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凡才な僕がMIRU2020のOralに選ばれcvpaper.challengeに参加することになったきっかけから現在まで


こんにちは,研究コミュニティ cvpaper.challenge 〜研究成果を世に送り出すまでのストーリー〜 Advent Calendar 2021の11日目を担当します 福岡大学 藤木淳先生の研究室(旧田中勝研)に所属する博士1年 / 産総研RAの中村凌と申します.(本文中では田中勝先生は名前で呼び合う関係だったこともあり,勝先生と書かせていただきます.)

私の記事では,大学院進学者が少ない(進学しても教職の専修免許が取得目的が多い)福岡大学でその中でも頭の良い方ではなかった私が,どういった経緯でcvpaper.challengeに参加することになったのかについてお話します.福岡大学は大学院進学者が少ないことから,研究目的で進学するのは中々勇気のいる選択でした.そのような状況下で,MIRU2020のOralに選ばれたのは指導をしてくれた田中勝先生を始めとする福岡大学の先生たちのおかげですが,私がどのような環境(研究室)でどのような生存戦略でMIRU Oralに選ばれるに至ったのか,またその後の話について語ります.


~MIRU2020投稿まで

田中勝研究室の紹介

イントロダクションでも紹介したように福岡大学では研究を目的とした大学院進学者が少ない大学です.なので学部生時代は研究を行うというよりは,研究室のメンバーとゼミ形式で勉強をしていました.

勝先生は元々物理出身(素粒子)の方ということもあり,深層学習だけでなく情報幾何学を始めとした様々な理論について理解している先生でした.そういったこともあり,ゼミでは実装ベースではなく,数理ベースで画像認識,自然言語処理,強化学習について勉強し,修士に上がると情報幾何学の勉強をしてました.

また,勝先生が博識ということもあってか,本を読むことを大変推奨しており,当時の私は人間関係の問題で悩まされてたこともあって,心理学や社会学,行動経済学に関する本を片っぱしから読んでました.また,数学書を読めとも言わず(修士になってから言われましたが笑),命を削って文章を洗練させた文章に触れさせるために日本文学を進めるくらい自由な勉強をさせてくれる先生でした.

修士1年時の田中勝研のメンバーは学部3年生4人,学部4年生4人,修士1年2人,修士2年2人,博士2年1人という構成で福岡大学の中では,人数も増えてきていて研究室としての体制が整い始めている段階でした.(研究に取り組んでいるメンバーは一部でした.)

勝先生の研究の仲間もすごい人ばかりでした.(当時は凄さを全然理解できてなかってませんでした)学部4年生の時に開いたセミナーではあの有名な大津先生(産総研),栗田先生(広大),赤穂さん(産総研),西田先生(筑波大),堀田先生(名城大),小林さん(産総研)が参加してました.

その時の写真.(この時,赤穂さんはカメラマンでした.)

他の大学に比べて研究を行う学生は少ない環境下だったので先輩から(修士1年の時の修士2年は飛び級進学だったため)先輩に教えてもらうというような環境ではなかったのですが,メンバー見ても研究を通して成長できる幸せな研究室に配属できたと思います.

中村の修士生存戦略

修士に進学した私は,博士に進学することを考えてなおらず就職を目標に頑張っていました.良い就職をするためには以下の点が大事だと思い修士生活を良いものにしようと考えていました.(この戦略が良いかは分かりませんが,参考になればと思い書いてます.)

1.  学会発表をして成果を残す
奨学金を免除にするためには論文執筆学会発表等の成果がマストで,就活する際も学会発表,論文投稿の成果(エビデンス)のある学生が優遇される傾向があるため,成果をとにかく残すことを目標としていました.
(成果を残すために必要な能力も合わせて鍛えれます!)

2. 学会発表で自分を売る(オフラインで営業と仲間作りを行う)
学会発表で成果を出すと同時に自分の成果を買ってくれる人を探す(就活のために),専門分野に関する仲間を作ることも非常に重要視していました.成果を出しても技術を買ってくれる人がいないと,仕方ないので,連絡が取れるように名刺を作って交換したりなどして営業活動を意識してました.

また,学会発表を通して友達を作ることも意識していました.今後,専門分野で仕事をしていこうと思うと学会発表で仲良くなった友達は将来一緒に仕事をしていく仲間になるかもしれませんし,何より情報共有する面でも非常に大事だと思います.(cvpaper.challgeに入ってますます感じます.)

3. SNSで自分を売る(オンラインで営業と仲間作りを行う)
私が使用しているnoteアカウントもそうですが,勉強をアウトプットすることで上手くマネタイズ + 就活 + 友達増やす努力をしていました.基本的にやっていることは学会発表で自分を売る行為にマネタイズをしたい気持ちを足しただけです笑

マネタイズに関しては失敗してしまいましたが,twitterやnote活動をやっているうちに片岡さんのtwitterをフォローするきっかけになりました.また,学会で仲良くなった友達の話を聞きにいくという理由で参加したSSII2020では,片岡さんが発表していたということもあり,発表後に研究の感想を片岡さんにメッセージを送ったきっかけにもなりました.(その後,MIRU2020の発表後にcvpaper.challenge,産総研RAの招待を受けるのですが,こういった地道な営業活動があったからチャンスが回ってきたのかなぁと思います.)
twitterをやっていますので仲良くしてくれると嬉しいです(^^)

研究での苦労話

修士の最初に立てた生存戦略に基づいて頑張ることになるわけですが,最初は研究やプログラミングのことがわからずに本当に苦労しました,(プログラミングに関しても最初は全然わからず,教えてくれる先輩もいなかったので,当時就任した植田祥明先生にプログラミングのサポートをしていただきました.ありがとうございます.)

最初の研究は,勝先生にテーマを与えていただいて研究を進めることになるのですが,「人の注視点をパッチに見立てて少量画像でも物体領域をぼんやり捉えてるような学習を低コスト(ラベリングのコストを増やさずに)に行いたい.」と言われて,やり方が全然分からず頭を抱えました.小さいパッチベースの学習だと犬も猫も同じようなものなので,そもそも学習がなかなか上手くいかず,植田先生とディスカッションを行いながら試行錯誤していました.

ある時,背景を混ぜて実験を行ったとき学習が上手く行った時があり,その話を勝先生に紹介すると「これは面白い!」となる反応していただきましたが,当時の私は何が面白いのか全然わかりませんでした.(勝先生は基本的に教えるというよりは,気づかせるという教育方針だったので,簡単には答えを教えてくれる先生ではありませんでした.ただ,飲み会に参加するとボーナスかわかりませんが「教えすぎちまったよー」と言いながら色々教えてくれたので,僕にとっての先生との飲み会は貴重な勉強会でもありました.)

このように勝先生は試行錯誤させて学ばせる教育を行なっていたので,トライアンドエラーの連続でした.そのため当時の私の研究のやり方は,使えそうな手法やアイディアを片っぱしから試して,考えて,植田先生とディスカッションを繰り返し,試行錯誤しながら手探りで良い方法を探るといったものでした .(論文執筆の際も新規性や貢献に関してもあまり教えてくれる感じではありませんでした.なので,当時の文献を見られると恥ずかしいです笑)

研究会に参加 → そして他大学の研究仲間ができる

初めて参加した研究会はIBISML2019のワークショプでした.初めての発表(ポスター発表)と出張ということもあり,前日まで自分の研究を他者から批判されたらどうしようと思いながら,自分の研究の貢献をずっと考えていたのを覚えています.

実際にポスターセッションが始まってみると,多くの人との議論や質問が頻繁に飛び交い,1つの問題に対して様々な角度から「こうじゃないかな」,「〜っぽいよね」,「こうした方が筋がいいよね」といったように自分の視野の広がりを感じました.(皆さん優しかったです..)
議論後は,企業の方や大学の学生といつの間にかに仲良くなり,研究会を通して研究仲間ができました.
当時,仲良くなった方々は多くの人が就職してしまったのですが,堀田研の加藤君とは今でもやりとりをしてますし,この研究会が仲間を増やすきっかけになりました.

また,この時に仲良くなった同じく堀田研の津田君とは,ご飯を食べに行ったりして情報共有を頻繁に行っていました.彼は,僕にMIRU2020の情報を教えてくれた人物で,彼が教えてくれなかったらMIRU2020に投稿することはなかったと思います.(そう思うと津田君のおかげで今の自分がいると言っても過言ではないですね!)


MIRU2020投稿からcvpape.challenge参加

その後,電子情報通信学会の研究会に論文を投稿したりなどして,多くの先生にアドバイスをいただいて,それらの内容のアップデートしてまとめ直したものをMIRU2020に投稿しました.

結果はレビュワーの方が,すごく良いコメントをいただけた上に,Oral発表の権利までいただきました.
(勝先生,藤木先生,植田先生のサポートしていただき誠にありがとうございました!)

MIRU2020発表1ヶ月前は就活を兼ねたインターンで大失敗した話

MIRU2020のOralが決まった傍で,就活を行っていました.私の就活の仕方は,営業をすることで面接の権利をいただいたり,就活を兼ねたインターンをしていただけるというような営業ベースの就活の仕方をしていました.

とうこともあり,MIRU2020発表前は就活を兼ねたインターンを行っており,見事に大失敗,大した結果を残すことがでいない状態でMIRU2020の発表に挑むこととなりました.

学生奨励賞受賞!片岡さんからTwitterを通して連絡

MIRU2020発表後,学生奨励賞で幕を引くことになったのですが,twitterで片岡さんが僕の研究についてのDMをくれました.

私の研究がどうやって生まれたのかの過程について質問をくださり,私がそれに返答した後,研究連携の話をいただきました.当時修士ということもあったので,片岡さんは就職か進学か気にされていて,話を受けたタイミングでは就活の採用通知も来てなかったので,返事のしようのない段階で,オンライン面談のお誘いを受けました.

片岡さんの研究連携の話が終わると,cvpaper.challengeの研究メンバーと産総研RAの公募の提案をしていただきました.産総研RAの公募の話は,経済面を担保できる上,cvpaper.challengeへの参加は研究仲間も増えて,何より勝先生と研究を続ける良いチャンス(自分を成長させるチャンス)だったのですごく魅力的に見えました.ただ大失敗した企業(個人的に自分から採用をお願いした)の採用通知がまだ届いてなかった問いことが気がかりでした..ですが,片岡さんとの面談中に企業からお祈りメールが届きました.

僕は博士に進学するストッパーが外れ,片岡さんにcvpaper.challengeへの参加することにしました.(皆さんの進学理由に比べると不純かもしれません.ただ,私にとっては,今まで行ってきた友達作りから営業活動,研究活動が実った瞬間でした.とてもうれしかったです)


cvpaper.challenge参加から現在

cvpaper.challengeでの取り組み

その後,cvpaper.challengeに参加して多くの研究仲間ができるだけでなく,様々な経験をさせていただきました.

12月では研究効率化TIpsを作成することになり,多くの反響をいただきました.

その後,網羅的サーベイでは「High-imapact Papers」というテーマで過去のTop会議に採択された論文についてサーベイも行いました.

その後,CVPRの網羅的サーベイやICCVの網羅的サーベイを終えて,今年の研究効率化Tips ver2を作成し,それをVIEW2021でチュートリアル発表を行いました.

勝先生のご逝去(先生から頂いたものを次の学生へ渡せるような人間になりたいと思っています.)

産総研のRAになり,つくばの生活が慣れ始めたタイミングで
勝先生が6月13日にご逝去されました.
今でも思い出すと大変辛い出来事です.(あまり触れない方が良いかと思いましたが,僕に取って大事な出来事だったので,この気持ちを忘れないためにも書かせていただきました.)

葬儀後,私の面倒をよく見てくれた藤木淳先生が産総研の連携大学である筑波大への編入も進めてくださったのですが,思い入れのある福岡大学の地で頑張りたいというのと福岡大学から離れると藤木先生たちとの心理的距離が離れてしまうような気がして藤木先生に面倒を見ていただくようにお願いをしました.

藤木先生も勝先生の代わりはできないけど,私の面倒を見てくれることを受け入れてくれて,研究のことだけでなく,それ以外のことについても色々ご指導してくださいます.本当にありがとうございます.

大変無力な自分ですが,研究者として早く自立できるように努力していきたいと思います.勉強を日に日に重ねるうちに勝先生の偉大さ,藤木先生や片岡さん等の研究者の凄さを身に染みて実感します.凡才の私が色々と成長させていただいてるのは勝先生や藤木先生,片岡さんなどの多くの方の支えがあってです.(上げ出したらキリがないくらい,多くの方にお世話になってます.)本当に感謝します.

僕も先生たちにご指導いただいたものを次の学生へ渡せるような人間になれるように精進していきたいです.

最後に

しんみりとした話を書いてしまって申し訳ありませんでした.

業績はあまり出せてない私ですが,現在は(博士を卒業するためにも)業績を出すために執筆(&研究)を頑張っている段階です.(2022年沢山業績を出せるように頑張ります!).ここまで読んでいただいた方はありがとうございました.cvpaper.challengeや私を応援していただけると嬉しいです.

cvpaper.challengeでは研究メンバーを募集しています.
初めはサーベイメンバーになる必要がありますが,情報をあげておきますので,興味を持ってくださった方はメールをいただけると幸いです,

また,サーベイチャネルには#jobbradというチャネルがあります.経済的に難がある学生はこちらで求人を探すこともできますので,困っている方がいれば是非サーベイチャネルに参加して確認してみてください.(上記のリンクにcvpaper.challengeのリンクに詳細があります.)

私が研究開発でお世話になっている株式会社天地人でも学生インターンを募集しているようなので,是非応募してみてください!深層学習系の募集は書いてないですが,言ったら参加できるかもしれません.



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