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映画『パラサイト 半地下の家族』は"映画館"で見よう

遅ばせながら、あけましておめでとうございます。

去年は約一年程テレビを見ない生活(敢えて見ないと決めてたりしたわけじゃないけど)をしていたのだけど、生活環境が変わったのでテレビ線をしっかり繋げて、久々に朝からテレビがついてる毎日。

土曜の朝といえば

王様のブランチ

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いや、本当に久しぶりにつけたらびっくり

MCもう谷原章介氏じゃないんだ…

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本当に俺、TVショーに関しては2012年くらいから完全に時が止まってるんだなと実感。

ブランチ恒例の映画コーナーを懐かしい気持ちで見てました。

タイミングよくイーストウッド監督インタビューとかやっててラッキー。

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わざわざロサンゼルスまでイーストウッドにインタビューしに行って聞くのその質問?って感じの、土曜の午前中にふさわしい口当たり(?)に編集された内容に心の中でツッコミつつ、そのまま映画ランキングのコーナーに。

おー、パラサイト5位かー。

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え!5位!?


カンヌ国際映画祭の最高賞、パルムドールを受賞したのもあって、先行上映やらなんやら、俺が空いてる時間に見に行こうにも基本予約しないと満席状態だったパラサイトが5位!?地方だと苦戦してるって事なのかなー。予想外だった。

しばらく見てると1位はアナ雪2

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2位はパラサイトと同じ初週の登場、カイジ ファイナルゲーム

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いや別にカイジがダメとかそういう事じゃないです。

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カイジ見てからパラサイトも見よう!

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とにかく今回のパラサイトの監督

ポン・ジュノ

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韓国人の映画監督なんだけど、もうとっくの昔に世界的に有名な監督で、とにかく独特な映画を撮る人。

例えば、『SF映画』って枠があったら大抵この枠の中で"シリアス"なのか"コミカル"なのか、トーンを統一してある程度枠の中に要素が収まる映画がほとんどだと思うんだけど、このポン・ジュノって人が撮る映画は違うんですよ。あれもこれも、だけどてんこ盛りって表現とはどこか違う独特のトーン(主にコミカルかな?)で色んな要素を包括しながら話を進めていくとでも言うんですかね。マジでそんな感じ。言葉にするとアホっぽいけど。ただ、解釈の余地を残したエンディングだったり、掘れば掘るほど深みを感じる脚本だったり、毎度しつこく入れてくる"韓国社会"が抱えるものに対する問題提起だったりとで、見た後のみんなの語りはヒートアップ。エンターテイメント要素との両立がとても不思議なバランスなのよね。とにかく俺のオールタイムベストに入る作品もあるので、思い入れもあるし、また今回のパラサイト鑑賞後にも?が頭に浮かんでる人をSNSでよく見かけたので、ポン・ジュノ監督の過去作で何作かを解説しながら、この監督の映画をどうやって見たらいいのか、門外漢の方に分かってもらおうと思います。


最初に紹介したいのは

グエムル-漢江の怪物-

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2006年公開 韓国歴代観客動員数第6位を記録してるモンスター映画。俺のリアルタイム初ポン・ジュノ作品はこれ。パラサイトでも主演ソン・ガンホが主演。

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まさに先に挙げたポン・ジュノ節が炸裂した内容の映画。基本はモンスターパニック、怪獣映画なんだけど、物語を引っ張ってる部分はドタバタ家族の珍道中的な要素で見てる人を"これ笑っていいのか?"と不思議な気持ちにさせてくれます。笑

それでいながら最後にはズッシリ重たい韓国の社会問題を浮き彫りに…って文章にするとハチャメチャ度が高すぎる。

これ見たの中学生の頃だったんで、当時流石に社会学的なテーマは分からなかったけど、物凄い情報量で見た後半端なく疲れた記憶がある。

余談だけど、昔付き合ってた韓国人のハーフの子にグエムルで扱われてる社会問題みたいなテーマって韓国の人的にはかなりポピュラーなやつなの?って聞いたら「当時は。子供でも分かるようなやつ」って事だったんで、その辺のギャップは他国の観客は受けても仕方ないのかも。

あともう一個記憶してるのは、"韓国で大ヒットした怪獣映画"って事で観に行った特撮怪獣畑

うるせぇおっきなおともだち(俺も人の事は言えねえが笑)

が想像してたようなヲタク耽溺カタルシスを得られずめちゃくちゃ叩きまくってたなーって事。笑

Yahooの星取表いまだに評価めちゃ低いもんね。

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ねえ、もう一個だけ言わせて!!!俺、星取表みたいな評価システムが

ホントに大嫌い!!!

例えばAs I lay Dyingのニューアルバムのレビューで

「ギターのメロディーや時折顔を出すクリーンのボーカルラインは素晴らしいが、デスボイスの割合が多すぎる。聞くに耐えない。星1つ。」⭐︎

とかだったらさ

As I Lay Dyingのアルバムをわざわざ聞いて書き込む内容かよ!てめえは当たり屋か!?インターネットをやめろ!

ってなりませんか?映画の評価サイトだとこういうのが頻繁に起きてる気がする。もちろん俺もネットで評判調べたりしちゃうけど、こういうのがあるから星取表はアテにならないと思うな。


長くなりすぎた…次

母なる証明

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2009年公開 これ、俺ポン・ジュノ作品で1番好きです。オールタイムベストに入るやつ。この後みんな大好き"アジョシ"で主演するウォンビンが兵役から帰ってきたばかりで、当時まだアイドル俳優的な立ち位置だった彼の復帰一発目。クソハードすぎる。韓国のこういう、体裁を気にしないというか何というか。映画の題材とかもだけど、日本の倫理観が一切通用しない感じ、好き。

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この映画も基本は主に中盤まで笑えるシーンが沢山ある。話のプロットも"知的障害のある息子が殺人犯として逮捕されてしまったので、息子が殺人犯な訳がないと信じて疑わない母親が真犯人探しに奮起する"ってよくあるような話。

ただこの映画が終盤に突き付けてくるもののヘヴィーさと言ったら、何なら俺、初めてこの映画観たあの日から2020年現在まで引きずってるからね。

誰もが大なり小なり、悪気ある無し関わらず"嘘"をついたり、見なかった事にする、聞かなかった事にする。っていう欺瞞を生活の一部としてごくごく当たり前にしてると思うんだけど、それって本質的にどういう事なのか。自分が勝手に分かった気になってる事や物に対する認識をガラッと変えさせられちゃった映画。

この映画のラストシーンはおばちゃん達の集団盆踊り(?)なんだけど、ここが意味が分からないって感想をよく見かける。気持ちは分かる。あんだけ色々あって盆踊りして終わりって何やねんって。笑 もちろん解釈を観客に委ねてる部分なんだけど、あえて俺の解釈を話すなら

"人は自分を騙す幻想に浸り続けないと生きてはいけない"

かなと!もちろんこれは俺個人の感じ方だから正解とかじゃないけどね。人生に絶望しないための処世術とも言える。


次行こう次!次で最後

殺人の追憶

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2003年 公開。またソン・ガンホが主演。笑 この映画が多分ポン・ジュノ作品で1番一般的なラインで評価されてる映画だと思う。要は普通に面白いです。何か語弊がある言い方になってしまうけど。笑

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ソン・ガンホのドロップキック。


実際に韓国で1980年代後半に発生して、10人の犠牲者を出した華城連続殺人事件を題材にした犯罪サスペンスもの。未解決事件だったんだけど確か去年犯人捕まったんだよね?ビックリした。

この映画を最後に持ってきたのは今上映中のパラサイトと非常によく似た仕掛けがある映画だからです。

ネタバレネタバレうっさい人もいるので、内容には触れずに書くけど

映画から現実に悪夢の橋渡しがされる

とでも言いたくなるようなラストシーンです。映画から現実まで引き伸ばされた恐怖というか、こういう

"映画館を出たら世界が違って見える"

ような映画を映画館で見るべきなんだと、そう思います。

これ、映画に限んないけどね。俺たちに引き寄せたら音楽だったりライブもそう。本読むのもゲームするのもそうだと思う。とにかくこういう体験をさせてもらえるエンターテイメント、芸術がホントに価値があるものだと俺は信じてます。


ポン・ジュノ映画、観客をどこに連れて行くか分からない独特で変なバランスの話運び、でありながら一級のエンターテイメント要素をちゃんと含みつつ、ズッシリ重たい社会派的なテーマを芯に据えるという、まさにこの人にしか作れない作品群なんですよ。

そんな監督の映画が映画館でかかってるんだよ?見に行かないって選択肢、あるんですかね?



終わり。


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