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思い出の「カンパイ!」/中国ひとり旅 其の四

平成元年の2月、一人で、友人が待つ中国に行きました。場所は「中国福建省福州市福清県水南村南門外」、そんな住所だったと思います。漢字から推測してください、かなり奥まったところです。

今までに3回、記事を書いてきました。
1回目は、中国への行くことになったきっかけを書きました。
2回目は、中国の友人への手土産について書きました。
3回目は、中国で床屋に行ったことを書きました。
今回は、noteのお題にある「また乾杯しよう」にちなんだことを書きます。

写真は、友人の家の前で、友人のお子さんと遊んでいる私です。友人のお子さんが手にしているのは、私が日本から持っていたティッシュペーパーです。当時、友人の住む地域では、紙は大変貴重な物でした。そこで手土産にトイレットペーパーやティッシュペーパーを持って行きました。詳しくは、2回目の「友人への手土産」に書いています。また、私の髪型は、中国の床屋でセットしてもらった髪型です。詳しくは、3回目に書いています。

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旅のきっかけ

中国に旅行をしたきっかけを簡単にふりかえります。私は、高校生の終わりから、江の島にある中華のファミレスでアルバイトをしていました。その後、専門学校に行ってからもそこでアルバイトをしていました。また就職をして、いったんその仕事を辞めて、またアルバイトに戻りました。そのころは、明け方の閉店まで働き、お店で仮眠をして、お店を開けて、そのまま夜までアルバイト、そんな生活をしていました。

私の仕事は、接客でした。そのとき、調理場に中国から働きに来ていた男性がいました。その人と仲良くなり、その人が中国に帰国する際、遊びに来ないかと、誘われたのがきっかけです。

隣近所、みんなが歓迎してくれた

中国の旅は、上海から始まりました。日本語が通じる上海のホテルに一泊をし、その翌日、友人が待つ、福建省に飛びました。

彼の家に行くと大勢の人が私を歓迎してくれました。家の大きさのわりには、大家族だなぁ…と思っていたら、ほとんどの人が、私を見に来た人たちでした。友人の住む土地では、日本人というだけでとても興味を持たれた時代でした。そのため夕飯は、日ごと地域の人が入れ替わり訪れて、酒盛りをしました。誰が誰だかまったくわかりません。もちろん、何を言っているのかわかりません。酒盛りで私が理解できた言葉は、「カンパイ」だけでした。

そのころ、友人の家にはまだ十分に電気が通っていませんでした。ガスもありませんでした。ご飯は火をおこして調理をしていました。写真は、友人のお母さんがかまどでご飯を作ってくれているところです。

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観光に行っても大歓迎

友人の案内で、タクシーで観光に行きました。タクシーに乗る前、友人が運転手に料金交渉をしていました。正式な金額は決まってなく、交渉してお互いが納得をすれば商談成立になります。

写真は、タクシーの運転手の家で食事をいただいているところです。この食事代が、最初から料金に含まれていたかどうかは、わかりません。友人に「彼(運転手)が、歓迎したいから家に来ないかと言っている」と、突然言われてお邪魔をすることになりました。私の友人も、その知人も、運転手さんもたくさん笑っていました。しかし、そのときも理解できた言葉は「カンパイ」だけでした。

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写真で手前に写っている男性が運転手さんです。奥に写っている男性は、たぶん友人の知人です。いつも一緒にいました。それ以上は…忘れてしまいました。

お別れのとき

最後の写真は、私が友人の家族や知人とのお別れの会です。みんなで少し離れた街にある飯店に行きました。私は、一週間、友人のお宅にお世話になりました。そのおかげで漢字を中心とした筆談で、会話ができるようになりました。そこでコミュニケーションが成立してしまったこともあり、会話は、ほとんど覚えることができませんでした。最後の食事も、理解できた言葉「カンパイ」だけでした。

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私は、その後、友人の親戚が住む広東省に行きました。そのことはあらためて記事にします。

今は音信不通に…

日本に帰って、しばらくの間は手紙のやりとりをしていました。しかし、だんだんに手紙の数が少なくなり、とうとう疎遠になってしまいました。それから10年ぐらいが過ぎ、妻と上海に旅行に行きました。そのとき、現地の添乗員さんにお願いをして、ホテルから友人の家に電話をかけました。つながりませでした。また、住所を見せて調べてもらいました。しかし、地番表示が変わってをしまい調べることができませんでした。

自分の人生の中で、悔やまれること、そう考えたとき、一番に頭に浮かぶことは、中国でお世話になった友人と疎遠になってしまったことです。もう一度、お世話になった人たちと乾杯したい、そう思っています。もちろん、今でも「カンパイ」しかわかりません。

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