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法定通貨と地域通貨について

7月3日に新紙幣が発行されましたね!詳しくはこちら

そこで皆様に一度、通貨について考えてもらいたくてちょっと堅いですがこちらにまとめておきたいと思います。

人に地域通貨の説明をするときによく聞かれるのが、
 「地域通貨って日本円と何が違うの?わざわざ地域通貨を使わなくたって生活できてるんだし、今まで通り日本円使ってたらいいんじゃないの?」ということ。
 なので、ここからは日本円と地域通貨の違いについて解説していきます。

ここからは佐伯龍蔵監督の言葉です。


法定通貨とは?

 私たちが普段使っている日本円を法定通貨という。呼び名の通り、日本の法律によって定められている通貨である。要するに、日本国内で取引をする際に日本円を使用できます、と国が法律によって認めているのだ。世界中どの国にも、国ごとの法定通貨が定められていて、国同士が取引をする場合もその法定通貨がひとつの価値の基準となっている。
 そしてどの法定通貨にも3つの大きな機能があって、それにより今の経済社会は成り立っている。その3つの機能を紹介しよう。
 1つ目は、お金の交換機能。人が物々交換で取引をした場合、例えばレコード屋にお米を持って行って、レコード1枚とお米5キロで取引が成立するとは限らない。レコード屋は家に1年分のお米を備蓄していて、お米が必要無いかもしれない。逆に米屋の家にはレコードプレーヤーが無いので、レコード屋は米が欲しくてもレコードで交換することができない場合もある。この取引を成立させるためには「お金」が必要になってくる。米屋は米を、レコード屋はレコードを必要な人に売ってお金を手に入れ、そのお金を介することでいつでも米屋とレコード屋での取引が可能になっているのだ。
 2つめは、価値の尺度としての機能。レコード1枚の価値と、お米5キロの価値を、お金は数値化することができる。例えばレコードアルバム1枚の値段は5,000円、無農薬米5キロで5,300円という風に。一本の物差しで考えると分かりやすい。お金を持つということは、全員で同じ物差しを一本づつ持ち歩いていて、商品の価値をその物差しを使って測ることができるということである。
 3つめは、価値を保存する機能。レコードと米を比較してみよう。レコードは商品の劣化・損傷は長い時間をかけて起こるが、米の場合は食品なので劣化が早い。米は毎年作られるので、1年前の米を買う人は少ない。よってこの場合は米屋は1年で、作った米を売り切らなければ価値が減価してしまう。物質としての商品は時が経過すればするほど価値が減っていくものがほとんどである。では法定通貨はどうか?国際的に見れば、為替の変動により一時的に価値が下がる通貨もあるが、世界中の法定通貨全体で見ると、お金の価値は一定のまま、腐ることもなければ劣化することも無い。なのでお金を所有している人は、商品在庫を持つ人よりも優位に立つことができる。さらには貯蓄しているお金を、投資運用することで新たにお金を生み出すことができる。
 1と2の機能によって、お金は人から人の手に流通する道具の役割を果たしているが、3の機能によってお金によって巻き起こる別の現象が生まれている事実がある。
 さらにお金の歴史を紐解いて行くと、「金本位制」と「管理通貨制度」の時代で大きくお金の流れは変わっているが、長くなるのでここでは割愛させていただく。
 

地域通貨とは?

 次に地域通貨である。このお金は国に1つだけの法定通貨とは違って、発行している地域の数だけ存在する通貨の総称である。名前の通り、特定の地域に流通していて、その地域の人々が主に使っている通貨だ。地域の数だけ呼び名と単位があり、地域によって機能も違ってくるという、大変説明が難しい通貨でもある。
 発行者も、地方の自治体や、地方銀行、企業、NPO法人、発行のために新たに組織された団体、果ては個人まであり、地域によってそれぞれだ。大抵の地域通貨は、地域経済やコミュニティーの活性化のために誕生した。発行者や単位が違う地域通貨ではあるが、その種類は大きく3つに分けられる。
 1つ目が紙幣型の通貨。法定通貨で紹介した、お金の交換機能と価値の尺度としての機能はそのまま実装されているが、保存機能を無くしたものが多い。なのでお金には期限が設けられていて、その期限内に使わなければ価値が無くなってしまう「腐るお金」である。
 2つ目は通帳型の通貨。取引の金額をお互いの通帳に+ーで記入するだけで取引を成立させることができる。この通貨はお金自体の交換はなされずに、それぞれの通帳の数字だけが変動するという仕組みである。
 3つ目はブロックチェーンの技術を用いて、アプリ上での決済を導入している電子通貨。スマホに店舗のQRコードを読み取って、金額を入力し決済する。映画に登場した共感コミュニティー通貨eumoや、岐阜県の飛騨信用金庫が発行しているさるぼぼコインなどが有名だ。
 そしてどの地域通貨にも共通していることが、ひとつだけある。それは同じ地域通貨を使っている人同士は、取引をする時に会話やメッセージで交流をしていること。法定通貨が便利なのは日本全国どんなお店でも使うことができるからだが、取引をした相手と交流が生まれる機会はとても少ないのではないだろうか。それに対して地域通貨を使う場合は、まず地域通貨を持っている人間に取引を持ちかけるところから始まったりもする。だから自ずと交流が生まれるのだ。これは地域通貨が持つ特有の不便さが起こす面白い現象である。
 地域通貨の発行者がよく言っているのは、日本円の代わりに地域通貨を広めたいのではない、という点だ。日本円は生活にはかかせないので必要不可欠だが、日本円では頼みづらい簡単な作業など、日本円の尺度では見過ごされている価値を改めて掘り起こすことを地域通貨はできる。よって「日本円の補完として、使えるお金の選択肢を増やす」という目的が地域通貨にはあるのである。



ふむふむ。法定通貨の中でもどれも同じような意味を持ちますが、通貨、貨幣、紙幣についても意味が違っているようなことも聞くので、これからも引き続き研究していく必要がありそうです!

それにしても地域通貨も全国に今どれほどの種類があるのでしょうね?
私たちも発見できていない地域通貨がまだまだありそうです。
新紙幣を手にした皆様に聞きたい。
「今までと違った手触り感がありますか?」
使ったことのない新紙幣を手に入れた時の感覚、ぜひ楽しんでみてください。そしてそれが地域通貨を手に入れた時の感覚に近いのではないかと推測しています。そんな風に手触り感満載の地域通貨があなたのお財布に混じっているって考えたらちょっと面白くありませんか?
ぜひ、一度そんな通貨も手に入れてみて欲しいです。

りょくまゆ

いよいよ近づいてきたテアトル新宿での公開!ぜひ、観てくださいね!
テアトル新宿 8月23(金)~27(火) 
テアトル梅田 9月20(金)、24(火)、26(木) 


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