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ハピラインふくいの快速列車〜武生、鯖江駅を保管する速達列車〜

北陸本線から移管後の敦賀ー福井間

3月16日の北陸新幹線敦賀延伸開業により、並行する北陸本線敦賀ー金沢間はIRいしかわ鉄道(金沢ー大聖寺)とハピラインふくい(大聖寺ー敦賀)に移管された。

ハピラインふくいの運行体系は、JR北陸本線を基本とし、特急列車の運行がなくなったため、その余剰を活用して増発している。利用者数の多い福井ー武生間は終日にわたり1時間あたり2本以上の運転となり、発車時間の統一するなどより使いやすい運転体系となった。また、福井ー敦賀間には朝夕時間帯に快速列車を運転している。

武生、鯖江駅の利用者数減の危機

延伸された北陸新幹線は小松、加賀温泉、芦原温泉、福井、越前たけふ、敦賀に停車する。このうち、越前たけふを除き在来線に接続する形となった。越前たけふは新幹線のルート都合で在来線とは接続せず北陸自動車道に沿ったルートとなった。北陸本線時代に特急停車駅であった鯖江と武生には新幹線が接続しないため、大阪、東京方面へ福井や敦賀へ向かい新幹線に乗り換えることとなった。また、普通列車は特急列車の運転終了により所要時間の短縮が図られたものの、新幹線の恩恵を受けない形となり、これらを補完するべく、快速列車が設定されることとなった。福井ー武生間は利用者数の多い区間でもあるため、普通列車の増発、快速列車の新設に踏み切ったものと考えられる。

路線図。ハピラインの車両は金沢まで乗り入れる。

需要の高い快速列車

上記の理由により快速列車が設定される運びとなった。この快速列車は上下5本設定されている。特急列車の停車駅武生、鯖江に加えて、今庄または南条に停車する。今回は敦賀18:19発の快速で福井に向かって乗車した。

JRとホームを共用するため、駅名標はJR使用を基本にハピラインのロゴが入るスタイル。

敦賀駅7番のりば。
17:54に福井からの折り返し普通2両編成が充てられた。ハピラインふくいでは北陸本線で使用されていた521系が使用される。順次オリジナルカラーに塗色変更されるが、乗車した快速列車は塗色変更が済んでいないJR時代青と白のラインが入った車両であった。
発車時間が近づくにつれて、乗車が増え始める。2両編成ながら徐々に席が埋まり、発車時点でほぼ100%の状態となった。乗車した4月末GW前半であったが需要の高さが伺えた。

521系。順次ハピラインカラーに変更される。

敦賀を発車すると、南条、武生、鯖江に停車する。福井までの所要時間は40分。特急サンダーバードの最速列車で30分、しらさぎで37分と比較すると遅いが、それでも停車駅3駅で40分であることを踏まえると特急料金不要の無料列車の中では速い列車に分類できる。ちなみに普通列車は敦賀ー福井間50分で運転している。

定刻で敦賀を発車すると、電源切替区間を通過し北陸トンネルに入る。特急列車はおよそ7〜8分かかるところ、当列車は約9分で通過した。全長約13kmのトンネルを高速で通過できる体験は快速&普通列車でも可能である。最高時速は120km/hで特急時代の130km/hには叶わないものの、トンネル内では高速運転が楽しめる。トンネルを出ると南今庄、そして北陸道の宿場町・今庄を通過する。今庄には上下2本の快速列車が停車する。なお、今庄に停車する快速は南条は通過となるので注意が必要である。湯尾を通過し敦賀からおよそ20分で南条に到着した。少ないながらも一定の降車が確認できた。

王子保を通過し武生に停車する。武生でさらに降車があり、込み合っていた車内も空席が出始めたが大半は福井駅まで乗車していたと思われる。
武生は越前市の中心であるが、隣の鯖江とともに北陸新幹線の延伸開業では新幹線が止まらない地域となった。武生、鯖江の連続停車は特急列車と変わらない。鯖江を出発すると終点の福井まで停車しないのも特急列車さながらである。直線が続くこの区間は120km/hで走行するため、特急時代を彷彿とさせる走りぶりを体験できた。北鯖江、大土呂、越前花堂の3駅を通過すると約9分で福井に到着した。鯖江ー福井間の特急列車の所要時間と変わらないことになる。福井駅4番のりばに到着した快速列車は敦賀行きの普通列車として折り返した。

福井18:59着。在来線の駅名標はハピライン仕様に改められた。

運行本数は1日5本と限られるが、主要駅を特急列車とほぼ変わらない所要時間で結ぶ快速列車の需要の底堅さを見ることができた。北陸新幹線の敦賀延伸で大阪・名古屋方面から福井方面の所要時間は特急列車直通と比較して最大3分の短縮にとどまり、新幹線開業効果が薄いと言われている。地域輸送に特化したハピラインふくいでは、特急列車の運行終了による余剰を活かした積極的な列車増発が一定の効果をもたらしている。通勤通学時間帯や休日の2両編成の列車は大都市並みの混雑であり、4両編成への増車も図っているが、車両数の限界もあり増車は一部にとどまる。想定外の課題も浮上する中、地域輸送に特化したハピラインふくいの今後の展開に注目していきたい。

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