは、営業活動全体の最適化を図ることで、営業チームが成果を上げられるようにします。
なので、セールストレーニングだけではなく、営業の採用面接のシステム化セールステックの導入、オペレーションの見直し、マーケティングとセールスの一致など、営業活動を最適化するための多岐にわたる取り組みが含まれます。

セールスイネーブルメント全体像

主観的なアドバイスや単独のトレーニングだけでは、企業や個人の成長は限定的です。「セールスイネーブルメント」は、人材育成や組織の強化において重要な役割を果たし、日本においてもその需要が増していると考えられます。

日本でのセールスイネーブルメントの未来

日本ではセールスイネーブルメントは進んでいるのか?この問いの答えとしては、ほとんどの企業はゼロに近いと思います。

米国を含んで諸外国では2つの理由でイネーブルメントの発展性があります。①地理的特性②転職の多さ、です。
一つ目として、米国は特に地理的に離れているメンバーの教育がマストです。ニューヨークからテキサスに同行したり、教育を頻度高く実施することはできないので、現地の営業を徹底的に型化するための仕組みが必要です。その為、イネーブルメントが自然と発展してきております。
二つ目として、転職が数として多く、オンボーディングの期間の短縮は圧倒的な課題感があります。

一方で日本では東京や大阪に人が集中していたり、未だに終身雇用的な雇用も多くあります。

マッキンゼーの「日本の営業生産性はなぜ低いのか」というレポートでは、日本企業の営業がどのように時間を使っているのか、ベストプラクティスと比べています。それを見ていくと、「提案準備」「営業活動ではない社内業務」の割合がまだまだ多くなっています。

https://www.mckinsey.com/jp/~/media/McKinsey/Locations/Asia/Japan/Our%20Insights/Why-is-Japan-sales-productivity-so-low-Jp.pdf

そして、当のアメリカでは、関連マーケット規模は5年で約2倍となると予測されるだけではなく、Sales Enablementの肩書きを持っている方は右肩上がりで増えているという調査をされている方もいらっしゃいます。日本でも今後急成長すると考えられます。

https://sales-enablement-tools.com/

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採用ページ:https://amptalk.co.jp/recruit.html

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