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"神"は本当に存在するのか?「2001年宇宙の旅」

科学的に"神"なる者を定義した映画
猿から進化した人間の次なる進化の先は神である。

猿は猿を殺すことで人間に進化した。だから今の人間も戦争を乗り越え克服することで次に進化する。

宇宙人は我々をみている。そして人間が進化するためには戦争を克服しなければならないというテーマをこめている

宇宙人が地球を見守っているが次の段階に進化するためには戦争を克服しなければいけないというテーマでもあるらしい。

この映画に明確な主人公はいない。AI、人間、宇宙人が主人公なのだ。最初に出てきた博士は後半は出てこず乗組員のみが映される。

昔に撮られたとは思えない映像美と演出、そして映像と音楽の融合が素晴らしすぎて鳥肌が立つ…
まさにアートと哲学の映画
完璧主義者と言われるこの監督の映像は本当に素晴らしい。どの作品も。芸術的てシンメトリーな映像が多々ある。
今までの宇宙映画とは明らかな格差を見せつけた作品。宇宙空間の中無音で主人公の呼吸だけが聞こえるような演出をしたのも初めて。この映画に影響された作品はおおくパイオニア的作品と言えるでしょう。

ーー解説ーー

冒頭の猿のシーンではモノリス(黒い大きいやつ)から武器というものを教わりそこから宇宙に行けるまで人間が進化した。しかしあの骨を持って猿を倒した瞬間から進化とともに罪が誕生した瞬間でもあった。ラストシーンでも主人公はあの謎の部屋でおじさんになっていき死んでいく。そして猿が人間になったようにモノリスから次の存在への進化を教わり地球を眺めて終わってゆく…

まさに人類の進化への希望と哲学的なメッセージ性、そして人間対コンピューター、そんな事を感じ取れる作品でした。さすがキューブリック…

映像だけの時間がかなり多く、キューブリックは映像で感動させたかったとの噂。そして、そのような手法を使う事で観客は他の人と語りたくなる、いろんな面で挑戦でもあったのかなと思う。一見難しいストーリーだがそれもそのはずで本来入るはずだった説明やナレーションを全て無くしたとのこと。自分の考えや予測、意見を持たせるためだったのかもしれない。そう考えると伝説的な映画。

人は同種で殺しをし競争社会を作り上げたからここまで上り詰めた。だから殺しや暴力こそ人間の本性なんだというキラーエイブ理論に取り憑かれたキューブリックは今後も色々な映画を撮ります。

ー様々なテーマー

人工知能に打ち勝つ人間

猿から人間、人間から次の進化の一歩

宇宙人と神の存在

ーHALが殺人を犯した理由ー

ハルには自我が芽生え自分は完璧なんだとプライドを持ち始めます。

さらに乗組員達はただの木製探査だと思ってましたがハルには秘密の任務がありました。それは月のモノリスが木星に信号を送ってたためその調査です。乗組員にはパニックにならぬよう知らされてませんでした。

それを謎に思ったハルは乗組員に遠回しに月のモノリスについて聞きますが話が噛み合わず秘密の任務がばれると思ったハルはとっさに嘘をつき船外活動をさせます。しかしそれが裏目に出てしまい、ハルがミスをしたと思われます。よって自我が芽生えたハルは自らを守る為に自分のミスを知る乗組員を殺すことにしたのです。

ーー神を定義した映画ーー

神は死んだ。神という存在は信じられなくなってきた。でも核兵器があり、いつ国が滅びるかわからない、そうなったら神が必要なんだ。神がいることによって不安が減る。そのために科学的に神を作ろうとした映画です。

しかしこの定義は初めピエールテイヤールジャルダンという哲学者兼科学者のキリスト的進化論によって唱えられてました。

それは、「現在我々は肉体を持ち生物である。しかし人間はいつの日か肉体がなく意思のみの存在"神"というものに進化するのだ」と言っております。

ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」(テーマソングでもある)の進化説も題材にしておりこれによるとラクダ→ライオン→赤ん坊と進化すると言っています。それにより人間は最後スターチャイルド(超人)になりました。

この映画は神と進化論どちらも肯定してるのかもしれない。モノリスという道具を使い神が猿を人間に進化させたのかもしれない。

人間が神だと思っていたものは宇宙人だったのかもしれない。宇宙人が猿に知恵を与え人間に進化させた

ーー映画A.I.との関係ーー

原案がキューブリックであるA.I.は人工知能が人間に勝ち進化し新人類となる話です。逆に2001年は人工知能に人間が勝ち進化し超人になるという裏返しの映画です。

ーーーーー事実ーーーーー

骨を投げると宇宙船に変わるシーンは実は人類の進化を表しているのではなくあの宇宙船のようなものはロシア衛生の核ミサイル衛生であり、最初は骨の棍棒だった武器ももう核ミサイルまでいってしまい恐ろしいですよというメッセージが込められている。その後に映る宇宙船も中国やドイツなどの核ミサイルであり人類は互いに殺し合いをする寸前であるということを言っています。人間は武器とともに生まれてきたのではと怖くなります。しかし美しく青きドナウを使った事により誤解されてる事が多い。

このことはシナリオにも書いており実際にはナレーターでこのことを伝える予定だった。このナレーションを外したキューブリックは観客にいろいろな解釈をして欲しかったんじゃないかと思います。

ラストあの部屋に向かうまでの幻想的で長いスターゲートという空間はワープを表しており超高速してる物体から周りの星を見てる状態で色が色々あるのは赤方偏移を表現してる。このスターゲートとという超高速のトンネルはモノリスに空いておりそこから通ってきている。そして超新星爆発(古くなった恒星が自重に耐えきれなくなり爆発した状態)する事によりガスが撒き散らされる。撒き散らされたガスが流れ渦を巻く、そして流れたガスは中心に集まり核反応を起こし爆発する、そして太陽ができその周りに惑星ができていく。

まとめるとこのシーンは1つの太陽系が生成される瞬間をワープによるタイムトラベルで物凄いスピードで主人公が見せられていると言うシーンになります。

さらに1番初めの猿のシーン「人類の夜明け」は通常この太陽系の生成の後に入るものでした。大地が映されたシーンというのは実は地球で時間が経つごとに木が生え水が出てくる。あのスターゲートは一種のタイムマシンであり地球ができていくまでを主人公見せられた。そして「人類の夜明け」に続くはずでその後にあの部屋に来る。それにより主人公は人類を誕生させ進化させてくれた宇宙人に招かれたんだと理解するはずだった。

キューブリックの思いつきにより最初のシーンに移された。

地球人は宇宙人に育てられた…

しかしこの映画で宇宙人は出てきてないと思われてるが主人公があの部屋に着きトイレに行くシーンでよく耳をすますと赤ちゃんの声らしきものが聞こえる。あれはある曲の宇宙人らしく聞こえる部分を無断で切り取り使用し裁判になり何の目的で使用したのかと聞かれた時に実際にキューブリックが宇宙人の声として使用したと言っている。

そしてあの部屋は宇宙人が彼をおもてなしするために彼の記憶の中の豪華なホテルを用意したとのこと。

実際に宇宙人は出てこない。小説版に書いてるが宇宙人は体を電子化させ意識はあるものの物質としては無くなってしまった。だから画面に出てこないのです。

これは本当に起こりうる未来。今は情報がデータ化しお金さえも物質ではなくデータ化している。そのうち人間さえもデータ化するのかもしれない。

最後木星で息を引き取った主人公はスターチャイルドへと変わりますがここも人間賛歌に見えます。未来人によって作られた人間、人間によって作られた人工知能、そして人間は最後死ぬことによってスターチャイルドへと進化するのです。そして進化した人間がまた何かを作る、そういうループになってるのかもしれません。死は決して終わりなんかではないということを表現したかったのではないでしょうか。

ラストの部屋の不気味なシーンは芸術的に時間経過を表してます。

ちなみにHALという名前はIBMコンピューターの先を行くという意味で一文字ずつずらして付けられたとのこと。そして、最初に出てくる猿は本物ではなく特殊メイクした人間が実際にやってるそうです

オデッセイというタイトルはオデュッセウスという昔いた王でトロイの木馬を開発した人。オデュッセウスはトロイ戦争に終止符を打つのですがポセイドンの怒りをかい10年以上家に帰れなくなってしまう。その時サイクロプスによって閉じ込められてました。これは1つ目の怪物ですがHALはここからきてます。1つ目のHALは人間を監視します。そのため家に必死で帰ろうとする人の話をオデッセイと呼ぶためこのタイトルになりました。ちなみにマット・デイモン主演のオデッセイもその一つです

・ちなみに宇宙空間では無音で自分の息だけが聞こえるようにしたのはこの映画が最初

・さらにこの映画ではCGは一切使われてません。絵、ミニチュア、合成を上手く使い宇宙空間を表してます

・この小説版はキューブリックの直しがかなり入り事実上キューブリックとアーサーの共作の形のようになってる。実際映画公開3ヶ月に発売された。いわゆる小説版宇宙の旅が原作ではなく同時進行で作られていた。

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