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大好きな人との結婚が幸せとは限らない。

ときどき聞かれること。「結婚してどうですか?」

うーん。楽しいよ!
うちの夫は一切家事しないけど、優しいし。
友だちいなくて家でhuluばっかり観てるけど、愉快な人だし。
毒舌だけど、思ったことはハッキリ言ってくれるから楽だし。
私が作った料理に全然「おいしい」って言ってくれないけど、毎晩「今日の夕飯なに?」って聞くのはかわいいし。

結婚してから数年が経って、つくづく、好きなだけじゃ一緒に暮らせないなあ、と思う。おばあちゃんになったらまた変わるのかな、どうなんだろな。
恋人のころはよかったけれど、結婚してからは、「好き」の気持ちだけで許せることなんて数えるほどしかない。冷静になって相手との話し合いを進めなければならない場面がたくさんある。

恋人のころは世界がキラキラしていてカラフルにしてくれる。ドキドキしていて、それだけで肌が活性化していくような気がする。でも、結婚生活はそんなことなかった。世界は落ち着いたレトロカラーで、ドキドキしないし、なんならイライラすることのほうが圧倒的に多いし、肌は最近マメにお手入れするようになったからちょっと潤ってる。幸い、吹き出物もない(ちなみにこれはただの自慢だ)。

で、「結婚生活は具体的にどんな感じですか」と聞かれると、私はたいてい「同居人がいる感じですねぇ」と答える。生活を共にしていて、一緒にごはん食べて、同じテレビ番組観て、一緒に遊びに行って。ときどき生活スタイルが合わなくてケンカをする。
たぶん、うちは子供は作らないと決めた夫婦だから、そんな生活が成り立つんだと思う。未熟な私たちは妻と夫のほかに、母と父の肩書きがつくと潰れてしまう。家族が増えることにポジティブになれない人間だっているのだ。

そんなことを考えたりもしたりしているので、「結婚ってしたほうがいいかな?」と聞かれると「したかったらしていいんじゃないかな」「一緒に暮らしたいと思う相手と出会えば、すればいいんじゃないかな?」と答えてる。
好き、とかよりも、これからこの人といろんなものを見たい、一緒に笑ったり泣いたりたまに怒ったりしたい、と思える人と暮らせばいいんじゃないかな。その相手が異性とは限らないし。
多様な世界なのに、何かと型にはめたがるし、はめられたがる。
だいたい、聞いてもいないのにアドバイスしてくる人は余計なお世話なので放っておけばいい。暇人の戯言だ。なかなか難しいけど、そんな戯言はニコニコしながら聞き流せばいい。

少し前に、「私、子どもを作る気はないんです」と言ったとき、ある女性が「うん、きみはそれがいいんじゃない?」と笑って言ってくれた。そのときはグッと堪えたけれど、本当は泣いてしまいたかった。ずっと誰かに「うん、いいんじゃない?」と言ってほしかったんだなあ、誰かにあなたの自由にしていいんだよ、と背中を押してほしかったのかもしれない。
人は他人の人生に責任はとれない。人生の選択に余計な口を挟むことはできない。けど、そっと寄り添えることはできる。

死ぬまでに何度もたくさんの取捨択一をしていかなければならないけれど、結局は自分の人生は自分しか守れない、ということは忘れたくない。
間違った選択をしてしまった、と思っても誰も責めることはできないのだから。

「結婚ってどうですか?」
「人によるけど、まあ、悪くはないと思うよ。私の場合は、ね」

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