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虹の彼方に 第10話 スパイの正体

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 開演まであと十分。通り雨は本降りに変わった。

 このあとだれも来なかったらどうするんだろう。こんな少人数のために演奏するつもりなの?
 うれしいような申し訳ないような、複雑な気分だよ。早くほかにも来てくれたらいいのに。あたしは本当に心配になって、店の外まで様子を見に行こうと席を立つ。
 ちょうどそのタイミングで店の扉が開き、数名が入ってきた。あとにも続いて、何組かの集団がやってくる。
 得能くんも見ているかな。よかったね。みんな来てくれてるよ。

 ホッとしたあたしが席に着こうとしたら、
「おや、西田じゃないか」
 いきなりうしろから声をかけられた。
 知り合いなんているはずがない。不思議に思ってふりむくと、二十代後半くらいの男性が数名立っている。その中に、予想すらしなかった人がいた。

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2,588字
全部で10話ほどですが、1話は短めです。原稿用紙100枚を目処に書いた中編小説を改稿したものです。文字数換算すると、3万字強になります。

メンバーシップ特典マガジンと同じ内容ですが、会員以外の方に単独で販売するように設定しようとしたところ、うまくいかなかったので、改めて単独の…

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